chapter7-2 それいけない?アイアンパンメェン
「よーしついたぞ~さぁお前ら降りろ~」
ついにパン工場に到着した。その大きさは中小企業の工場ぐらい規模で、そこの食堂で会議が始まった。
「さて・・・申し遅れたが、ここはパン工場『パンファクトリーたかし』。んで、ワシはここのオーナーのドクタージャムだ。あっそこにあるパンどんどん食ってもいいよ?今回はサービスだ!」
「そんで、となりにおるのは・・・・」
「やぁ僕アイアンパンメェン!」
そこには深紅のナイスバルクなマッスルボディ、茶色いマント、全身に装備したブースター的なもの、そして輝きを放つハゲ頭に真っ赤な鼻の外見のヒーロー的な人が現れた!
次の瞬間、食堂に沈黙ムードが漂った。
(色々とヤバいわこれ・・・・・・)
3人は青ざめた表情でドクタージャムとアイアンパンメェンを見つめた。
「あの・・・・これ本物ですか?コスプレとか着ぐるみ的なアレですか・・・?」
冬花は恐る恐る質問した。
「冬花・・・・だっけかそこの銀髪ツインテの嬢ちゃん。どーみてもモノホンじゃろがい!そして言うまでもないが、アイアンパンメェンはアンパンに生命エネルギーとか魂を練りこみ、ついでになんかすごい感じする機械でトッピングして誕生した戦士じゃ。ちびっ子たちの永遠のヒーロー的なスゴイ人じゃぞ~!TVや絵本とかで一度は見たよね?ね?」
ドクタージャムはハイテンションで自慢げに語った。
「ええええ!?正真正銘の本物ォ!!!???あ、握手とかOKですかアイアンパンメェンさん!」
「うん、もちろんさ!」
蒼は大興奮しながらアイアンパンメェンと握手した。その様は推しにリアルで遭遇した限界オタクみたいだった。
冬花も蒼に続いてアイアンパンメェンと握手を交わした。嬉しいけど状況が把握できてない感情が出た。一方サヨリは、状況がまったく把握出来てないためひたすらいろんな味のパンを食べていた。というかそれしかできないのである!
「ま・・・・まさかちっちゃい頃見ていたTVのキャラがこうガチで目の前に存在するとは・・・・・夢でも見てるんかな?」
「冬花。コイツはもう奇跡でしょ!もう感激すぎる!あの芸術的な肉体美!!あぁ尊い・・・!」
「蒼・・・・・割とマニアックなのね?」
冬花は若干引いたような笑顔をした。
「あり・・・冬花、呼び捨て?」
「あぁ・・・・なんか結構仲良くなったしそろそろ呼び捨てでいいかなーって。あといちいち『ちゃん』って入力するの面倒になってきたし。」
「ああそう。別に呼び捨てでも別にOKかまへんかまへん!(サラッととんでもない事言ってる気がするが触れない方がいいな・・・・・・)」
「えーと重要な話したいんだけどー、そろそろいい・・・・・?」
二人のアホみたいな会話にドクタージャムが恐る恐る入り込んだ。
その後、作戦会議みたいなのが始まった。
「えーまずどこから知りたい?」
「はい!まずなんでFCOの世界にいるんですか?」
まずは冬花が質問をした。
「えー、それはバイキーザ率いるカビリオン帝国の陰謀みたいなのを探っていたらなんかオンラインゲームを利用して人々をゲーム世界に閉じ込めなんか実験するみたいな感じの噂を聞いて、このゲームをプレイしたんじゃ。んで元の世界に帰れないっぽいのでここにパン工場を立てて生活し、今に至る感じじゃ。」
「へーそーなんだー」
冬花はかなり棒なトーンで受け答えた。結構重要そうなことを言っているにも関わらず、まったく気が付いていないのだ!しっかりしろよ!
