日本酒について思う事、色々
独断と偏見が炸裂!してるかもしれませんが、宜しかったらどうぞ。
電子書籍の現代ものを読んでいて、ふと気になった事があります。
登場人物が二日酔いで起きた朝、こう後悔しているのです。この二日酔いは日本酒を飲んだ所為だ、と。
私は声を大にして言いたい。
それは、誤解である、と。
とは言うものの、一概に否定しきれないのも確かなんですよね。
いきなりトーンダウンしてしまいましたが、理由があります。私の個人的な感覚でも、日本酒の酔い方は重いと感じるのです。
実際、居酒屋の飲み放題メニューに載っているような日本酒を飲むと、なんというか、悪酔いしがちな気がしますし。
では何故日本酒は悪酔いするのでしょうか?
以前、某国営放送の情報番組で取り上げられていた事によれば───
まず、日本酒とは『醸造酒』に分類されます。
原材料の米を酵母によって発酵させ、米のでんぷん質が糖化・分解されてアルコールができるそうです。
このアルコールも色々種類があって、蒸留という工程を経て作られる蒸留酒のアルコールは1種類。
それに対して日本酒の場合、アルコールの種類が3種類位あるそうです。
更に、発酵を途中で止める為、又は味や風味を整える為に醸造アルコールを足す場合があるそうで、日本酒はアルコールの種類が多いのです。
アルコールの種類が多くなればそれだけ肝臓に負担が掛かります。アルコールが人体から抜け難いのだとか。
だから、飲むんだったら、アルコールが1種類の焼酎等の蒸留酒の方が体に良いのだと番組でいっていました。(プリン体の事とかもあるそうです)
それに加えて、戦後米不足の折りに、三増酒などが出回ったのも原因だったかもしれません。三増酒は、今でいう食品添加物ががっつり添加されていたそうですから。
つまり、アルコールの種類が多くて体内で分解するのに時間が掛かるという事。
糖類や醸造アルコール等が添加されているものがあり、飲むとベタベタするという事。
こういった理由で、日本酒は良くないというイメージを持たれてしまった、と思います。
その後米不足解消や規制緩和により、きちんとした日本酒が各蔵元で造られるようになりました。
そうして起こった地酒ブーム。今は大分落ち着いているようですが、私もその頃日本酒の美味しさにハマりました。
いい日本酒は、ワインに匹敵するようなフルーティーで芳醇な香りがします。そして、スッキリとしていながら豊かで旨味のある口当りがとても心地良いのです。
手間隙かけて醸された日本酒は、悪酔いしません。と、思います。
一口に日本酒と言っても、お米の精米歩合や醸造の工程が違ってくると、
純米大吟醸、純米吟醸、吟醸酒、特別純米、純米酒、特別本醸造、本醸造、
と私が知っているだけでこれだけの種類があります。他にも、生貯、寒仕込み、秋上がり、中取り、袋吊り等々。
蔵元が違えば、同じ様に作っても全く違う物が出来上がりますしね。
とにかく組合せと種類が多い、多種多様なのです。
ご参考迄に、我が家で飲む銘柄は、
鳳凰美田、正雪、英君、臥龍梅、初亀、開運、黒龍
といったところです。居酒屋で見掛けたら飲むのが、
南部美人、飛露喜、佐久の花、斬九郎
うーむ。見る人が見れば、何処の地酒か丸わかりだと思いますが、我ながら見事に蔵元が偏ってますね!
ほぼ中部より東のものばかりです。
なんだろう……糸魚川静岡構造線で分かれてるみたい。生物相も地質も違いがあるそうですから、何か関係している…訳じゃないとは思いますが。
それはともかく。
中部以西にも、美味しいお酒は沢山あります。ありますが、残念ながら私の好みではありません。なんというか、水が合わない?そんな気がするのです。
ちなみに、上記したお酒を目隠して飲み比べても、区別がつかない自信があります!(だめじゃん)
まあ、嗜好品ですからね。
美味しいと思って飲むことが大事だと割り切っておりますが、何か。
さて、何故日本酒が好きなのでしょう?
その理由を考える前に、私の好きな本の登場人物の言葉を引用します。
「そのウィスキーの持っている雰囲気だ。(略)いいものは、口に含むと、とてもなつかしい風景を喚起する。水の音、泉、生えた葦、麦畑かもしれない。かすかに緑がかった青空、古い大きな建物、鳥の声。ウォッカ、テキーラ、ジン、ワイン、ブランデー、みなそういう風景が違う。おれはウィスキーの風景が好きなんだ」
口に含んだ時に喚起する風景。
私が日本酒を飲んだ時に喚起する風景は、
萌え出る若葉、木漏れ日が射し込む先には白糸の様な澄んだ清流。
ありきたりですが、青森の奥入瀬を思い浮かべて頂ければ分かりやすいかと。
マイナスイオンやフィトンチッドがたっぷりって感じがしませんか?
日本酒を飲むと、ホゥと体の力が抜けて、ゆったりするのです。
まぁ、個人の主観なので私だけかもしれませんが、飲んだものによって酔い方は違うと思います。
ビールは、パッと酔ってサッと醒める。
焼酎やウィスキー等の蒸留酒は、食道から胃にかけてカッカするような酔い方で。
日本酒は、体全体が酩酊する様な、そんな気がします。ふわりと酔いが廻る、そういうところが気に入ってるのかもしれません。
こればかりは、個人の趣味嗜好・感受性によるので一概には言えませんが。
その製造過程も大変手間隙が掛かる日本酒。最近まで酒蔵は女人禁制だったくらい酒造りは神聖なものとされ、そこで作られたお酒は御神酒という神様への奉納品にもなっています。
何よりも日本の気候風土の中で、育まれ醸し出されてきたものです。
日本人に合わない訳がない!(暴言)
飲み過ぎは別ですよ?
過ぎれば、日本酒だろうと焼酎だろうとワインだろうと悪酔いするし、二日酔にもなります。
ようは、自分の得て不得手と適正酒量、好みを知って楽しく、また美味しく飲めるかどうかだと思います。
お酒は二十歳から。
用法用量を守って、楽しく飲みたいですね。
海外にも『SAKE』で通るぐらい認知されてきているとか。
日本酒に対する偏見が、少しでも解消される事を願って止みません。
そんな日本酒について思う事、色々でした。
引用文出典:神林長平著/ライトジーンの遺産