錬金術
今日から投稿再開です!
森の中にあったダンジョンらしき構造物が妖精のホープの住処だと分かった数日後、再びその場所を訪れに来ていた。
アリー達も1度会ってみたいとの事だったので、今回は全員でやって来ていた。
前回同様に道を進んでいき3階層にある広間にやって来た。
「あら?もう来たのね?」
広間には丁度ホープが居たので、そのまま他の人の紹介もした。
「聞いていた通り可愛いですね!」
紹介後、アリーがそう言った。
「あなた分かってるじゃない!それにしてもほんとに色んな種族がいるのね〜」
「まぁ成り行きでね。それよりも今回はダンジョンの形が変わってなかったけどどうかしたの?」
「あぁ、今後もアンタ達がここに何回も来ると思って、私のところまで直接来れる様な専用のルートを作っておいたのよ。だから次からはそっちを使いなさい」
「そんな事までしてくれたの?ありがとう」
「別に、私のダンジョンが難しすぎて来れなくなったら面倒だしね!」
「本当は知り合いができて嬉しいだけですよ」
とヒルズが付け加えた。
「違うわよ!アンタは黙ってなさい!」
「妖精というのは人と仲良くなる事が滅多にないので彼女も嬉しいのでしょう」
ヒルズに言い当てられたのか、ホープはだんだんと顔を真っ赤にしていった。
「そんなことよりも!今日は何しに来たのよ?仲間の紹介をしに来ただけじゃないんでしょ?」
「この前言ってた手伝って欲しい作業があって、それのお願いに来たんだけど」
「確かになんか錬金術がどーたらとか言ってたわね」
「その錬金術を使って家を直したいんだけど手伝ってくれないかな?」
「別に手伝っても良いわよ、この前そう言ったしね」
「ありがとう!」
「それにしても錬金術を家に使うなんて贅沢ね!」
「そうなの?」
「アンタ何も知らないの?いいわ!私が教えてあげ・・・」
「説明しますと錬金術を使える者はごく僅かで、特に技術の長けた者は希少な金属等にも加工できるのでとても重宝されているのです」
とヒルズが対抗する様に説明を被せて来た。
「ちょっと!そこの精霊!私のセリフ取らないでよ!」
やはり妖精と精霊にはお互いに対抗心がある様だ。
「まぁいいわ、そこの精霊が言った様に錬金術って言うのは貴重なの!だから私を敬いなさい!」
「おー」と言いながら、ルインだけが拍手をしていた。
幽霊なので音は聞こえなかったが・・・
「まぁ、それはともかく手伝ってくれる様で何よりだよ」
「なんか軽く流されたわね・・・それでこれからどうすれば良いの?」
「ひとまず俺達の家まで着いて来てもらって良いかな?」
「分かったわ」
こうして、ホープを連れて1度家まで戻って来た。
「あら?新しそうな家じゃない。手直しなんて必要ないんじゃないかしら?」
「この家じゃないんだ」
「ふ〜ん、2個も家を持ってるなんて贅沢な奴ねー。それでここには何しに来たわけ?」
「補修用の木材を取りに来たんだ」
「私はそれを別の物に変換すれば良いのね」
「うん、やるのは現地に着いてからだけどね」
「それで、その場所へはどうやって行くのかしら?」
「それは・・・ティーよろしく」
「うむ」
俺が呼びかけるとティーはドラゴンへと変化した。
「こんな感じでティーに乗ってくんだよ」
とホープに言ったのだが全く返事が無かった。
「そやつ気絶しておるぞ」
「えぇ〜」
それから30分程経過した。
「はっ!」
「あっ、起きた?」
ホープがやっと目を覚ました。
「なんだか、ドラゴンが急に出てくる夢を見たわ・・・」
「夢じゃなくて現実じゃぞ」
「あれ?どこからか声がするわね?」
「お主の足元じゃ」
「足元・・・って!なんで私、空の上を飛んでるのよー!」
俺達は屋敷のある街まで丁度移動中だった。
「なによコレ!?聞いてないんですけど?」
ホープがポカポカと怒りながら叩いてくるが、全く痛くない。
「仲間のティーがドラゴンだから、こうやって色んなところに連れてって貰ってるんだ」
「そう言う事は先に言いなさいよ!びっくりしたじゃない!」
「ごめん、まさか気絶するとは思わなくて」
