表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

phase.1「宣戦布告は花火の音で」

初めましての方は初めまして、また会ったっていう人は私ですよ、みち木遊です。

恋愛系ばっか書いてるのは趣味、という事で新連載です。

これだけは安定した機関で書きたいという事で短めに書いていますが、やっぱりまだまだな小説しか書けませんでした。

ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

では、物語の始まりですっ!!

  プロローグ


 俺こと水端みずはた雄大ゆうだいはどこにでもいる普通の高校生だ。

 友人に五線ごせんかなでという少女と大土谷おおとや正樹まさきという少年がいる。

 彼等とは、良く行動を共にするし、遊びに行くときは奴等がいなければ始まらないと思えるほどだ。

 それこそ、友人と言う関係が一番いいことであり、そこから進むことも、退くこともあまり快く思わないくらいに。

 だが、俺は彼等と共にいるとなんとなく居心地が悪くなる、そんな思ってもみなかった瞬間ときが僕に振り掛かった。

 ある日の放課後のコト、俺が席を外し、二人の元に戻って来た時、聞いてしまったのだ。

 五線が大土谷に恋愛の相談しているところを。

 そして、五線が思いを寄せている人物が俺だとという事を。

 俺も最初は聞き間違いではないかと思った。

 でも、聞き間違いではなかった。

 ましてや思い込みではないといえるレベルで、彼女の胸の内を盗み聞きしてしまった。

 その日を境に、彼等にどう接すればいいか分らなくなってしまった。

 大土谷は三人で遊ぶ日に限って、ドタキャンする回数が増えたり、五線は変な方向に積極的になったり。

 彼等も変わってしまった。

 だから、俺は今、彼等といて心地がいい気になれなかった。

 いやむしろ、心地が悪い。

 俺も俺で気を使ってしまうし、彼等も彼等で自然に振舞おうと気持ち悪くなってしまった。

 俺は今までの裏表のない付き合いに戻りたかった。

 でも、多分、もうそんな日々は戻らない。

 俺はもう戻らない日々を戻りたいと願いながら、今日も、彼等ともに青春を謳歌する。

 気持ち悪くなってしまった青春を謳歌する。


  1


 本日、夏休み、学校はない。

 夏休み万歳、学校に行かなくていいこの日々に万歳。

 そう喜んで、自宅での休養に精を出している俺に一通のメールが携帯に届いた。

 送り主は五線。

 その内容を恐る恐る開くと、『今から、一緒に近所の神社で行われているお祭りに行こう』という旨のモノだった。

 そのメンバーの中にはいつも通り大土谷の名前があった。

 つまり、いつものメンバーで遊びに行こう、という意味のメールという事になる。

 あの時がふと、頭を過ぎったが、俺は少し悩んでから、『行く』と言いう旨のメールを五線に送り、俺は外に出る準備を始めた。


  2


 一時間後、待ち合わせの時間、五分前に俺は集合場所に着いた。

 そこにはすでに五線がいて、彼女は俺を見て、いつも通りの明るいテンションで、

 「お、五線じゃん。大土谷と一緒じゃないの?」

 と、挨拶といつものテンプレートと化した『大土谷と一緒じゃないの?』を同時に言ってくれた。

 確かに、学校では大土谷アイツと共にいる時間が多いが、

 「いや、アイツ、後から来るんじゃねーの?」

 と、いつも大土谷と一緒にいる訳ではないんだぜ、と思いつつ答えた。

 それにしても――、

 「奏、浴衣着て来たんだな」

 動き回らないと死ぬような性格をしている奏の珍しい浴衣姿に追われは驚きつつ、反応する。

 ピンクを基調とした花柄が良く映える浴衣を見せびらかすように「そうなんだー」と、楽しそうに眼の前でくるりと奏では回ってみせる。

 いつもは髪なんて結んでいないのに、今日に限って、ポニーテールにして、束ねているせいか、回ったときにチラッと見えたうなじに視線が自然に魅かれてしまい、少しドキッとした。

