オストル編☆
オストル君目線です
☆・・・番外編
僕の名前はオストル。カラン王国の公爵令息だ。先日、僕の姉上、レティーリアは王子と婚約破棄をして、いつの間にか国外へ亡命していた。まさか、挨拶もせずに出ていくとは思わず、僕と母上は父上に文句をひたすら垂れていた。
「はあ、マナ。何で姉上を引き留めなかったんだ」
僕はかつて姉上に仕えていた元暗殺者のメイドに質問する。彼女は表情を一切変えず、知らんぷり。僕の気持ちを知ってその態度を取るとは、随分度胸があるようだ。それはそうだ。元暗殺者だし。
僕は、姉上のことが一人の女性として好きだった。僕が三歳の時に姉上は我が家に来た。最初は本気で血が繋がった姉だと思っていた。諸事情により平民として暮らしていたが、魔力が予想以上に多く、ちゃんとした教育が必要となり、正式な子供として引き取った。父上達はそう言っていた。
しかし、姉上が十歳の時、父上に真実を教えられた。そして、本当の彼女の姿を。僕はその時、心底ほっとした。だって、姉に恋心を抱いていたのだから。でも、本当の姉弟ではないのだから。なら、結婚するチャンスもあるのではないかと。
でも、それは無理だった。姉上には、想い人がいた。想い人は色々あって、今は亡き人となっている。姉上はそれを引きずり続けている。
「オストル様。お嬢様はマギラ王国に亡命しました。その内、会えますよ」
「は?どういうこと?」
「秘密です」
マナは時々、変なことを言う。いや、今回は姉上と色々話し合っていたのだから、分かっているだけか。
あーあ。姉上にとって、僕達はどうでもいい存在なのかな。悔しいなあ。僕の初恋返せー
自室のベッドに腰掛け、ひたすら壁を見つめる。今頃姉上は何のしがらみもなく、旅をしているのだろう。何か、ムカつく。姉上はいつもそうだ。いつも僕を置いていく。いつも、僕の関心を奪っていく。いっそ・・・・・・
「閉じ込めてしまえばよかったか・・・?」
そこまで考えて、首を振る。ダメだ。これ以上は危険思考に偏ってしまう。まあ、姉上に会えたら、想いを伝えて、一度ぐらいデートしていただこう。それくらい、許されるよね?
その頃レインは・・・・・・
「ぶえっくしょん!」
うう、なんか寒気がした。誰か噂してんな?誰だぁ、噂話してんの。ぶん殴ってやろうか。
おしえて、オストルくん!
?「では、はじめまして、オストルくん」
オ「どうも」
?「異世界ものあるあるな設定だよね。義姉に恋するイケメン令息」
オ「悪かったですね、あるあるな人間で」
?「レインちゃんより怖いんですけど」
オ「あ?」
?「ごめんなさい、何でもないです。それでは皆さん、さよなら!」