「誰だってドラゴンが急に現れたらびっくりするわよ。はぁ、なんかどっと疲れたわ」
「まだちょっとかかるし、ゆっくり休んでて」
「そうさせて貰うわ」
それからまたしばらくティーに乗って飛び、目的地の街へと到着し、屋敷へと向かった。
屋敷を見たホープは、
「なんか幽霊が出そうな暗い場所ねー」
と言った。
元々ルインが住んでいたわけだしあながち間違ってなさそうだ。
「まぁ、私が住んでたのでホープさんの言う事は合ってますねー」
「そういえばアンタ幽霊だったわね・・・ほんとアンタ達ってバリエーション豊かよねー」
「いつの間にかどんどん増えちゃって・・・」
「この調子じゃまだまだ増えそうね」
「妾もそう思うのじゃ」
「私もです」
「そんなホイホイ増えないでしょ・・・多分・・・」
「まぁ、それはさておいて、早速作業に取り掛かりなさい」
「了解って言いたい所だけど、どうすれば良いのかな?」
「直したい箇所にその木材を設置してから私が他の建材と同じ素材に変化させるわ!」
ホープに言われた通り、壁の壊れている部分と同じ形に縦と横がそれぞれ1m程の木材を切り出しそのままはめ込んだ。
「こんな感じで良いかな?」
「そうね、それで良いわ。それじゃあ早速行くわよ!」
ホープはそう言うと魔法陣を展開した。
展開された魔法陣はだんだんとホープから離れていき、埋めた木材に重なっていった。
すると、端の方から少しずつ木材がレンガへと変わって行くのだ。
3分ほどで埋めた分の木材が全てレンガに置き換わった。
「ふふん!どんなもんよ!」
ホープは少し汗をかきながら自慢げに胸を張った。
「凄かった!でも疲れた様に見えるけど大丈夫?」
「そうね、かなり疲れたわ。今のと同じ大きさの物をやるなら今日は出来ても後5回くらいね」
変化させる大きさにもよるらしいがやはり相当の魔力を使うらしく、1日に使用できる回数は少なくなりそうだ。
その後も木材をレンガに変えていって貰い、全体の1割程が直った所で終了した。
「ふぅ〜今日はこれで打ち止めね〜」
「お疲れ様」
「私に感謝しなさいよ」
「本当に助かるよ。まだまだ修繕は続きそうだけど」
「うっ、そうね予想よりも作業が進まなかったから残念だわ」
「やっぱりこれ以上は難しいの?」
「私達妖精は魔力が少ないから仕方ないのよ、そこの精霊とは違ってね」
「そうなの?」
「コタケ様には前にも説明しましたが、私達精霊は自然の魔力を使っていますので、効果は多少下がりますがほぼ無限に魔法などを使うことができます。それに対して妖精は人間達と同じ様に自身の魔力を使用して魔法を使うので、回数にも制限が出て来ます」
「でも、私は他の妖精よりも魔力は多い方なのよ!」
「確かに錬金術を使用できる事から彼女が言っている事は正しいと思います。錬金術はかなりの量の魔力を消費しますので」
「なるほどね、そういえばホープは錬金術をどうやって覚えたの?」
「見て覚えてたわ!」
「見て覚えた・・・?」
「そうよ!たまたま錬金術を使ってる人間がいたから真似してみたら出来たの!」
俺を聞いてヒルズ達と顔を見合わせた。
「妾も長年生きておるがこんな事を言う奴は初めてじゃな」
「正直信じがたいですね・・・」
ティーとヒルズも半信半疑だった。
「やってみると意外と簡単なのよ!アンタ達も試しにやってみなさい」
「やってみてって言われても・・・」
「こう魔力をギュッとしてバーンッてすれば出来るわ!」
「ごめん、よく分からない」
「なんでよ簡単に説明したじゃない!」
「説明が簡単すぎるんじゃ・・・感覚型の奴の説明って大体こんな感じなんじゃよな」
「私にも理解出来ません」
当然ティー達も音を上げていた。
「まっ!私が天才だったっていうことね!」
「面倒くさいのでそういういことにしておきましょう」
「ちょっとそこの精霊聞こえてるわよ」
相変わらずヒルズとホープはお互いに言い争っていた。
ともかく、少し時間は掛かりそうだが屋敷の手入れも問題なく進める事が出来たのだった。
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