かつての友
総合評価ポイント70越え!
翌日、私は街を出て、王都へ向かった。乗合馬車で王都まで行く馬車があったから、それに乗っていれば、いずれ着くはずだ。王都まではこの馬車で大体三日。夜は近くの宿で各自泊まる方式らしい。
馬車乗り場で待っていると、四人組の冒険者パーティーがやって来て、私の後ろに並んだ。剣士、弓使い、魔法使いに、あれは、聖職者か?なんで聖職者が冒険者と一緒に行動してるのかな。本来、聖職者は神殿で一生を過ごすことが義務付けられている。王族に気に入られたとか、特別な理由がない限り、神殿に引き籠ったり、所属先の神殿がある国からの要請でしか動かないはずなんだけど。これは、どの国も共通。聞いてみようかな。
「あの、つかぬことをお聞きしますが。あなた、神官さんですよね」
私が声を掛けると神官さんはまさか話し掛けられるとは思わなかったのかびくりと体を震わせ、私を見た。他のメンバーはおしゃべりに夢中になっていて、気付いていない。
「君、誰?」
「冒険者です。それより、神官は本来、神殿にいるべきでは?」
「僕、神官じゃないよ」
あらやだ。この人、神官じゃなかったらしい。でも、この人が着ているのは紛れもなく神殿の人間が身につける服だ。紫色は神殿の人間の証であり、神官や巫女は紫色の服に灰色の刺繍が施してある服を着ている。刺繍は古代文字で紡がれた呪文。こんな複雑な刺繍をできる存在は神殿が独自に育成した人達でなければ不可能。あ、よく見たらこれ、現代の文字で刺繍してある。なんだ、防御魔法が刺繍されているだけじゃん。勘違いしちゃった。
「すみません、勘違いでした」
私は素直に謝罪をした。すると、彼はこれも何かの縁だと言い、私のことを根掘り葉掘り聞いてきた。口説こうとしてるわけ?うざいんですけど。この人、どうやら私と同い年らしい。そこそこ顔が整っているし、こうやって女の子達を口説いてきたことがすぐに分かってしまった。この人、あの子に似ている気が・・・・・・
彼のことを鬱陶しいと思いつつも、かつての友の面影を私は彼に見出だしてしまっていた頃、馬車がやってきた。私達は荷台に乗り込み、馬車に揺られながら王都を目指した。
おしえて、レインちゃん!
?「神官、巫女は大変なんだね」
レ「一概にそうとは言えないよ」
?「え?」
レ「衣食住が保証されてるから、カランでは平民でも貴族並みの生活ができたからね」
?「平民も検査されたの?魔力無いのに?」
レ「治癒魔法は正確には魔法じゃないの。魔力を使うんじゃなくて、聖力って言うのを使うから。この力を持ってるのは一万人に一人」
?「ちょーレアじゃん」




