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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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魔王の会合

オルフェさんの元に魔王の集会への参加の手紙が届き、その中に入っていた転移魔法陣を使い、俺とティーとオルフェさんは集会が開かれる場所へとやって来ていた。


「前に来た時も思ったけどここって暗くて嫌いなんだよね〜」


オルフェさんの言う通り部屋の壁は黒色でで、光も松明のみで必要最低限しか確保されていないので、視界も悪かった。


「それで、こっからどうするのじゃ?」


ティーがオルフェさんにそう聞くと、部屋にあった扉のがキィと開いたのだった。


「この通り道なりに進めばその内着くよ」


と言うので、オルフェさんを先頭に暗い道を進んでいった。


「それにしても、この建物はどこにあるんじゃ?」


「魔族の国の何処かにあるらしいけど、魔法で秘匿されてて詳しい場所は分かんないんだって」


「妾なら見つける事ができるかもしれんが、魔族がいる土地は飛びたくないのじゃ」


「どうして?」


「あいつら妾をただのドラゴンだと思って攻撃してくるんじゃ、それが毎回そうなるから面倒くさいじゃよ」


「それはまたなんとも厄介な」


「何回か滅ぼしてやろうかと思ったわい」


そう言いながら笑っていたが、ティーなら本当に出来そうなので洒落にならない。

そうこう話している内に、大きな扉の前に到着した。


「この中が目的地だよ」


(という事はこの中に他の魔王が居るのか・・・)


と少し緊張してきた。

そして、扉が開き中へと入っていくとそこには、目を瞑った赤い髪の女性と眼鏡で細身の黒髪の男性、茶髪で目を前髪で隠しおろおろと落ち着かない様子の女性の3人が円卓に座り、赤髪の女性の後ろにはメイド服を着た、金髪と銀髪の女性が立って控えていた。


「こんにちは〜!」


オルフェさんがいつもの様に明るく挨拶をして、茶髪の女性の横に座り、俺とティーはその後ろに用意されていた椅子に腰掛けた。


「ラヴィちゃん、久しぶり〜」


「あ、ど、どうもお久しぶりです・・・」


オルフェさんにラヴィと呼ばれた女性はおろおろしながら答えた。

ここに座っているという事は魔王の内の1人なのだろう。

見た感じでは、魔王という印象は無かった。

恐らくオルフェさんと同じいつの間にか魔王に認定されていた人なのだろう。

そして、オルフェさんの向かいに座っている赤髪の女性はオルフェさんが女帝と言っていた人物なのか、確かに凛としていてどこか王の風格があった。

もう1人の眼鏡をかけた男性は、謀略を巡らせるのが得意そうな印象で、赤髪の女性よりも威圧感は無かったものの異様な雰囲気を醸し出していた。


「あの2人はまだ来てないんだね?」


オルフェさんがそう言うと、


「いつもの事ですので、しばしお待ちを」


と眼鏡の男性が答えた。

あの2人とは残りの魔王の事なのだろうか、全員が揃うまでしばらく待つ事となった。

そして1時間後、先程俺達が入ってきた大きな扉が再び開くと

、扉の奥から筋肉ムキムキの大柄な男と金髪の子供の2人が入ってきた。


「ごめんね〜おくれちゃった〜」


金髪の子供はそう言いつつ空いている席に座り、もう1人の大柄の男も最後の1席に座った。


「全員揃ったな」


赤髪の女性は目を開き初めて言葉を発した。


「それで今日ここに俺たちを呼んだのは誰なんだ?」


大柄の男がそう言うと、眼鏡の男が手をあげて、


「私が今回の招集を致しました」


「おう、ちゃんと重要な件なんだろうな?俺達は忙しいんだ」


「えぇ勿論ですよ」


男はニヤッと笑い話し始めた。


「早速本題に入るとしましょう。皆さんはここ最近、戦が無く退屈していませんか?実は我が国の民達がひと暴れしたいみたいで殺気だっているんですよ。そこで!私が自ら動き人間の国の一つを傀儡とし、その国に魔族の兵を大量に配置致しました!これより5日後、人間との戦争開始しようと思います!どうでしょう?皆さんも是非一緒に戦いましょう!」


