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4.2

いいにおいがする。


「ごはん作ってた」


目の前に出されたのは照り焼きチキンだ。チキンの上にはアボカドが乗っている。付け合わせにサラダとごはん、スープが並べられていた。


「おいしそう・・」


「おいしいよ。食べながら話そっか」


見た目以上の料理の味だった。ごはんが溶けてなくなる。

ご飯がおいしすぎて箸が止まらない。そんな私の様子をみてまた祥平さんが笑った。


「料理が得意ってか好きでさ、ずっと飲食で働いてきた」


みんなが知っている祥平さんの話を祥平さんから初めて聞く。


「こんなに美味しいご飯ならそりゃ人気になりますよね」


「ありがとう。料理の味だけじゃなくてさ、接客含めて、その店に来てくれてお金払ってくれるその時間もよいものを提供したいと思ってずっと飲食店やってきたんだ。

周りのお店との繋がりや従業員とも仲良くなってさ。色々つながりも増えて、任せてくれたり、出資してくれる人が出てきたり、そんな感じで過ごしてきた」


「どうりであんなに慕われているんですね」


「イベント聞いててくれてありがとね」


「私がいるの分かったんですね」


「すぐわかったよ。歌、どうだった?」


「良すぎました。なんなんですか?プロですか?」


「そんなわけ笑。歌はただの趣味だよ。まぁ下手ではないと思うけど」


「料理も歌もうまくてなんなんですか。天才すぎます」


「そうでもないよ。こう見えてあとは適当だし笑。どの曲が一番良かった?」


「選べません。・・ただ、一番最後のオリジナル?の曲が一番好きでした」


「チョコレートね」


「あれはどういう歌なんですか?」


「僕が書いたほろ苦いラブソングだよ笑」


「マスターに、祥平さんは誰とも付き合わないと聞きました」


「なんだって?笑 あいつなんか色々言ってんだな笑」


「そのラブソングは祥平さんの好きな人へ向けた歌なんですか?」


「そうだよ」


「その人とは付き合ってないんですか?」


「死んだんだ」


「え?」


「歌詞の彼女は交通事故で死んだんだ」


自分の血液型を話すように祥平さんは淡々と衝撃な話をする。


「彼女以外僕は人を好きになることがない。なれない。だから彼女をつくることも、作らずに誰かを抱くこともない。感情が動かない」


「そうなんですね」


マスターに祥平さんはやめときな、と言われたときは正直辞める気はなかったけど、

、、なんだ完敗じゃん。死んでるのにこんなに想われていて、いいな彼女さん。私、完敗じゃん。


少し気持ちが沈む。それを気付かせないように、会話を変える。


「一途なんですね祥平さん、いいなーあたしもそんな彼氏ほし~笑。あ、今度誘われて合コン行くんですよ!」


「合コン?いつ?」


「いつだっけ?んーとお店の華さんに半無理やりに誘われて過ぎの休みの日なので木曜日の夜かな?」


「へ~相手はどんな人?」


「なんかお客さんとその友達ですね。あたしに気があるお客さんらしいんですけど、華さんがその人狙いらしいです!笑」


「なるほどね」


「てか、やば!結構時間たってた!バイトの準備して行かなきゃ」


「頑張ってな」


「ありがとうございます。またごはん食べさせてください!歌も聞かせてください!」


「わかったよ笑」


「お邪魔しました~」


すぐ隣のアパートへ帰る。祥平さんのこと知れた気持ちと美味しいご飯で満たされたのそ同時に消失感も感じながらも、気持ちを切り替えてバイトに向かった。

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