 男ってやっぱそういうのには弱いなぁ、と恐ろしいほどの客観的な感性を発揮した始めた俺に五線は、

 「ねぇ、これ、可愛いかな?」

 裾をつかみながら両手を軽く上げ、少し恥ずかしそうに俺に訊いてきた。

 「うん、可愛いんじゃないか?」

 俺は胸の高鳴りを感じながら、平静に答えた。

 その答えを聞いて、

 「えへへ、ありがと」

 と、彼女は嬉しそうに頬を染めながら、笑った。

 本当に変に意識してしまう、マジで何なんだ、この状況。

 俺は、そう思ってっていると、

 「…待たせたな」

 と、某蛇を彷彿とさせる作り物の渋い声で大土谷が到着した。

 「お、来たな」

 俺は大土谷が来たことを確認し、

 「行こうか」

 と、二人に呼びかけ、俺たちは目的地である、神社に向かった。


  3


 「やっぱ、人いるなぁ」

 最初に神社の様子を見て呟いたのは大土谷だった。

 「そうだな」

 「そうだねー」

 と、俺と五線が順に返す。

 このお祭りは元々、地元でも有名なお祭りで、毎年、それなりに人は来ていた。

 それが最近になって、外国紙人観光客が増えたことによって、さらに規模は大きくなり、他人はそれに合わせるように増えたのだった。

 そのせいか、人混みはまるで川が氾濫したかのような状態になっていた。

 「これは固まって動かないとはぐれるパターンだよね…」

 五線は苦笑いでそういうと、大土谷は目を光らせた。

 俺は瞬時に大土谷に警戒を巡らす。

 こういうタイミングで目を光らせる大土谷は危険だという事を友人歴の経験が語っている。

 「大土谷、お前、俺の近くな」

 と、俺はなにより先に、大土谷の行動に釘をさすと、

 「お前、男が好きなのか…?」

 と、ドン引きされた。

 「そのネタはなんか面白くない」

 俺は、そういって切り捨てると、大土谷は、

 「なんだよ、ノらねぇのかよ」

 と、拗ねたように言った。

 いや、そのネタは扱いが難しいというか、返しが面倒臭いんだよ、と心の中でツッコミを入れた。

 俺は、取り敢えず、大土谷を放って置くことにして、五線に、

 「どうする?」

 と、だけ聞いた。

 「そうだね、それじゃ、BLボーイズラブ達は私に付いて来ればいいんじゃないかな」

 と、微妙な毒が入り混じった言葉をジトッと目を細めて投げかけた。

 「それじゃ、そうするよ。あと、俺はノーマルだからな」

 俺は五線の提案に肯定しつつ、濡れ衣を晴らそうと反論を同時に行った。

 形はどうあれ、俺たちは、彼女の言った通りに固まって、人混みに入って行くことにした。


  4


 人混みに入り、一時間が経った。

 進み自体は遅いものの、様々な出店を回りながらそれなりに楽しんでいた。

 だが、問題が起こった。

 俺と付いて来るようにして歩いていた大土谷が逸れたのだ。

 まるで、某奇妙な冒険の後ろに立つ精神のビジョンのように付いて歩いていて、逸れる可能性がないと言っても過言ではないと思っていた大土谷が逸れたのだ。

 俺と五線はどこで大土谷と再合流しようかと、話していると、五線の携帯に一本の電話が掛かった。

 「あ、正樹からだ」

 五線は携帯の発信者表示を見て、そう呟いた後、通話し始めた。

 恐らく二分くらいだろうか、そのくらい話し、彼女は携帯をしまった。

 「どうだった?」

 俺は彼女に尋ねると。

 五線は苦笑いを浮かべながら、

 「妹と会ったから妹と回るって、言ってた」

 大土谷の離脱を告げたのだった。


  5


 大土谷のことだからこういうことをするんじゃないか、俺はアイツが人混みを見て目を光らせた時にはそう予想していた。

 すると、案の定これだ。

 実際、アイツには妹がいて、妹と仲睦まじいのは周知のことだった。

 だが、それを利用し、 俺と五線だけにしようとは思い付かなかった。

 本当ににやってくれたと思う。

 いい意味ではなく、悪い意味で。

 大土谷のわざとは意図が見え透いてしまっているのだ。

 メールの時に大土谷の名前を見た時から、なんとなく見えていた。

 ちょっと前だったら、大土谷には俺から誘うというのがいつもだった。

 だが、最近になって、最初から大土谷が誘われている状態で俺に連絡が来る。

