たけのこについて思うこと、色々
間が空いてしまいました。日記風なのに。こんなグダグダですがよろしかったら、どうぞ。
春はあけぼの、
などと書き出せば大変風雅ですが、私にとって、
春はたけのこ────ですネ
それは、父に纏わる思い出話でもあります。
私の父は公務員でしたが元々農家の出で、土に触れて何かを育てたり、収穫したりしていないと居られない人でした。
庭の一角の六畳間位の面積を家庭菜園と言う名の畑にしていた時には、目を疑いました。おかしいな、引っ越して来た時には造園業者がそれなりの日本庭園風に調えてくれていた筈なのに、何故畝が在るんだ、と。
夏には、茄子・胡瓜・トマト。
冬は、大根・白菜・ホウレン草。
家庭菜園や、ベランダガーデニングをされる方ならば分かって頂けるでしょうが、一畝に何本も苗を植えて育てると、はっきり言って家族では食べきれない量が収穫出来ます。
だから私の実家では、旬の物を、旬の時に、イヤって程食べるのが定番となっていました。
たけのこもそうです。別に竹林を所有していた訳ではありません。
離農された方が所有している竹林を、手入れするのと引き換えに自由にさせて頂いていたのです。
竹林も手入れしなければ、ただの竹藪なんだそうで。間引いたり、下草を刈ったり、必要なら肥料をやったり。
父は人様の竹林を嬉々として手入れしていました。
そして今のこの時期、3月下旬から5月の中旬頃迄が、たけのこのシーズン。
仕事をしていた時は、週末にたけのこを収穫して届けてくれたのですが、兎に角その量が半端ない。
45lのゴミ袋に一杯の水煮たけのこ。
本当にゴミ袋に入れてきた訳ではありません。密閉出来るコンテナのような収納容器で届けてくれましたが、
夫婦二人でどうしろと!?
こんなに要らないと言っても、もう届けてくれたものだし、ナマモノだしで、慌てて配り歩いたのも良い思い出です(遠い目)
本当に、本当に大変だった。
週末に必ず来る訳ではないし、持ってくる量も分からないので、事前にそれとなく友人知人に連絡していても、やっぱり当日に、
たけのこ、貰ってーーー!!!
と電話を掛けまくって、配り歩く羽目になり。
ダンナにも職場の方に声を掛けて貰って、配り終えた時には、ゼーゼーいってましたね。
こちらが渡したものを笑顔で「ありがとう」と受け取ってくれる人は女神様で。
もっと貰ってもいいよ、と言ってくれる人は仏様か、と思わず拝みたくなったものです。いやいや、マジで。
そんな戦々恐々とするたけのこ騒動(?)が多い時には毎週あって。
何 で そ ん な に 採ってくるんだ!?
と文句を言っても、出てるから仕方ない、とか意味分からん。
人様の竹林なのに~~~~~
兎に角、父はたけのこを掘るのが好きで、食べられる量は考慮してなかった。食べない分は配れば良い位に軽~く考えていたんじゃないかと。
私もイヤって程食べるのが常態化していて感覚がおかしくなってそうだったので、友人の所に届けに行った時、好きなだけとっていいよ、と友人がどれだけ取るかみてみました。
大体、長さが20㎝弱の水煮たけのこを一本半ぐらいでしたね。スーパーで売っている真空パックの水煮たけのこだと2パック位?
え、それだけ? と思いましたが、友人曰くこれだけあれば土佐煮と筍ご飯にチンジャオロースが出来るし、残ったら筑前煮にするとの事。
成る程、人にあげるのに迷惑にならない量はそのくらいかと参考になったのですが。
あの、我が家の冷蔵庫にはその10倍ぐらいあるんですけど。
その量を一週間で食べきらないと、
次 が 来 る
配るのも大変でしたが、消費するのもまた大変で。
土佐煮や筍ご飯は言うに及ばず、思い付く限りのたけのこ料理を作りましたね。
アレンジし易かったのは、やっぱり中華系。
麻婆豆腐ならぬ麻婆たけのこ。
エビチリならぬ、たけのこチリ。
チーズ焼きに、ホワイトソースに白味噌入れて和風グラタンにしたり。
兎に角、たけのこを、メインに使う料理を必死で作りました。
結構頑張って色々作ったと自分では思っていたのに、昆布と煮干しで出汁をとり醤油と味醂で煮たたけのこが、一番無難で美味しかったという悲しい現実が (涙)。
それはともかく、たけのこが食卓にのぼらない日は無く、どこかに必ず入っているという、たけのこ尽くし。
お蔭でシーズン中はお通じが快調でした!
食物繊維タップリだからね☆
お父さん、ありがとう!
量を考えてくれたら、もっと素直にお礼が言えたのにね!
もはや、たけのこ来襲って感じだったよ!!
正直、実家から掛かってくる電話に怯えてたなんて、大きな声で言えなかったけどね!
そんな春の一騒動は、父が脳梗塞で倒れる迄続きました。
幸い命に別条は無かったのですが、半身麻痺の後遺症が残り、介護保険の申請やら施設を探すやらバタバタしている時に、ふと、もう父がたけのこを大量に掘ってくる事は無いんだなと、頭に浮かび。実際にあの竹林にはもう行かなくなったし、家庭菜園も野草植物園と化しました。雑草だらけとも言います。
最期には癌で亡くなって、早数年。
スーパーで初物のたけのこを見掛けるようになると思い出す、あの騒動。
実はものすごい贅沢をしていたと、当時を振り返って思います。実に無造作に惜し気もなく調理していました。面倒になると、最後にはカレーに入れちゃってたからね!
自分で水煮たけのこを買ったなら、絶対しない。
などと当時を懐かしみながら、生たけのこを2・3本買って、煮ています。シーズン中にあと3・4回はそれぐらいずつ買って煮るかな?
というか、毎日、必ずどれにでも入っている料理は無理にしても、たけのこを食べないと何か忘れ物したようで落ち着かない、と気付いて愕然としました。しかもそう思うのは、シーズン中のみ。生たけのこが出回っている時だけなのです。
習慣って恐い。
2本位のたけのこじゃ、煮た気も食べた気もしないという……
習慣って恐い (ry
まぁ、あんな量を自分では中々用意出来ませんから、買ってきた生たけのこを大事に下茹でして、大事に煮て食べています。
スーパーで複数本たけのこを買っている主婦がいたら、それは私かもしれません。
そんな、たけのこについて思うこと、色々でした。
お読み頂きまして有り難うございます。