一ノ瀬 彩(いちのせ あや)
人は、少なからず自惚れながら生きている。
〇
軽い男性恐怖症、または嫌悪している。特に触られる事が嫌いで、性的対象に見られる事を酷く嫌う。性的対象=恋愛対象である。世間一般的には必ずしもイコールではないが、彩にとってはイコールである。彩も一般的ではないと自覚している。
彩の不思議な所は、性的対象に見られると言っても仕事となればある程度平気になる点である。実際彩は風俗店でもバイトをした事がある。個人的に割り切りの関係を持つ相手も複数いる。しかし割り切りだからこそ、プライベートへの干渉を毛嫌いする。
彩にとっては、棲み分けは重要なものなのだ。
〇嫌いなタイプ〇
彩にとっては、誰もが等しく他人だ。家族でさえも、大きく分ければ他人なのである。
にも関わらず、自分だけは違うと自惚れを発揮した愚か者が尋ねる。どうして結婚したくないのかと、彩は律儀に答える。好きでもない相手の欠点を知れば嫌いになるか煩わしくなるかだ。彩に恋愛感情は殆どないが、常識はある。だからこそそれをオブラートに包み説明するも、何故だかそれは相手にはっきりと伝わらない。
それどころか相手は思うのだ。自分こそが彩の心を開けるのだと。
彩にとってはただ迷惑なだけである。