 その日、たまたまだとは言い切れないほどの回数で、そうなっていた。

 その理由を俺は知っている。

 俺が盗み聞きをしてしまった、あの時を境にそうなっているから。

 だから、俺は気分が悪くなった。

 だが、五線の前でそんな顔をしてはいられない。

 俺は、半ば強制的に、平然を装った。

 五線は、少し嬉しそうな、緊張しているような、そんな表情をしていた。

 俺は、まぁ、五線はそうだよな、と客観視し、

 「それじゃ、二人で回るか」

 と、五線に言うと、

 「うん」

 と、五線は答え、自然に、俺の手を握った。

 その自然な流れにドキリと再びさせられるが、どうも、いい気はしなかった。


  6


 時間は矢の様に過ぎ、夕暮れ色が祭りの会場を染め、ソレに負けじと、街灯の白い光が道に灯り始めた。

 俺と五線は結構進み、手には出店でゲットした景品がそれなりにあった。

 「たのしいね」

 五線は俺に、笑いかける。

 「そうだな」

 俺は五線に平静を装い、返す。

 俺はやはり、今の五線が好かなかった。

 変に意識しながら、積極的に接してくる。

 それが嫌だった。

 いつも通りに、土足で何も気に留めないで接してくる方が、まだ好感が持てた。

 知っていることが知っていることだからか、それとも、俺が今の関係を続けたいと思っているからか。

 どの道、彼女のそんな接し方が、気に入らなかった。

 そんなドロドロとした感情と、五線のあまり見せない表情や仕草にドキリと何度もさせられていた。

 そう、思っているそんな時、神社のアナウンスが掛かる。

 『午後八時から、花火大会が始まります。それに伴い、夜間は会場がさらに混むことが予想されますので、落とし物や、盗難などには気を付けてお楽しみください』

 それは、ある意味、カウントダウンだった。

 花火を見に行こうと彼女に誘われるのはわかっている。

 いつものように俺は条件反射でそれを了承するだろう。

 そして、案の定、五線は提案する。

 「花火見に行こうよ」

 そして、見つけることが俺は条件反射で答える。

 「そうするか」

 俺は、もしかすると、バカなのかもしれない、そう思えた。

 午後八時、俺は五線をフラなければならない。

 友人の進む勇気を無駄にさせ、悲しませることは避けてはと通れないだろう。

 そんな苦い時間のカウントダウンが今、動き始めた。

 

  7


 午後七時五十分、俺と五線は神社から離れ、あまり人がいない花火が良く見える場所を選ぼうと、小さな川に掛かっているそれなりの大きさの橋にいた。

 でも、花火が良く見える場所だというのに、あまり人がいないを通り越し、人っ子一人もいなかった。

 二人きりの空間。

 むず痒い感覚が背筋を撫でる。

 街灯だけが、ただ静かに辺りを照らし、二人をそこに閉じ込める。

 川の流れる音がはっきりと聞こえ、自分の心臓の音が耳に響き渡る。

 隣りに立っている五線は手を胸に当て、頬を朱に染めて、俯いていた。

 俺はその雰囲気に耐えきれず、彼女に適当に話を振った。

 「今日は、楽しかったな」

 その言葉に、五線は慌てて、

 「そ、そうだね」

 と、返す。

 そして、できるだけ、話しを続けようと、俺は続ける。

 「射的とか、久しぶりにやったよ」

 「雄大、あんまそういうのやんないからね」

 「そうなんだよな、俺は食べ物のを食ってた方がいいと思う人種だし」

 「花より団子だね」

 「俺は団子オンリーだけどな」

 「あはは」

 そんな他愛のない会話をし、流れがすぐ止まった。

 何て、居ずらい空気感なんだ。

 それに今の今まで手握りっぱなしだし。

 そろそろ手汗をかいてもおかしくはないのだが、いろいろと冷えるこの状況にそんなものは出なかった。

 そして、突然、五線は手を離し、五線は俺の方に向いた。

 俺はソレに、何気なく向き合う。

 そして、五線は顔を真っ赤にしながら口を動かした。


  8


 「ねぇ、雄大。私ね、今日、ここに誘ったのには理由があるんだ。途中で正樹がいなくなったのも、実は私はそうして欲しいって昨日頼んでたからなんだ…。…、私ね、雄大のことが好きだよ。大好きだよ。私の恋人になってほしいって、友達じゃもういたくないから。恋人として、大切な人して一緒にいて欲しい」

