chapter3-2 謎のフジツボ
ようやく1時間かけてジムにたどり着いた二人。だが、蒼は干からびたかのように倒れた。
「あ・・・ごめん・・・・・・・これ以上動けんわ・・・・・」
「なんか悪いね。ヨイショっと!」
ドスンドスンと音を立てリアカーから冬花は下りた。その後地響きを発生させながらジムへ向かった。因みにこのジムはあまり耐震性能があまりよくないらしい。まぁ死にはしないでしょう。多分・・・。
「あのーここで北斗神拳ダイエットやってるって聞いたんですけどーーー」
そこには世紀末なファッションをしたオッサンが大勢いた。その異様な光景に少し緊張した表情を冬花は隠せずにいた。
「よぉ、姉ちゃん!!ここは地獄のロゲエーオあおぞらトレーニングジムだ!何の用だ?」
赤いモヒカンの男・・・・おそらくはここのインストラクターらしき人がヒャッハー!なテンションで話しかけた。
「えー・・・見ての通りというかさっきも言ったんですけど、まぁ北斗神拳ダイエットしに・・・。」
「ヒャーハハハハハそんなハート様みてーな身体でかぁ!!面白れぇ!!この地獄についてきなぁ!!」
「はぁ・・・」
その後モヒカンインストラクターに案内され大ホールに到着した。案の定、世紀末な雰囲気ではあったがどこか和気あいあいとした空気に包まれていた。
「お前らぁ!!新入りだ!可愛がってやれよ!」
「つ・・・・・月宮冬花っす!!オッスお願いします・・・!」
それからすぐにレッスンが始まった。
「 まずはこれだ!!キュッキュッキュッアタァ!!キュッキュッキュッアタァ!!」
ほんわかとしたBGMと共に奇妙な踊りを踊りだした。
「まず最初のキュッのとこでちょっと斜めになって左腕だけを上げろォ!次のキュッはその逆だァ!そんで最後はX字状に手足を広げやがれぇぇぇぇ!!これを5分間だ!!」
シンプルな動きではあるが、この体で5分もずっとやるのはかなりキツかったがそれでも必死に食らいついた。
それから、毎日リアカーで運ばれてはジムに通う習慣ができた。仕事に関してはとても任務遂行できそうな体型でない理由でしばらくの間休暇を取ることにしたそうだ。むしろガンガン勧められたそうな。
それから少しずつレッスンの内容がハードになり結構キツくなったが、着実に痩せていった。また通信教育講座<ICan>の北斗神拳伝承講座もついでにやり始めた。
-ロゲエーオ王宮騎士団の寮にて-
「あら?冬花・・・通信教育講座やるなんて珍しいね!紅ペン先生のヤツ3日未満でやめそうなタイプなのに・・・。」
「一言多いって!まぁさっさと痩せたいし、サヨリちゃんからもらっちゃったバグパワーにずっと頼りっぱなしでいたらいざという時に困る気がするからちょっと自力でもなんか力をつけようかなって。」
「まぁチート能力に頼ってばっかじゃあ冷ややかな目で見られるの間違いないしね。そもそも冬花のソレ・・・何というかクセが強すぎる感じだから、チート能力って感じはしないね何となく・・・・。私も似たようなモンだし・・・」
「あっそういえば蒼ちゃんなんかその・・・・これ得意ですとかそんなんある?」
「戦闘スキル方面?そー言えば全然話してなかったわ・・・!」
蒼は紅茶とクッキーを用意し、なんかガチめな話を始めた。
「現実世界でも行ってたけど私・・・・龍山師家はマジでニンジャの家系よ。んで継承している流派は《飛天馬流》ってヤツ。」
「へぇ・・・初めて見た時からそんな感じはしたけどやっぱり・・・・。」
「あぁ・・・・」
・・・・そう、冬花と蒼の初めての出会いは初登校時だった。
「うわーっ遅刻遅刻~~~!!」
さんざん使いまわしたテンプレの如く口に食パンをくわえて冬花は家から飛び出し、綺麗穂市立第一高校へと向かった。その途中で出会ってしまったそうな。
後ろから超スピードで走る気配を感じた。ふと振り返るとスシを補給しながら走る変なのがいた。
そいつこそ<龍山師 蒼>なのである!
