Chapter 8-1 ディストピア香川
4月20日の朝、蒼は紫道ユリから送られてきた手紙を読んでみた。
<あなたたちの力を見込んでお願いがあります。今、香川県がとても大変なことになっています。わたし一人の力ではどうにもならないのでどうかお願いします。場所はナセヤ町から南東60mの新緑都市グリモーアの一番大きい巨大樹の図書館でお待ちしております。>
「へぇー・・・なんかやることが分かったような?」
蒼は急いで冬花とメイアを呼び、事情を話した。
「紫道ユリ・・・・ん?」
「え?どしたの?」
メイアは不思議そうに冬花との顔を覗いた。
「実は・・・もういなくなったサヨリがこんなん言ってた。元はゲームキャラだったけど自分と同じように自我を持って一人の人間としてこの世界に潜伏してるよー的な?」
「つまり紫道ユリちゃんがその一人とな?」
「そゆこと。」
「おーいお前らどこへ行くんだ?」
ドクタージャムが3人の元に駆け寄った。
「ちょっと香川の危機を救いにね。」
「ほらあるじゃん?いやあっちゃダメな奴だけど!!!香川でゲーム規制条例施行されたじゃん?」
「ああ!知っとるよ。しかしまぁひどいもんだな。ウチのパン戦士たちも派遣したいところだけど町の復興で忙しいからなぁ・・・すまんのぉ本当に。」
「まぁこの町の有様じゃあねぇ・・・。仕方ないよね。」
冬花はもの悲しそうに荒れ果てた街を見つめていた。
「つーことで行ってきます!!」
「まぁ何が起こるかわからんが気を引き締めていくんじゃぞ~~!!」
冬花とメイアはドクタージャムに挨拶を済ませた後デコトラに乗り込み、新緑都市グリモーアへと出発した。
そして、4月1日以降、香川県では恐るべきことが起こったのである!まずはとある小学生男児Aくんの事例からみてみよう。
「あーコロナウイルスで学校休みだし宿題も案外早く終わっちゃたし、ゲームしまくるか。」
この時のA君はまだゲームの時間は1日60分の条例なんてあるわけない。どうせただの頭の悪いおっさんのハッタリだと思っていた。
(1日60分間とかホント、バカバカしいな~。いつの時代だよwwww)
そしてあっという間に60分間が過ぎた。するとその瞬間TVの画面に異変が起こった!
突然画面がバグりだし、さらには画面からうどんのようなものが伸びA君の体にまとわりついた。
「え?なんだよこれ!!は・・・離せ!!・・・うわあああああああ!!」
なんということでしょう。うどんのようなものはそのままA君をTVの画面の中に引きずり込まれれたではありませんか。その後、A君の姿を見たものは誰一人としていなかったのだ。
またA君以外にも気づかずに60分以上ゲームやスマホを使用したものは皆、このうどんにさらわれたという。なかには突然香川県警の者が『開けろ!香川県警だ!!』って感じで現れ、問答無用に逮捕される事例もあるそうな。なお、18歳以上は特に何も影響はないらしい。
なぜならゲーム規制条例の対象外であるためだ。だがしかし、この条例に異議を唱えたものはたとえ18歳以上の人間であっても、警察や政治家だろうが、容赦なく逮捕されたり、うどんに連れ去られることもあるそうだ。・・・これはあくまでも噂ではあるが。
なお一説によると、この条例のターゲットである年齢は現在では『18歳未満』ではあるが・・・?いずれ『65歳未満』へとターゲット範囲が拡大し、さらにはこの条例が香川以外の県にも適応される危険性があるという非常に恐るべきものである!!
さて、話は冬花サイドに戻りますが、グリモーアに無事、到着したそうです。
冬花たちはグリモーアの一番大きい巨大樹の図書館「叡智の大樹」の入り口あたりに濃い紫色のロングヘアのとても美しく賢そうな感じの女の子がスタンバってた。そう、彼女こそ『紫道ユリ』だ!日向 サヨリと同様に元はギドギド美術部のゲームキャラであったが、なんやかんやで命を持ち、FCOの世界に降り立ったそうな。
「みなさん来てくれてありがとうございます!わたしは 紫道ユリと申します。」
「ドーモ、紫道ユリ=サン。龍山師 蒼です」
「あたいはメイアだよ!よろしくねちゃんユリ!」
「つ・・・月宮冬花です・・・オッスお願いしま~す」
4人は互いにアイサツを済ませ、叡智の大樹の3階にあるフリーで使える会議室に移動し本題に入った。
「えっと皆さんは香川県のゲーム規制条例について知ってますか?」
「知ってるさ・・・・胸糞悪いやつな。(蒼)」
「知ってる知ってる!(メイア)」
「これほどまでに醜い条例はないね・・・。(冬花)」
3人は食いつくように返答した。
「それなら話が早くて助かります!わたしと一緒にその条例を作り上げた愚か者どもを血祭りにあげましょう!」
「「おぉーーーー!!!!」」
蒼とメイアはテンションMAXで右腕を挙げた。
