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10.3

『ここだ』


案内された部屋は私が入ったことない部屋だ。


「ここは?」


『祥平の寝室だな』


「いいの?」


『俺は止めたぜ?案内はしたが、この先はお前が決めることだ。ただ、中途半端な気持ちならやめときな』


「覚悟はできてる。私、祥平のことが知りたい」


『そうか、じゃああいつを救ってくれ』


そっと部屋のドアをあけた。


綺麗とはとてもじゃないけど言えない。


いや、普通に汚い。


何度もお邪魔したことあるけど、どの部屋も“普通”だった。


ここは異常だ。


ゴミが散乱していて足の踏み場がない。


服も散乱している。


空気が悪い。ごみのせいなのか、変なにおいが充満している。


部屋は薄暗い。持ってきた携帯で足元を照らしながら部屋に入る。


「祥平さん・・?」


こんな場所に本当に祥平さんはいるのだろうか。


奥の方で何かが動いた気がした。

携帯のライトを向ける。


そこにはいつものかっこいい姿とは別人の祥平さんがいた。


恐怖すら覚える、空気感。目が、おかしい。


照らされた明かりで状況を察する。たくさんの残骸が、落ちていた。


“ドラッグだ”


「藍那―?、なんで来たのー?」


焦点の合ってない目でこっちを見ながらどこか陽気な声で祥平さんは言った。


「祥平さんのことを知りたくて会いに来ました」


「見られたくなかったなー」


「勝手に入ってごめんなさい。ここから出ましょう」


「うごけにゃーい。ここにいるってもう決めてるから出ましぇーん」


「ここにいたら病気になります」


「もう病気でーす」


怖い。祥平さんが遠くへ行ってしまいそうで。


「じゃああたしもここにいます」


「なんでー?」


「祥平さんと一緒にいたいからです」


「何も知らないくせにー」


「じゃあ教えてください」


「やだねー」


「なんでですか」


「楽しい話じゃないしー」


「構いません」


「突き放しても、いつでも君は無防備な姿で僕の闇に入ってくる」


「?どういう、」


「堕ちてよ、一緒に。もう優しくできない」


そう言って祥平さんは私に注射器を突き刺した。

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