なんとかバスに間にあったが2人は隣同士の椅子に座っていった。
「あ・・・あのーその制服アレですよね?綺麗穂市立第一高校のものですよね?てか走りながらスシ食ってるのすごいですね・・・・・もしやニンジャですか?」
「うん・・・・そう・・・・」
蒼は下を向き頬を赤らめた。その後二人は無事に学校に間に合った。さすがにクラスは別々ではあるが登校時とか放課後で何度も出会い少しずつ仲良くなっていった。
(※因みに綺麗穂市立第一高校は特に特筆すべき部分がないぐらいいたって普通の高校です。せいぜい部活廃止を検討している程度。)
「んで話し戻すけど飛天馬流はまるでチートバグのようなヘンテコな挙動で翻弄し、一気に叩き込む流派で・・・・あと疾風や迅雷、戸隠とか伊賀崎流とか別の流派もちょいちょい教えられた感じかなー」
「なんかめっちゃすげーてんこ盛りじゃん!」
「ちっちゃい頃から修行してたから私は強いほうだと思うよ。まぁそこら辺は人によって強さの定義が違うからあまり当てにしないでね。」
少し照れながらささやいた。
「そういえばサヨリはどこなの?」
「あぁ、なんかあたしの細胞の一部を使って自分の体作るーって言ってた」
「はぁ?!そんなスゲーのできるんか!で、どこよ?」
「寝室だけど。」
次の瞬間大きな声が響いた。
「やったあああああああああ成功したあああああああ!!!!!」
「「うるせぇよ!!」」
サヨリはショボーンとした顔で2人を見つめていた。しかしその身体はすっぽんぽんだった!
「ほへぇ・・・・ホンマに作っちゃったよ自分の身体・・・・てか服着なさい!」
蒼は感心しつつあったがすっぽんぽん状態のサヨリが気になって仕方がなかった。
「うん大丈夫!!謎の光で大事なところは隠せてあるから!!」
「ならばよし!!!!」
蒼は満面の笑みをサヨリに向けた。それでいいのか蒼よ!
「えーと・・いつまでもこのまま冬花の身体に居候するのもぶっちゃけ不便だったしいざという時に使えそうだなと思って作っちゃった!」
「サヨリちゃん・・・・それはそれでいいけどバグパワーのコントロールどうすんの?」
冬花はそこの部分が不安で不安でしょうがなかった。
「遠隔操作で何とか。念を送ってこう・・・・うまい具合にちょうどいい感じにアレして・・・・・」
「お・・・おう・・・・」
「しかしまぁこの部屋も狭くなったなーーーどうしようこれ・・・・?」
蒼は青ざめた表情で悩み始めた。
「結局、あたしの個人の寮の部屋ないのぉ?」
「残念ながらまだ工事中です。申し訳ございません!!!」
蒼は高く飛び上がり土下座した。
「いや・・・・・ジャンピング土下座せんでいいから!」
「じゃあウチが押し入れで寝るってのは?」
「サヨリ・・・・それいいね!ただこの部屋他のと比べてそこそこ広めだから多少整理すればギリいけると思う・・・いや無理っぽい」
冬花は虚しい表情で自分の身体をみつめてつぶやいた。
蒼は急いでメジャーを取り出した。
「え?なにすんの?」
「サイズ測るんだよ!!いつまでも謎の光じゃあかんでしょ!」
その後パパパっとサヨリが作り出した自分のボディの3サイズとか体の各部を測った。
「ほー冬花の細胞から作っただけあって体型もにてるなぁ!当の本人は・・・・・・フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ・・・・・・。」
「なにわろてんねん」
冬花は赤っ恥をかきながら冷めた口調でつっこんだ。
「じゃあ適当になんか着せるねー」
「はぁ・・・」
十分後サヨリの着替えは完了し、そのうち二人は出かけて行った。多分サヨリの分の服とか装備とかそんなのを買うそうだ。
おや・・・・冬花の様子が・・・・?
「ヴぇ!!!急に頭が・・・・・!」
冬花は急に倒れた!その後気を失い、さらにぷっくり太った腹からはフジツボのような物がほんの少し生えていった。だが、その異物は時間経過するとともにどんどん大きくなり身体じゅうに広がった!
急げ、蒼!そしてサヨリ!おデートもいいが冬花が大変なことになっているぞ!そして冬花のこの症状はなんなんだ!




