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更新期間が空きすぎた小説って前後の話を忘れた読者に前話からの流れを確認させに行かせたり、読む気がそもそも失せさせてたり、作者への信頼が地に落ちたりするので普通にクソですよねー
特に生存報告や感想返信もせずに、章末でも無いのに途中で唐突に失踪したりすると心象最悪ですよねー
そんなクソ小説があったら私なら読む気失せちまうぜ!
まぁこれ書くの二回目なんですけど(お待たせしました)
疑惑があった。
"もしかしたら"という希望的観測と、それと同時に存在する"彼女であって欲しくない"どうしようも無い現実に、私は確信を持てないでいた。
人というものは中身を知らない方が遠慮無く、或いは後腐れ無く行動出来るものだ。
失敗は何も考えずに会話を始めたこと。
もし仮に彼女がそうであったとしたのなら、私はきっと──
「ゲーム嫌いなの?」
「……私って不登校だから、それなのに現実と向き合わずにゲームに逃げてるし、そんな気分でやってたら好きにはなれないんですよね」
人間は生まれた時から不平等で、才能のリソースも平等に不公平だ。
何かが出来るからと言って何かが出来ない訳じゃないし、その逆も然り。出来るやつは大抵の事は出来るし、何も出来ない奴に秘めた才能があるなんてことは……面白くもないくっだらねぇ素人が書いた物語にしか存在しない。
──そう、才能と嗜好は一致しない。
「戦闘だってそんなに好きじゃなくて、どっちかと言えば憂さ晴らし……っていうか、八つ当たりでしてるだけで」
「……じゃあ、それで死んだらムカつかない?」
「……どうなんだろう? まだ死んだこと無いし、負けちゃいそうな相手とは戦わないからわかんないです」
仮に才能に点を付けるなら、合計種族値は人間みなバラバラだ。
容姿、身長、体型、性格を例に上げるなら、それらはステータスの振り分けじゃなく、絶望的なことにガチャで出来ている。
優良を10%、不良を10%として、平凡80%がある中で私達はそれを回して組み合わせる。
私みたいな超絶美少女だって、そのレア度と体型、性格は≠だし、生まれながらの上位互換というものは、世界を探せば当然のように存在する。
「そっか」
彼女は嫌味なんて全く無く、自嘲気味に目尻を下げて笑った。
隣を歩くついさっき出来たフレンドは、どうしようもなく狂ってなんかいなかった。
平凡では決して無いけれど、少しだけ陰りがある表情は、さりとて深い闇から生まれたものじゃない。
陽の光を浴びて少し嬉しそうな顔を見せるのは、私が同じ不登校に見えているからだろうか。
共通の話題と問題を持つ、少し年上の不良少女が、初めてのフレンドになってくれた……これまでの会話から推察した彼女の心情は、ああ成程、とても健全で可愛らしい思考回路と言えるだろう。
(……薄い茶髪、軽装備、片手剣一本、中高生くらいの身長)
助けたのは私が何もしない傍観者と同じでいたくなかったからで、外見特徴が一致していると気付いたのはその後だ。
嗜好も、性格も、才能も、人間性も。全ては偶然の組み合わせだと分かっちゃいても……特別性の無い人間が、自分の求めてやまない才能を持っていたとしたのなら……
残酷にも有り触れたそんな現実は、現実を分かっちゃいようとも、理不尽に思ってしまうだろう?
「そういえば、霖さんはどこに向かってるんですか?」
「感情の落とし所と君に対する認識の決着」
「…………???」
人気の無い街中を適当に歩いている私達に……私に目的地は無い。
或いは目的地そのものでもある隣を歩く少女は、頭に?を浮かべながらも、笑い慣れてない人特有のぎこちない笑みで、それでも何がある訳でもないのに楽しそうに着いてきていて。
ただ頭の中をまとめるために歩いていた私はやがて、全ての感情を二択で整理して結論に辿り着く。
気持ちのいい風が吹く午後四時、人気の無い大通り。
ぴたと立ち止まった私に気付くのが遅れ、少女が少し前に出てからきょとんとした顔で振り返った。
──もし仮に彼女がそうでなかったとしても、考えてみればそれは別に大した問題じゃないじゃん。
ただ私に助けられた子に嫌われるだけなのだから。
「うん。私、君のこと結構好きだよ」
「……へ?」
少しの距離を開けて対峙している少女。
何を言われたか理解出来ない様子の彼女を置いて、たたっと後ろへステップを踏んで更に距離を開ける。
「どこまでも私と正反対で、可愛い声で聞かされる話にイライラしかしなくても、趣味嗜好がまるで合わなくても、君の存在が私は好きだ」
「……え? あっ、ありがとうございま……」
「ま、それはそれとして私PKなんだよね。トラブル解決もメンタルケアもしたし、これで十分戦えるよね?」
「……えっと、あの……な、霖、さん?」
目測5m、不意打ち気味になるけれど、対応出来ないなら別にそのまま死ねばいい。
私が探している才能の権化がお前でないなら、執着する理由も無いし。
「じゃ、殺し合おっか。私に好きでいさせてくれないならフレンド切るからよろしくね?」
抜剣。
未だ「え……? えっ……?」としか言えず混乱している少女の喉元に、私は一切の無駄を省いた神速の突きを放った。
はい(更新再開一話目)(読めてた展開)(はいじゃないが)