と眼鏡の男はだんだんと語気を強めてそう語った。

まさか人間との戦争の為に招集したとは思わなかったので、俺はとても驚いた。


「それで?言いたい事はそれだけか?」


赤髪の女性はそう質問した。


「えぇ、そうですよ」


「なるほど・・・お前が愚かなのはよく分かった」


「なっ!」


そう言われて眼鏡の男は目を見開き驚いた。


「まぁ、どうなろうがお前の勝手だ。私はこれ以上何も言うまい」


「なるほど、では不参加という事でよろしいですね」


赤髪の女性は沈黙で答えた。


「他の皆様は当然参加されるでしょう?」


「僕はパスー」


「俺も不参加だ」


「わ、私も遠慮しておきます・・・」


「勿論私も行かないよー」


眼鏡の男の問いに他の魔王も不参加の意思を示した。


「・・・」


眼鏡の男は驚きで言葉を発せず口をパクパクさせていた。


「分かりました・・・私のみで人間を滅ぼして見せましょう!そして皆さんは偉大な私の姿を指を咥えて見ることになるでしょう!」


そう言い捨てると、そのまま帰って行ってしまった。


「あ〜あ、面白い事期待してたのにつまんないなぁ〜」


「ちっ、時間の無駄だったじゃねぇか」


2人の男の魔王もそう言い、颯爽と帰って行った。


「オルフェさん、これで終わりなの?」


「うん、そうみたいだし帰る?」


どうやらこれで終わりの様なので、帰ろうと席を立とうとした時、


「ちょっと待ってくれ」


赤髪の女性が話しかけ、こちらの方へとやって来た。


「オルフェ、ラヴィ、久しいな」


「ララちゃんも久しぶり〜」


「お、お久しぶりです」


「折角時間を割いて来たのに、まさかこの様な話題で集められたとは腹立たしいな」


「ほんとバカバカしぃよね〜。誰が戦争なんかするかって話だよ」


「全くだ。それよりも、オルフェよ後ろの2人は誰なんだ?お前が他の人物を連れてくるとは思わなかったぞ」


「えへへ、今お世話になってる家の主と同居人なんだ」


「ほぉ〜、なんだ?ついに寄生先を見つけたのか?」


「寄生先って失礼だな〜!ちゃんとやる事はやってるもんね〜?」


ララと呼ばれた赤髪の女性の問いに対してオルフェさんは俺達の方を向いてそう聞いてきたが、


「いや、どちらかというと・・・」


「お主は寄生よりじゃろ」


「ははっ!やっぱりそうじゃないか!」


俺とティーの答えを聞き、赤髪の女性は笑った。


「ちゃんとやる時はやってるから〜」


「まぁ、なんだオルフェも悪いやつではないから仲良くしてやってほしい。ところで2人の名はなんと言うのだ?」


「俺はコタケワタルです」


「妾はティーフェンじゃ」


「ふむ、人とドラゴンが一緒にいるとは面白いな」


どうやらこの人はティーの正体もある程度分かっている様だ。


「オルフェよ、良い友を持ったではないか」


「えへへ〜、そうだよー」


「ラヴィの方はどうだ?少しはあの図書館から外に出たのか?」


「そ、そんなに出てないです・・・」


「たまには外に出ないとダメだぞ。今度、私がチェックしに行ってやろう」


そう言われてラヴィと呼ばれている魔王はあたふたしていた。


しばらく魔王同士の会話が続いていたが、


「そろそろお時間になります」


「おっと、もうそんな時間か」


赤髪の女性は控えていたメイドが耳打ちした。


「それじゃあ、私はこれで帰るとするよ久々に2人に会えて嬉しかったぞ。また近い内に会おう」


そう言い帰って行った。


「そ、それじゃあ、わ、私も帰りますね・・・」


「うん、ばいばーい」


もう1人も帰っていき、部屋には俺たちだけが残った。


「それじゃあ帰ろっか?」