「ちょっと待って?ユリ・・・・そのぉ香川県民じゃないのにどうしてその件に足を突っ込むの?確かに放置すれば香川県・・・・いやいずれ日本中が大変な目になるのはわかっているんだけどさ・・・・」
冬花は大きく疑問を抱いた。
「それは・・・ある日のことです。そこら辺を散歩していたらボロボロになりながら歩いている小学4~5年ぐらいの男の子を見かけたんです。彼に話を聞いたら”学校が休みなのでゲーム三昧しただけなのに急にうどんが絡まりついていつの間にかこの世界のどこかにある地下の労働室っぽい所で死ぬまでうどんを練り続けるハメになった”とか言ってました。その後色々訪ねたんですが、一つの結論に至りました。」
「まさか・・・。」
「条例違反をするとFCOの世界に連れ去られるということです。」
「待って?ゲーム規制条例に違反するとゲームの世界に連れ去られるって少し矛盾しているような…?」
「そこなんですよ。推測ですがFCOの世界はゲーム内の世界というのは仮の姿で、本当は何か恐ろしい目的で作られたとか・・・?わたしにはそう思うんです。具体的なことはまだ分からないんですけど・・・。」
「なるほどねぇ・・・・。」
「とにかく、わたしはあの子の希望を、香川の未来を取り戻したいんです。というか自分でもあんな条例は願い下げですし!お願いします!」
ユリは冬花の両肩をがっしり掴んだ。
「わ・・・わかったよ!とにかくやってみる!・・・・・・てか匂い嗅いでない?」
「あ・・・・いえ別にそんなつもりじゃハハハハハ・・・・」
ユリはあからさまにそっぽ向いて赤らめた。
「あっそうそうこれからその・・・・・わたしの屋敷に行きませんか?」
それから30分後ユリの屋敷に到着した。
「入って、どうぞ。」
「てかこれはどういう経緯で手に入れたの?」
「まぁ訳アリ物件ですけどね。あっ幽霊普通に出ますけどお札あるのでたぶん大丈夫でしょう。」
「・・・聞くんじゃなかったッ!!」
蒼は顔面が真っ青になって身体が震えていた。
「うぉーーーーー!!めっちゃひろーーい!!」
「なんで玄関前の噴水に金ピカのシーサーあるんだろう・・・・?」
メイアは屋敷内を走り回り、冬花は玄関前の独特なオブジェクトについて考えこんでた。
「え?なんかめっちゃうるさいんだけど?てかめちゃ可愛い・・・」
2階に続く階段から小学4~5年ぐらいの男の子が現れた。
「えっとこの子は?」
蒼はユリに訪ねた。
「この子がさっき言った子です。名前は藤田 徹くんです。」
「あっどうも、徹です・・・・。」
彼はなんか少し顔が赤くなりながら頭を下げた。
その後冬花たちは、中庭に移動し紅茶とお菓子を用意して彼に話を聞くことになった。
「まぁざっくり言うとコロナウイルスで学校休みだし、バスケの練習できねーし?まぁ家でゲームするしかないじゃん?んでゲームしてたらいつの間に60分が過ぎた瞬間、いきなり訳わかんねーとこに連れられたんだよ。その後がマジの地獄だった・・・。」
「地獄?ああ、地下労働室的なところで死ぬまでうどんをコネコネさせられたことかな?」
「それだよ銀髪のねーちゃん!!」
「冬花です。」
「あぁ・・・ひたすらうどんの生地をこねないと後ろから黒服のオッサンどもにムチで叩かれるわ蹴られるわで・・・やり返そうと思ったけどそれでも敵わなくてそして何とか隙を見つけて逃げ出したってことだ!」
「なんか現実味を感じないな・・・」
「いやこれマジだって!みろ!この全身の傷とかあざを!」
「うわっマジだ!すまない・・・疑って。」
蒼は徹の話を半分嘘だと思っていたが全身の傷やあざをみて考えを改めた。
「普段は何してたの?」
「普通に学校行ってるしバスケのクラブで色々頑張ってるよ。ゲームは大体1~2時間ぐらいかな?勉強はちょっとアレだが。」
「ははは・・・なんかごく普通って感じ。まぁあの条例ホント、いい迷惑だよね。勝手な思い込みでロクに検討せずみんなの楽しみを奪うなんて。でも、よく逃げたね!」
メイアは徹の頭を軽く撫でた。
「他のみんなはどうなってんだろうな・・・・なんか嫌な予感がする・・・!」
「大丈夫です!わたしたちに任せてください!」
ユリが立ち上がり4人でスクラムを組んだ。
「いや、でも・・・・オレもいかなきゃ!!って体の痛みがっ・・・!」
徹は立ち上がりどこかへ走ろうとしたが全身に痛みが走り、すぐ膝をついた。
「その傷じゃ無理だよ!大丈夫、絶対になんとかするから今はゆっくり休んでて!」
メイアはリペアをとなえた!徹の傷が回復した!
「よし、これでいける!!」
「あっ傷が癒えたからって無茶しないでよ!それにあなたは戦闘慣れしてないみたいだし、何よりもう危険な目に合わせたくないの!!」
「うぅ・・・少しモヤモヤすっけど分かった!絶対にあんなクソ条例作った奴らを倒してくれよ!メイアさんッ!!」
「かしこま!」
こうして4人は香川県の自由と平和と未来を取り戻すための聖戦に身を投じたのである!
ゲームは1日600000000分 いいね?