 「…そうか。…うん、わかったよ」

 「…それじゃあ―――」

 「…いいや、ごめんな、俺はお前と付き合うことはできない」

 その時、花火が空へと打ち上げられ、きれいな色の光をまき散らしながら、二人を照らした。


  9


 俺は五線をフった。

 花火は轟音を立て、空で美しい色を吐き出すように爆ぜる。

 それはまるで、今の五線の心を表しているように思えた。

 五線は、俺の答えに唇をかみしめ、上を向いた。

 そして、彼女は言った。

 「そっか、わかった。そうだもんね。…雄大は友達は友達でいたいって人だもんね」

 強がっている涙声で、一言一言紡ぐように。彼女は言った。

 そして、彼女は続ける。

 「ごめんね、私が悪かった」

 彼女は、顔を元に戻し、目元をごしごしと拭い、俺を見つめ、指差す。

 その表情はさっきまでの涙声を出していた奴とは思えないほど、俺のことを真直ぐ見つめた威勢のいい表情かおだった。

 そして、彼女は宣言するように言った。

 「だから、今度は、私を振った雄大がフったことを謝るくらい頑張って、特別な存在になってやる。私に雄大から好きだって、言わせてやる!それまで諦めない!」

 俺はその言葉に、ドクンと心臓が跳ねた気がした。

 なんたって、変に意識した言葉では無く、彼女の本心からの言葉だったから。

 人の所に土足で入り込んでくるような、いつもの彼女に俺は、魅かれた。

 だから、

 俺はニヘラと笑って、

 「それじゃ、頑張れよ、そのケンカ、買ってやるぜ」

 と、偉そうに、いつものバカ騒ぎするテンションで。

 「雄大、言ったんだから首を洗って待ってろよ」

 「洗う必要がないけど、洗っといてやるよ」

 いつものように啖呵を切って。

 二人して、馬鹿みたいに笑った。


  10


 俺こと水端雄大はどこにでもいる普通の学生だ。

 友人に五線奏という少女と大土谷正樹という少年がいる。

 五線は俺に好意を抱いていて、俺は一度、彼女の告白を断った。

 だが、彼女はめげずに宣戦布告をするかのように諦めないと言った。

 大土谷は、そうなった次の日に五線からこの話を聞いたらしく、観戦してやるよ、と笑った。

 こうして、俺と彼女の恋愛戦争が幕を開けた。


初めましての方は初めまして、また会ったっていう人は私ですよ、みち木遊です。(二回目)

いかがだったでしょうか?

『戦争ぽいことやってないやん』とお思いの方、いらっしゃると思います。

実際やってないです。(真顔)

ですが、連載物で一話のラストに宣戦布告したという事は、どういうことなのか、言わなくてもわかりますよね…。

そう、次回から、私の本領発揮ですっ!

もともと、イチャラブ系と言うジャンルを知ってからこんなの書きたいなと思って、書き始めたこの企画。

やる気しかないこの作品だけは一定のスパンで投稿したいと短めに書いていますが、内容は濃くなっているはずです。

そして、今後、展開が広がるにつれ、濃度が高くなり、カルピスの原液からジャムの直食いレベルにへと変貌できるようにやっていくつもりです。

まだまだな文章ですが、頑張って努力していくので、よろしくお願いします。

活動報告や投降予定日などは個々の活動報告ではなくツイッターでやっていくので、そちらもチェックしていただけると嬉しいです。

では、今後ともよろしくお願いします。

また次回お会いしましょう、ばいばい!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