83
例えば某プリコネのコッコロちゃんはあるギルメンの真似をして清楚なキャラなのに「ぶっ殺します」って言うらしいですよ
当方そういうの好き好き侍
「ねぼすけめ」
「あぅあぅ……」
「いや起きて?」
私を抱き枕にして静かな顔で眠っている甘えん坊の頬を右手でつまみ、餅みたいな肌を捏ね回して彼女を起こす。
身動きは取れないわ暑っ苦しいしわ左腕は乗ってる頭のせいで痺れてるわ、なんで子守りみたいなことしなきゃなんないの? 私はママか? 寧ろこっちがオギャりてぇよちくしょう。
「………………何してるの、抱き着かないで気持ち悪い」
「いやどう見ても君が抱き着いてるよね」
「知らないうるさいでてけ邪魔!」
「おぐぅ」
本覚醒した途端にママを蹴り飛ばすとはいい度胸だなこいつ反抗期かy……ぐはぁ腕がっ! 痺れた腕に衝撃がぁ!?
「……何で涙目で震えてるの?」
「痛みを我慢出来ることと辛いことは違うよねって話よ……!」
私は別にマゾじゃねぇし痛いことは普通に嫌いだ。
ぷるぷるしながら起き上がって、根性で装備を変更して出立の準備を始める。
現在時刻は七時と少し。受け付けには余裕で間に合うが、試合前にまだやる事があるので移動は早いに越したことないのだ。
「……ああもう寝癖着いてんじゃん、直してやるから後ろ向け」
「自分で直せますっ」
「そう? じゃあいいや」
拗ね顔で叫ばれた、顔少し赤いけど不機嫌なのかな? ただ気になったから言っただけなんだけど。
まぁいいや、久方ぶりの武器固定器具を取り出して背中に装備し長巻をセット、ソードベルトの各種武器の位置も点検し、アイテムボックス内の武器も位置を調せ……いや、ディメンションコネクトあるから別にいいか。
うん、問題無し。痺れも引いたしさて行くかと足を踏み出そうとして……腕の裾が控えめに引かれた。
「……やっぱり、お願いします」
「優柔不断め」
「うるさい」
ああこら羽ぱたぱたすんな鬱陶しい、わしゃわしゃするぞ?
******
「ンー快調」
「相も変わらず化け物ですね」
「ヒメちゃんに言われたくない」
「……その呼び方やめて」
「いや君がそう呼べっつったんだけど」
「言ってないしそんな人知らないっ」
「えぇ理不尽……」
なんなんこの子、言ってることころころ変わってクソめんどくせぇんだけど。情緒不安定かよ。お揃いだね♡
サムズアップしたら舌打ちされた、さては反抗期だなおめー。
「にしても予想より早く着いたなぁ、こんなもんだっけ?」
「あのガーゴイルに構ってた前が異常なんですよ……それにしても大きな街ですね」
「ああ、コヒメちゃんは来るの初めてか」
溜息の後にそう続けて、そういやこの子拾ってから最初の街に行ってなかったなと気付いた。
いうてただデカいだけで何かあるって訳でもないけど、人口だけは多いんよな。いや当然だけど。
「このチャンネルでも流石に人目集めるな……」
道中のモンスターを軽く蹴散らして街に入ったものの、やはりというか私達は……てかコヒメちゃんはだけど、人目を集めていた。
まぁ見るからに只者じゃないし、滅茶苦茶可愛いし、ドレスも似合ってるし、初心者もそれなりにいる街で連れて歩けばそりゃそうなるんだけど。羨ましかろうぐへへへへ……
「はぐれないでよ? コヒメちゃん」
「…………呼び方」
「こっちの方がいいんでしょ?」
「……そーですねっ」
「おい待て今何で蹴った!?」
「なんとなくだけど?」
暴君かよ、え? 何? どうすりゃ良かったの? 女の子の扱いが謎過ぎて禿げるんだけど?
(……え、これもしかして信頼度稼げたと思ってたの私だけだったりする?)
全然仲良くなれた気がしないし、なんなら寧ろ更に私への対応雑になってるんだけど?
今日起きてから不機嫌と上機嫌を秒で行き来するの、マジで未知の生物と交流してる感があって怖いんだけど!?
「屋台結構出てますね、あっ、クレープだ! あれ食べよ!?」
「自由が過ぎるだろお前マジで」
「いらないの?」
「いる」
適度な甘さでおいしかった。
………………
…………
……
「セイさん闇金はやめましょう!? 堕ちるところまで堕ちる気ですか!?」
「人を駄目人間みたいに言わないで?」
「駄目人間でしょう! お金が必要なら私が稼ぎますからこれはやめましょう!? ねぇ!?」
「いやいや生活費に困窮はしてないし、別にまだまだお金はあるよ?」
「じゃあ借りる必要無いじゃないですか!」
「……とか言われてますが?」
「あ、上限でお願い」
「かしこまりました」
「ッ……このクズッ! 常識破綻者っ! 顔と戦闘力とあとたまに優しいだけの自己中女ぁっ!」
罵詈雑言が過ぎない?
さぁコヒメもめんどくさくなってまいりました