来た道を戻り最初に転移して来た部屋を目指した。


「それにしても、今から戦争が始まっちゃうんだよね・・・」


「それに関しては多分大丈夫だと思うよ」


「どういうこと?」


「まぁ、1週間後くらいには分かると思うよ」


オルフェさんはそう言い何も言わなかった。


「そういえば、あの魔王達の名前はなんと言うんじゃ?」


「赤い髪の子が、ララ・フィールドって言って人間とも仲良くしてる国の魔王で、あの眼鏡の男がファルネウスでほんとは頭いいはずなんだけど何であんな事したんだろうね?それで、マッチョの男がブリクストンで治めてる国も戦闘好きの魔族ばっかりだから戦争に参加しないのはちょっと驚いたかも。後は金髪の子供の見た目をしたのがグレイグ、私の隣にいた茶髪の子がラヴィ、この2人は私と同じで人間から魔王認定された人達だよ」


「色んな奴がおるんじゃな、その中でもララっていう奴は別格じゃな」


「何百年か前から魔王をしてるみたいだしね。魔族の国の王は基本的には世襲制じゃ無くて力のある者がなるから凄いよね」


そう話している内に最初の部屋へと戻って来た。


「それでここからどうやって帰るの?」


「えっとね、多分ここに・・・あったあった」


来た時には無かった物入れがあり、そこから1枚の紙を取り出した。

その紙にも魔法陣が書かれているようだった。


「詳しい理屈は分かんないけど、来た時に使った魔法陣が移動の距離を計算して、転移を始めた場所の近くに戻れる魔法陣を作り出してくれるんだって」


「へぇ〜凄い便利じゃん」


「反応薄いけど結構凄いものなんだよ?」


魔法に詳しい訳ではないので、あまりピンとはこないが凄い事らしい。


「は〜い、それじゃあこっちに寄って〜」


オルフェさんの側により、魔力が紙に注がれ来た時と同じように魔法陣が浮かび光に包まれ目を閉じた。

そして、目を開けると家の玄関の前に立っていた。

いきなり現れた事で近くにいたクロ達がびっくりしていたので申し訳ない。

家に入り、アリー達に今日の事を話すと人間と魔族の間に戦争が起こる事に険しい表情をしていた。


「やっぱり家族の事とか心配だよね?」


「えぇ、戦争がどの国で始まるかは分かりませんが、父は必ず前線に出なければならないので・・・」


「一応オルフェさんによれば、問題は無いみたいなんだけど・・・1週間後にはどうなってるか分かるらしい」


「どのみちここでは何も出来ないので待つしか無さそうですね」



それから1週間が経ち、オルフェさんに街で新聞を買ってきてみてと言われ、戦争で危険がある事を考慮しエレオノーラさんが買ってくることになった。

街に出かけて数時間後、エレオノーラさんが慌てた様子で帰ってきた。


「これを見てくれ!」


持ってきた新聞には、『魔王軍敗れる!』と大きく書かれていたのだった。

詳しい内容を読むとどうやら、戦争が開始したのと同時に各国が勇者を派遣し、魔王の軍隊を無視し魔王のみに狙いを定め、6組の勇者パーティに速攻で倒されてしまったようだ。

俺は驚きのあまりソファで寝そべっていたオルフェさんの方を向いた。


「ファルネウスって頭は良いけどそこまで強くは無いんだよね。魔王になったのも部下達に候補者を潰させて回ったからなれただけで、今回みたいにその部下を戦場に配置して、自分の守りが薄くなったところを勇者達に突かれたら、当然太刀打ちはできなかっただろうね〜」


「そうならそうと言ってよ」


「そっちの方がびっくりするかな〜って思って」


どうやら要らぬ心配を抱いていたようで、人間と魔族の戦争は何事も無く終わったのだった。









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