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彼女の言葉

京介と未来の関係が深くなっていく章にはいりました。


ここから京介の気持ちが変わっていくので


京介の気持ちの変化も気にしながら読んでもらえるとうれしいです。

バーから出た俺らは近くのコンビ二に足を運んだ。

「あんた...なんであそこが分かったんだ?」

「いろんな人に聞きまわったらあのバーについたの」

「それは...すげえな。まあとりあえずこれ飲め」

俺は買った飲み物を未来に投げ渡した。

未来はキャッチすると俯く。

「どうした?それ飲めないか?」

「いや...そうじゃなくてそのごめんなさい」

「はあ??」

顔が俯いていて表情が読めない。

ポタリ...と一滴の水が落ちた...それを俺は見逃さなかった。

「おい!!」

手を未来の頬に触れさせて顔を上げる。

「...振り回してしまってすみません」

「いや、振り回したの俺だし!!...ってかなんで」

...彼女の涙は止まらない。なんで泣いてんだ??

俺のため?

「...もし止めなかったら警察行きですよ」

「それを覚悟して...!!」

「そんなことで...!!人生を変えないでください!!」

「え??」

「確かにお話を聞いたとき、ひどいと思いました。けれど...その人を殺してあなたのお父さんは

 喜びますか...?”よくやってくれた”と言ってくれると思いますか?」

「......っ」

...彼女の言うとおり。多分俺は親父のためじゃなく自分自身にケリをつけるための

行動をしていたんだ。

「...自分のためだったんだな」

「........?」

「いや、なんでもない。....ありがと」

「そうですか」

俺らはしばらくコンビ二の前にいたが、未来が泣き顔というのもあって場所をかえた。

向ったのはさっきの公園。...ここで未来と別れたんだよな。

なのに...

「ぶはっ!!」

「なっなんですかいきなり」

「いや、ほんとにあんたすげえと思って」

「え?」

いきなり、笑いがこみ上げて抑えるのに必死だった俺は顔をそむける。

しかし、笑いのもとの彼女が顔を覗きこむから耐えられなくなった。

「あはははは!!!」

「人の顔見て笑いますか、普通」

「すまん、すまん」

「なんで、笑ってるんですか?こっちは必死だったのに」

「いや~すげえなと思って...ってかあのあとどうしたん?」

「探してたんですよ!!体力ないのに走って、倒れるのかと思いましたよ」

未来はため息をつく。

「そっか、でも助かった。本当にありがとな」

「...がんばったかいがありました」

そう言うと改めて言った。

「...学校いきませんか?」

「しつこいぞ」

「言ってもあなた、来ないじゃないですか」

「分かるんだったら、聞くな」

俺は笑った。彼女もそれに合わせて笑う。

「やっぱり、笑うと普通ですね」

「え?」

「不良になると感情が乱れるのかなって思ってたから」

「...そんなことはないだろ」

苦笑した俺を見て微笑む彼女はなんか綺麗だなと思った。

「...久々に心の中から本気で笑ったな...」

「....今まで、笑ってなかったんですか?」

「いや、親父が死ぬまではちゃんと笑ってたけど...親父が死んでから感情を出すことが少なくなった

って言うか出さなくなった...今でも覚えてるよ。”どうやって笑うんだっけ”とか”どうやって泣くんだっけ”って思った時期があったのを。それで、気づけばこんな風になって親に迷惑かけてる自分がいる。なにも...分からなくなって復讐に走った」

俺は未来のほうを見た手が震えている。手の甲には涙が小さい水溜りを作っている。「はあ~」と息をはくと未来の手を握った。

「あんたが深刻になることはないだろ」

「...あなたのかわりに泣いてるんですよ」

「....ありがと」

彼女の涙を指で拭うと頬をつまんだ。

「...なんですか」

「あんたは笑ったほうがいいよ。俺のために泣いてくれるのはうれしいけど」

「わかりました。でもあなたも笑ってください」

「...笑ってんじゃん」

「嘘です。涙目ですよ」

泣きたくて仕方がなかった俺は堪えていたものが一気にあふれ出た。

「....んなこと言うなよ。人前で泣くのは嫌なんだよ」

「男だからですか?」

「...そうだよ、分かるんだったら言うな」

...彼女の一つ一つの言葉はいくつもの思いが重なって思えた。

意味が深く、重みのある優しさがこめられたとても

とても綺麗なものだ。



いつか、見れるだろうか君と同じ景色を。

見れるといいな。

見れると信じたい.......。








読んでくれてありがとうございました!!


次回をお楽しみに!!

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