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デイブレの公式大会の最終決勝は全て新マップで行われるのが通例だった。
対応力を問われるこの仕様は如何にマップ構造を早く理解するか、理解出来るかがキモであるが、生憎とそれはどんなマップが来るか分からない前提での話。
「つまり覚えてりゃ事前に作戦は練れる訳でして」
一周目の世界において最初に追加された新マップ、"未来都市"
"衰退し自然に呑まれた東京"がコンセプトのこのマップ特有の特徴は、巨大な地下空間があること、自然災害がランダム発生することと、野良のモンスターが出現することだ。
エリア面積はこれまであるマップに比べて約二倍、かつ地下区域もあるため戦闘頻度は低いが、代わりに試合人数上限が300人のため、荒れる時はかなり荒れるマップでもある。
「──ただしそれは私しか知らない情報」
公道に点在するマンホールの内、一つだけ直径2mはある明らかにデカいマンホールを蹴り砕き、その下にある漆黒に飛び降りる。
暫しの落下を経て着地した場所は、似たものを挙げるとするなら下水道。
似たようなものと評したのは、水は流れちゃいるが明らかに道幅が広く、まるで遺跡のように生活することを前提に作られているからだ。
「まぁつまりここ、モンスターの湧く地下ダンジョンなんだよね」
私以外が全員初見のため、この試合に限り、マップの地下はドフリーになる。
本来ならアーティファクトも少なく道も限られているこのエリアに来る意味は薄いのだが、それは一周目の通常プレイヤーにとっての話。
「"ヴァルプルギス""ディメンションコネクト""死霊作成""ブラッドキャスト""死霊作成"」
私のビルドはあくまでPVE用で対人についちゃ不向きではあるが……かといって潰しが効かない訳じゃない。
HPとMP、そしてアイテムボックス内にある素材全てを使って生み出すのは、最下級死霊のスケルトン。
ただ数だけはある骸骨による兵団はゴブリンの群れを前に……然し何もすることなく一瞬で掻き消える。
「自壊」
爆砕。
小さな音が重なって閉鎖空間に爆音を反響させ……私のステータスが一気に跳ね上がる。
スキル『殺戮躍動』
それはキル判定が発生する度にHPMPSPを回復し、ステータスを1増加させ、一定時間攻撃力を上げる、本来ならPVEでしかほぼ使い道の無いスキルだが……
「カンストさせれば対人なら無双可能なステータスを作れる厨スキル」
尚カンスト可能な模様、悲しいなぁ。
私がこの大会を舐め腐ってるのはPSの差もあるが、死霊魔術と殺戮躍動のコンボが可能なのが大半の理由だ。
私の目指す"冥王"が結論ビルドに数えられたのは、どんな場所だろうが自分の下僕でリスカして全ステ爆盛り出来るクソコンボ持ちなのが理由の一つでもあるわけだし。
痴漢冤罪だの逆ギレだの言われて罵倒される以外はマジで優秀だからねこの機関。
いや私は清廉潔白なプレイヤーですけど。
「モンスター0マップだと息切れするけど、このマップは召喚素材の補充が容易でねぇ?」
言ってる傍から通路の先に現れたゴブリンの群れ。
本体キルと死体自壊で一匹毎に二回ステータスが盛れる現状、思ったより増加のカンストまで早く行けそうだな?
「地下宝箱の捜索、モンスターキルで確率で落ちるアーティファクト、賭博締め切りまでの潜伏、ステ盛り、後半戦用の素材集め……舐められても仕方無いくらい容赦無く準備しに行くからな?」
私の全力ってそういうことだ。
「やばい迷った」
久々過ぎて地下のマップ構造忘れてんじゃねぇか!?
『PN:彁 人間
職業:死霊術士Lv51
契約:コヒメLv47
武具化:槞Lv32
▪ステータス
HP:40(+40)
MP:30(+30)
SP:10(+10)
STR:142(+65+5)
INT:65(+65)
VIT:95(+90+5)
MND:65(+65)
AGI:150(+90+10)
DEX:60(+60)
SECRET+【今は表示出来ません】
ステータスポイント:0
▪習得スキル
職業
『死霊魔法』『死霊魔術』『死霊強化』『ソウルハント』『アンデッドリスト』
武術『武芸百般』
魔法『風魔法』『血魔法』『血魔術』
防御『被弾上限』『不死身の再生力』『貪食』
戦闘『死の影』『纏刃』『ヴァルプルギス』『星火燎原』
身体『認識加速』『ヒートアップ』『鞍馬の天脚』『暴走する狂戦士』
肉体『叛逆者』『殺戮躍動』『死線舞踏』『好戦家の心得』
探索『水泳』
特殊『ディメンションコネクト』『自己再生』『早熟』
断片『ビルダー』『特大武器術』
装備『物理耐性』『魔法耐性Ⅱ』『火炎耐性Ⅱ』『聖属性耐性』『自動修復』『再生Ⅱ』『緊急蘇生』
▪アーツ
纏刃『纏刃[炎]』『エレメンタルバースト』
オーブ『震天動地』
▪魔法
風魔法『エアハンマー』『ブラストジャンプ』『ヘイスト』『アクセラレート』
血魔法『ブラッドジャベリン』『眷属生成』
死霊魔法『ソウルヘイル』『ボーンブラスト』
▪魔術
血魔術『操血』『錬血』『血液転換』『ブラッドキャスト』
死霊魔術『魔力召喚』『遺物召喚』『死霊作成』『死霊錬成』
▪称号
『開拓者』『エイプキラー』『夜明けの始まり』『夜明けの一等星』『冒険家』『ベアキラー』『シレネの主』『咎人』『最初の咎人』『罪人』『狂戦士』『天衣無縫』『怪力乱神』『燎原之火』『不死身』『人外』『ベルセルク』『吸血鬼』『極限状態』『暴虐の咆哮』『怪物』『絶対強者』『使徒撃墜[黒]』『ダメージホルダー』
▪装備
全身『槞(HP+40/MP+20/SP+10/STR+15/INT+5/VIT+40/MND+15/AGI+10/DEX+10)』
胴『機套[不屈]・軍服カスタム(AGI+30)』
手『コヒメ特性ブレスレット(MP+10/INT+10)』
腰『特注ソードベルト』『蒼刀[打波]』『サバイバルナイフ』『長鉈』
脚『ポーションホルスター』
▪アイテムボックス使用量:50%
▪所持金:0G』
こいつやってることが絢爛のセクシーヴァンパイアなんよ
ビルド"冥王"
物理型ネクロマンサーの最終形態にして前衛の結論ビルドの一つ
転職に必要な最低限の条件を満たした上で物理特化ステータスを組み、それをクソ強い物理型アンデッドの武具化と死霊自壊×キルトリガースキル詰め合わせで強化する脳筋の極地みたいなビルド
"戦神"程じゃないけどステータスがバグる上、一応魔法職なので特殊な飛び道具が豊富なのも強み(てかMPに振れば普通に魔法職も出来る)(そもそも前衛運用がおかしい)(今の彁でまだ50%くらいの完成度)
第二形態(触手)もあるしもはや人型のレイドボスでは?




