第3章 慶次が女の子を連れて来た
そんな事があった日から一ヶ月後、慶次が飲み会で遅くなった日、12時を過ぎた頃インターホンが鳴った。「俺だ、遅くなった。」慶次がインターホン越しに話した。ノイズがバリバリと入った。理沙は嫌な予感がした。ドアをあけると旦那が臭かった酒じゃなく、腐った匂い獣臭。霊の独特な臭いだった。「あなた、背中重くない?あら!嫌だ!あなたの背中にこの間の女の子がおぶさっている。部屋にはいらないで。」理沙は怒鳴った。「おばちゃん傘返しにきたよ。有り難う。」女の子が言った。傘は慶次が持っていた。「そうか、有り難う。向こうの世界には慣れた?」理沙が女の子に聞いた。「ううん。慣れない。だから、こうやっておばちゃんに会いに来た。まだ、こっちの世界に彷徨っている。お母さんもあっちの世界は水に合わないっていってるし、やり残した事があるって!あの日お母さん、私を迎えに来る途中事故で死んでいたんだ。だから迎えに来なかった。」女の子は理沙の顔を見て優しく微笑んだ。「ねえ、あなた、なんてお名前?」理沙は笑顔で女の子を見て微笑んだ。「私、鈴木真理子。小学1年生。6歳。」真理子は笑顔で理沙を見つめた。「今日は帰るね。バイバイ。」真理子は手を振って廊下を歩いていってエレベーターに乗った。理沙は塩を撒かなかった。また、真理子がこられるようにと。