季節廻らぬ国の童話
改めまして舞台説明です。冬の童話祭の設定をベースにしつつ色々と改変しています。
とある世界の、とある大陸には、四つの国がありました。
東の国。
南の国。
西の国。
そして、ここ、北の国。
その四つの国には、春・夏・秋・冬、それぞれの季節を司る女王様がおりました。
女王様たちは決められた期間、交替で、それぞれの国に建てられた塔に住むことになっています。
そうすることで、その国にその女王様の季節が訪れるのです。
ところが、今から百年ほど前、大陸では大きな戦争が起きました。
四つの国は互いに対立し、憎み合い、殺し合いをします。
地は荒れ、空は喚き、何人も、数百万人も死にました。
やがて、そのような戦争が終わってから、
東の国では、いつまで経っても春が終わらなくなりました。
南の国では、いつまで経っても夏が終わらなくなりました。
西の国では、いつまで経っても秋が終わらなくなりました。
そして……
北の国では、いつまで経っても冬が終わらなくなりました。
女王様たちが、それぞれの国の塔に入ったまま出て来なくなってしまったのです。
そうして、数十年もの間、この大陸で季節が廻ることはありませんでした。
それから時を経て、今から数年前。
北の国……常冬の国の王様が、突如お触れを出しました。
『冬の女王と春の女王を交替させた者には好きな褒美を取らせよう。
ただし、冬の女王が次に廻って来られなく方法は認めない。
季節を廻らせることを妨げてはならない。』
何故、今更になって、このようなお触れが出たのでしょうか。
あんまりに唐突で、北の国の民たちはただただ困惑するばかりでした。