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心の変化

京介と未来の距離が縮まってくるので


やっと恋愛小説に入ったような


気がします。



ともに泣き心を癒した俺ら。手を強く握りしめ熱を感じあう

「京介さんは強いですね」

「強くなんかねぇよ」

「私がもし京介さんと同じだったら耐えられません」

俺は笑うと、未来に顔を向けた

「耐えられなくて泣いたろ?弱いんだよ。俺は」

「今まで我慢していたものが溢れたんですよ。ここまで我慢するのは難しいことです」

彼女は優しく微笑む。しかしガラス玉のような目は今にもまた泣きそうな雰囲気を漂わせていた。

「涙目」

「大丈夫ですよ」

「大丈夫じゃねぇだろ」

「あなたのほうが私は心配ですけど」

「俺は、もう流しきったから」

指を自分の目元に持っていく。

腫れていた、随分と泣いたらしい。

「....学校、明日は休むかんな」

「行くんですか?」

「さすがに明日は無理だけど、行くようにするよ」

「良かった。そうだ、同じクラスっていうのも知りませんよね?」

「まじか....」

「まじです」

俺らは笑いあった。しばらく、休むとお互いに落ち着き気がつくと手は離れていた。...少し寂しく思ったのは俺だけ?

「それじゃ、明後日な」

「はい明後日お会いしましょう」








別れて家に帰る途中ふと気付いた。

手が...震えていたことに。

未来の熱が微妙に残っている。はじめて、面と向き合える人に会ったような気がした。

多分それは未来だ。










「....ただいま」

「お...おかえり」

珍しい物を見るような目をして母親が迎えてくれた。

「...なんだよ」

「なんか顔が柔らかくなった」

「そうか?」

「...とにかく上がりなさい。ご飯できてるから」

「おお...」

母親が笑顔で言う。なんか、母親の笑顔を見るのも久々なような気がした。

ご飯を食べると泣きそうになった。なぜだろう.....。

ああ....そっか俺のために作ってくれたのか。







食べ終わり、部屋に戻ると未来から貰ったキャンパスが目に映る。埃が被っているのかが気にかかりキャンパスの端を指でなぞった。

しかし....埃は被っていなかった。なぜかキャンパスは綺麗のままで輝き続けている。

「そのキャンパス気に入ってるんでしょ?」

後ろから声が聞こえ振り返った。....母親が笑いながら言う。

「見たのか?」

「うん...部屋の掃除をいきなり仕出したから気になって覗いちゃたのよ」

「....そうか、掃除ありがとう」

「いいえ、最近ちょっと京介が変わったなって思ったけど変えたのはそのキャンパスね」

「そうなんだよ。でも」

言おうとしたところで母親が割って入る。

「キャンパスをくれた娘でしょ」

「....そうだよ」

「良かったね。そんな人と出会て」

「ああ....」

俺は笑顔で答えた。







ベッドに寝そべった俺は息をはく。今日は未来に助けられてばっかだった。未来は必死になって探してくれた俺のことを。

そして、止めて一緒に泣いてくれた。笑ってくれた。悲しみを半分にしてくれた。

未来...あんたは本当にすごいよ。俺には真似できないな。

俺は....増やしてきたんだ、悲しみを。だから半分にするなんてできない。

「....未来みたいになりてぇよ」

俺はそう言うと目をつむり深い眠りに落ちた。






朝、腫れた目は治っていた。

(あんだけ泣いたのに...)

少しびっくりした。一日で治るのは珍しい。....目も治ったし、学校に行くことにした。

(川原に未来はいるかな)

期待をしながらも川原へと向かった。通り道だからついで、というのもあったが。

見ると予想通り未来は絵を描いている。

「未来ー!」

声をかけるといつもの笑顔で振り向いた。

「....あれ?今日は来ないはずでは?」

「目の腫れが治ったからな、行くことにしたんだよ」

「そうですか、それは良かったですね」

未来の目も治っていた。

いつもと同じ優しい目に戻っている。

「あんたも治ったんだな」

「ええ、良かったですよ。聞かれたときの言い訳が思いつきませんし」

「まあ....迷うわな」

「....というか事件は納まったのにまだ不良の格好なんですか」

「いきなり戻れるわけないだろ」

彼女は「それもそうですね」と笑って言う。

まだ、学校までに時間があったから少し話すことにした。

「....なんか、いろいろとありがとな」

「どういたしまして」

「....あんたに会ってから俺さ、少し変われたような気がするんだ」

「私はなにもしてないですよ」

「いや、してくれたよ。たくさん...な」

俺が笑って言うと未来はにっこりとした。

「....?」

「京介さんは笑ったほうがいいです」

「なんだよ。いきなり」

「....暗い顔は合わない、という意味ですよ」

「いや、だから...」

「あなたの笑う顔が好きなんです。だから笑ってください」

”好き”という言葉に反応した俺は顔が赤くなってしまった。

思わず、顔を未来から背けた。

......やばい、未来の顔がまともに見られない。

俺、いまどんな顔をしているんだろう。鼓動が激しく体を揺らす。

「どう、しました?」

ハッとすると未来は心配そうに俺を見ていた。

「いや、別にどうもしねえよ」

俺は手を顔に持っていくと、自分の目が見えないように隠した。

熱くなった顔はなかなか冷えない。

「....もう時間ですね。行きましょうか」

「うお!?ああ....」

いきなり声をかけられて、体が震えた。

 未来と学校に向う。通学路には同じ学校の生徒らしき人たちが俺らを遠巻きにしていた。

(やっぱり、行かないほうがいいんじゃないか?)

俺は少し不安になった。今頃、学校に行ってなんになるんだ。

未来に肩を叩かれ振り返る。

「なんだ?」

「...大丈夫ですよ」

「あんたはエスパーか」

「顔にでてます」

「...そうかい」

”大丈夫”一言で安心するのはどうかと思うが、未来の言葉は心に響く。

なんか、ホッとする。





学校に着いた俺らはまず校長室に行った。

.....いままでのことは消えない。だから、人生をやりなおすんだ。

前の俺に戻る決意を....。



いよいよ、京介が学校に行く章に入りました。


学校生活や未来との関わりが深くなっていくので


よろしくお願いします!!


次回もお楽しみに!!

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