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桜華女子高等学校野球部  作者: name


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36/48

遊撃手 鳥谷真琴

「知ってるか、今話題になってる奴の話」

「話題になってる奴?」

 虎子の放送のおかげ(?)で克也の痴漢&覗き疑惑が晴れたのか、進次郎の話では、女子の間で新たに話題になってる人物がいるらしい。

「知らないのか?B組の奴なんだが、噂ではかなりのイケメンで人気沸騰中らしい」

「イケメンねえ」

 自分がモテないから言うわけではないが、容姿だけがその人の全てではないと克也は思っている。確かに第一印象ってのはあるが、人としての魅力はそれだけではないはずだ、本当に何度も言うが、負け惜しみではない。


「見たことはないが、俺よりイケメンなはずはない」

 進次郎のその自信はどこから来るのだろう。


「名前は?」

「確か、マコトとかいったかな」

「B組のマコト君か、野球部に入ってくれないかな」

 イケメンはさておき桜華女子において男子の存在は貴重だ。克也は思わず口に出していた。

 そんな克也に「大変だな」と同情する進次郎に「同情するなら入部してくれ」と頼んでみるも「女の子と乳繰り合うのに忙しい(予定)ので部活をやる暇はない」と断られた。

 進次郎の予定より部員集めが簡単だと思えた克也であった。

「久しぶりだね克也」

 突然かけられた声、その声には聞き覚えがあった克也は「まさか」と思いながら振り向くと、そこには予想通りの姿があった。

「真琴、どうしてここに?」

「おかしなことを訊くね。入学したからに決まっているだろ。見たまえ、キミと同じ制服だろう」

 真琴と呼ばれた生徒は、呆れたと言わんばかり両手を上げ肩を竦める。

「制服って、お前――」

「俺を忘れるなー」

 置き去りにされて寂しかったのか進次郎が二人の会話に割って入る。

「マコトてもしかしてB組のマコトか?」

「確かにボクはB組だけど、それが?」

 爽やかに答える真琴の姿を見て克也は先程の進次郎との会話を思い出す。

 進次郎もそう思いクラスを確認したのだろう。

「もしかして、B組のイケメンって真琴か?」

 鳥谷真琴。克也とは幼なじみであり、中性的で端正な顔とスマートな体からスラリと伸びる手足、モデルさながらの見た目で、中学の時も、その容姿で女子に人気があった。

「イケメンって割には女みたいな顔だな。それに細いし」

 線の太さ以外勝てるところがないのだろう。男は筋肉と言わんばかりにポーズをとる進次郎。

「失礼だねキミは。モテない男の僻みかい」

「モテるわい!俺がB組にいたらお前なんか噂にもなってねーよ」

 平気で嘘を吐く進次郎。本人は本当にそう思っているので嘘を吐いてる自覚はないのだが、それにある意味、真琴以上の噂にはなっていたかもしれないのは確かだ。モテたかどうかは別ではあるが。

「克也、コレは君の友達かい?」

 親指で進次郎を指差す真琴に「恥ずかしながら」と肯定する。

「源五郎丸ね……。克也、友人は選んだほうがいいよ」

 進次郎の名前を聞いて、蔑むように一瞥する。

「なにをー!テメェは何様だ」

「ボクは鳥谷真琴、克也の親友さ」

 興奮気味の進次郎とは対照的に、爽やかさ全開の真琴。

「キミの噂は聞いているよ。もう少し理知的な行動をしてくれないと、一緒にいる克也にまで悪評が立つじゃないか」

「少しばかりモテるからっていい気になりやがって」

「いい気になってるつもりはないよ。キミよりモテるだろうけど」

「この女顔が、その顔男らしくしてやろうか」

 拳を突き出す進次郎。

「やるかい」

 怒り心頭の進次郎は真琴に殴りかかった。

「フッ」と笑みを見せた真琴は進次郎のパンチに合わせカウンターを繰り出した。

「ちょ、二人ともやめ、うがぁ」

 二人を止めようと間に入った克也の顔に不幸にも二人の拳が突き刺さる。

「「克也」」

 顔面サンドイッチ。左右からのパンチに衝撃を逃がすことが出来なかった克也は、そのまま気を失った。

お読みいただきありがとうございます。

次話もご一読いただければ幸いです。

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