「ジャムさん!質問!この町の状況について教えたください!!」
次に蒼が質問した。
「おっとそうだな!すっかり忘れてしまうところだった!ある日突然見るからにヤバそうなオーラを放つオバサン軍団が現れてな。そいつらの事調べたら、〇TAの人とかフェミニストとかガチでヤバい感じの連中だった。そいつらは訳わかんないことをギャーギャー騒ぎ立てながら色んな娯楽が廃止しようと暴れだしたり、やたらと男を排除しようとしたりゴミ同然の扱いをしようとするなど数々の迷惑行為をしてたそうな。そしてあっという間にこの町の権限などが『奴ら』に剥奪されてこんな状態になった。」
「・・・・・そんな・・・・!それでどうしたんですか?」
「奴らの居場所であるナセヤ町の中心部にある塔にアイアンパンメェンとその仲間たちを向かわせた。だが全く歯が立たなかった。おまけに仲間も捕らえられたって訳さ。」
「ドクタージャム。後は僕に説明させてもらえないかな?」
「ああ・・・・そうだな。」
アイアンパンメェンは傷ついた右の拳を見つめながら語った。
「この町の異変をショックパンメェンが調べ上げ、『マナザー・ラシム』という謎の組織ががこの騒ぎを起こしていることが分かったんだ。あ、『マナザー・ラシム』はこの町を牛耳っている『奴ら』の正式名称だね。僕はショックパンメェン、カリィーパンメェン、メロンパンメェンとともに『マナザー・ラシム』に立ち向かった。けど、身体が突然激しい痛みを感じて結局何もできなかった。僕以外の仲間は捕らえられ、結局ナセヤ町の平和は守れなかった。ごめん、僕の力不足で…」
「それって打つ手なしってことか・・・・・。」
蒼はとても悔しそうな表情で下を向いた。更にその両手は怒りによって激しく震えていた。
アイアンパンメェンは強い責任感を感じ、涙を流した。
「なぜ攻撃ができないかのカラクリを判明ができれば反撃ができるかも・・・・。」
冬花はこう思いついた。
「ああ・・・・それならショックパンメェンがこんなメモを残していたんだ。『マナザー・ラシム』の潜伏先の塔には『非暴力フィールド発生装置』ってものがあるって感じの内容だったよ。」
「じゃあその装置を壊せば奴らを血祭りにできるかも・・・・・って非暴力フィールドってなんぞ?」
蒼は目が点になった顔で質問した。
「説明しよう!非暴力フィールドとはありとあらゆる暴力行為をすると身体が突然激しい痛みを感じさせる結界のことじゃ!どういう原理でそうなるのはさすがのワシもさっぱり分からん!ちなみに
『非暴力フィールド発生装置』はいずれ量産化現実世界にも設置されるらしいぞ!」
ドクタージャムはやや早口で説明した。
「えええ?いま現実世界にも『非暴力フィールド発生装置』が作られるって・・・・・どゆこと?」
蒼はちょっと驚いた。
「でも実際に『非暴力フィールド発生装置』があったら戦争がなくなるかも・・・・って一瞬思ったけどよ~く考えるとナセヤ町みたいなのが増えてしまうかも・・・・。そもそもこの装置、圧倒的な力で弱い人々たちを何も抵抗させずに押さえつけて支配する悪夢のマシーンと解釈するとやっぱ何が何でも『非暴力フィールド発生装置』は破壊しないといけないかも・・・。」
冬花は珍しく考え込んだ。
「そうだね。けど塔のセキュリティが非常に厳しいから『非暴力フィールド発生装置』の破壊は実質不可能な感じだし・・・・」
アイアンパンメェンは悩んだ。しかしそこをなんとか攻略できれば勝ち目はあると信じていた。
「じゃああたしがそのセキュリティをバグらせてあとはみんなで突撃するとか?」
・・・・・とこんな感じで作戦会議は夜遅くまで続いた。冬花たちはパン工場のすぐ隣の小さな宿舎みたいなところで寝泊まりすることになった。午後9時、蒼は外で特訓をし、冬花は風呂から上がり、サヨリの部屋に向かった。
「サヨリーお風呂次どうぞ―ってアレ?ちんもくかい」
ドアを叩いて呼びかけたが妙に静かだ。怪しく思った冬花はドアをゆっくりと開けた。そこにあった光景は・・・・!?




