プロローグ 〜魔王伏す〜
久々に何か書きたくなったので、筆(?)を手にとってみたが、やはり難しいと実感してるところです。
意見、要望等あればコメントをください!
ゴロゴロゴロゴロドーン!!!
空は一面曇天。
雷が魔王城を照らす。
「勇者の始末はあとどれくらいで済むんだ?」
「そうですね…。あと数時間というところでしょうか。」
「…」
「お気に召さないようでしたら、もう少し動員して早めますが?」
バームはよく気が利く。
しかし、魔王の心配はそういうところではなかったみたいだ。
「やはり弱すぎる。」
「はい?」
「いやいや、勇者というのは圧倒的強者のはずだろ?
それも女神から魔王たる儂を殺せるだけの力を授かっているはず。」
「その通りです。故に歴代の魔王は勇者誕生とともに死を覚悟なされるとか。」
「だが、今回の勇者を見てみろ。出来損ないにもほどがあるではないか!」
「確かに今回の勇者は弱いですわ。雑魚だけでも倒せてしまいますもの。」
「リトリーの言う通りだ。軍を強くしすぎたのか、勇者が弱いのか。もしくは…。」
「閣下!勇者たちも残すところ勇者だけとなりました!」
中級悪魔が魔王に報告にきた。
72の悪魔が一斉に魔王を見た。
「気が乗らんなぁ。儂の出る幕じゃない気がするんだけど?そう思わないか?バームよ。」
「何を言います。勇者を殺すなら魔王と相場が決まっております。」
「でもさぁ、弱すぎる勇者倒しても末代の恥じゃない?」
「それは一理ございますね。さすがは魔王様!この先長い将来の事さえも見据えておられるなんて!
浅はかな発言、どうかお許しください!」
「良いのだバーム。対勇者戦は難しい。先代もおっしゃっておられた。
勇者は高貴で神聖な存在。故に正義で、故に最強だと。そして何よりも魔王は死ぬ運命だと。」
魔王はうなだれる。
この場にいる全員が、魔王は仙台の言葉を思い出し、死を覚悟しているのだと。
しかし、ただ一人魔王は違った。
今の勇者はまるで喧嘩を覚えた赤ん坊。
死を覚悟せずとも勝敗は目に見えている。
なぜ女神はあのような者を選び、今儂を殺さんと送ってきたのか…。
「解せぬ!」
魔王は立ち上がり大きな声でそう言い放った。
と同時に、ドーーン!!という音ともに王の間に純白の羽が舞い降りた。
「やぁやぁ、悪魔諸君!元気にしているかい?」
「フラム!清き女神が何の用だ!!」
舞い降りたのは女神フラム。
勇者の器を見つけ、力を与える神。
72の悪魔全員が席を離れ、魔王を守らんとすべく陣をとる。
「さすが、歴代最高の魔王軍。一分の隙もない。」
「何の用だ?儂は今貴様の大事な勇者と戦っている最中なんだが?」
「そうそう、その件。君達も思っているだろうけど、今の勇者達は少しばかし弱くてね。」
少し…?
「魔王討伐という任務はおろか、魔王城到達すら不可能だと思うんだ。」
「まぁ、無理だろうな。」
「そこで私、女神が直々に魔王を討伐し、平和を取り戻そうというわけよ。」
「それはそれはご苦労なことだな。だが、すんなりやられるつもりはないぞ?」
「それは見ればわかるさ。というか、殺すのは正直無理だよね。
だから、この私自らが捨身となって諸君らを退治しようと思ってるんだよね。」
「ほう?貴様自らが。女神じゃなければ労ってたところだ。」
「てか、元はと言えば魔王、貴方が「全人類奴隷化計画を明日から始める!」とか言わなきゃこんな事態になってなかったわけだからね?」
「すまんな。さっさと世界征服して普通に過ごしたかったんだ。」
魔王は静かに立ち上がり、杖を呼び出した。
「魔王様、いかがいたしますか?」
「儂とて女神は殺せん。故に追い払うしかあるまい。」
「「御意」」
魔王臣下72名、女神へと攻撃開始。
「悪いわね。迎撃するつもりは元からないから。」
女神は羽を広げ、光を放つ。
その光は神聖・神秘、悪魔に反する全てが悪魔の動きを止めた。
まばゆい光の中から声がする。
「汝ら悪魔、我を崇めよ。我を讃え、我を信じよ。我が名はフラム。貴様らの魔を喰らう神なり!」
女神フラムの声を最後に、魔王含め72の悪魔が魔王城より消息を絶った。
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ちなみに、勇者ムーは魔王城から放たれた突然の光に気を取られた瞬間に串刺しにされたそうだ。