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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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ダンジョンマスター

クロ達と森の中で狩りをしていると偶然、手付かずのダンジョンの様な場所を見つけ、エレオノーラさんに報告して翌日から調査をする事となった。


「よし、それじゃあ早速出発するとしよう!」


俺とクロ達とエレオノーラさんに加えてルインのメンバーで調査をする事となった。


「コタケ殿、案内は任せたぞ」


と言われたものの、正確な位置は覚えてなかった。

ただ、クロ達がしっかり位置を把握してくれていた様なので、その場所まで案内をしてもらった。


30分ほど森の中を歩くと、ようやく昨日見た岩の塊が見えた。


「ここが目的地です」


エレオノーラさんは岩で囲まれた入口をじっくり観察した。


「確かにダンジョンと同じ作りをしているが、階段もかなり綺麗な状態だから、昨日まで誰も入った事が無かったのだろう」


「という事は、未確認のダンジョンという事で良いんですかね?」


「恐らくはな」


「質問があるんですけど、ダンジョンってどうやって作られているんですか?」


とルインが聞いた。


「詳しくは分かっていないが、ほとんどのダンジョンは自然に発生していると言われている。ただ、ごく稀にまるで人が作ったかの様なダンジョンも存在しているから全てが自然に出来ているとは限らないらしい」


「という事は、このダンジョンらしき構造物も誰かが作った可能性があるって事ですよね?」


「そうだな、ルインの言う通りだ。その可能性も捨てきれないから注意して進む様に」


そして、クロ達を先頭にダンジョンの中へと入っていった。

クロ達も初めてのダンジョン探索で興奮しているのか、ワクワクした感じだった。

ダンジョン内は、相変わらず1本道で他のルートは無さそうだった。

入ってからしばらく歩いていたのだが、


「コタケ殿の言っていた壁というのは、どこら辺にあったんだ?」


「もうそろそろ出てきても良い頃合いなんですけどね?」


昨日とは違い、進んでも壁に塞がれる事はなかったのだ。

ついには、さらに下の階へと続く階段を発見したのだった。


「あれ?おかしいな?」


「どういう事だ?私達が気づかずにその壁の部分を通り過ぎていたのか?」


「あの壁は、本物と見間違えるレベルだったので気づかない事は無いとは思うんですが・・・」


「ルインの言う通り、絶対気づくはずです。それに1本道なのでスルーしてしまう事もないとは思います」


「つまりは何者かが、その幻影で出来た壁を撤去したという事になるな」


「やっぱりそうなるんですかね・・・それだともっと慎重に行った方が良いですね」


「あぁ、この先はゆっくり進んでいこう。それと念の為トラップ用の魔道具も使用しておこう」


トラップがある箇所を光らせて教えてくれる魔道具も使い、2層目へと降りていった。

1層目と景色は変わらず、道も1本のままだった。

降りてきてから少しした所で、クロ達が止まった。


「何か見つけたのか?」


そう聞くと道の奥の方を凝視していた。

目を凝らして見てみると何やら人の形をした物が立っている様な気がした。


(実はルインが先に進んでましたみたいなのはないよな?)


そう思い、後ろを見たがルインはしっかり後を付いて来ていたので、その可能性は無さそうだった。

恐る恐る、それに近づいてみると・・・



そこには、土で出来た人形が置かれていた。


「これは、ボーデンドールという魔物だな」


「これが魔物なんですか?」


「魔物と言ってもダンジョンにしか出てこない奴らで、遠くから見るとただの人間に見えるから、安心して近づいてきた冒険者を攻撃してくるんだ」


「確かにこれなら、油断しそうですね」


「ただ、本来であればこの距離だと感知されて攻撃をしてくるはずなんだが、一向に動く気配がないな?」


エレオノーラさんはそう言うと、近くに落ちていた小石を拾い、魔物へと投げつけた。

小石はコツンと魔物に当たったのだが、それでも反応は全く無かったので、腕輪を盾に変化させてゆっくりと近づいて行った。

しかし、それでも魔物は反応しなかったのだ。


「どうしましょうか?ただの飾りだったんですかね?」


「そんな事は無いと思うんだがな・・・とりあえず後ろから襲われる可能性も考慮して破壊しておこう」


エレオノーラさんは剣を抜き、魔物に一振りした。

魔物は粉々に砕け散り土の残骸だけがその場に残った。

それから魔物がいた場所を後にして、更に進んで行くと次の階層へと続く階段が見つかったので、そのまま降りて行った。


「結局ここまで何も無かったな・・・」


3階層を進んで来たが結局道も1本のままで、魔物も全く見当たらず大きな扉の前までやって来た。


「ここって多分ボスがいる部屋ですよね?」


「恐らくそうだろうな、ただここまでの事を考えるとボスすらいない可能性があるな」


「とりあえず入ってみますか」


大きな扉を開き、クロ達が先行して入って行った。

そして案の定、中は広めの部屋となっていたが魔物などは全く見当たらなかった。


「何もいないですね・・・」


「本当にここはなんなんだろうな?」


エレオノーラさんでも分からないらしく、とりあえず隠し部屋などが無いかチェックしてみたのだが、何も見つからなかった。


「ここは、諦めて帰りますか」


「そうするとしよう」


と帰ろうと準備をしていると、クロが右奥の壁の方を見つめていた。


「クロ?どうかしたのか?」


クロはこっちに来てと言っている様に飛び跳ねた。

そしてクロの方へと寄って壁を見てみると、そこには鍵穴があったのだ。

ただ大きさが1cm程しか無かったのだ。


「なんだろう、これ?」


「かなり小さい鍵穴だな、道中に鍵があると言うことか?」


「流石にこの大きさの鍵を見つけるのは大変そうですけど・・・」


と悩んでいると、


「私が壁の中を覗いてみましょうか?」


とルインが言ったのでお願いした。

そして、ルインが顔だけを壁の中に突っ込んだ瞬間に、壁の中から「きゃー」と甲高い悲鳴が聞こえた。


「皆さん!この中にすっごい小さい女の子がいました!」


壁から顔を出したルインが興奮気味にそう言った。


「あとなんか羽も生えてました!」


「羽?っていうことは精霊なのかな?」


そう思ったが、この鍵穴をどうにかしない限り会うことは出来なさそうだ。

すると、クロがおもむろに自分の体を鍵穴に突っ込みゴソゴソし出した。

20秒くらい経つとガチャッという音が鍵穴から聞こえて、今まで何も無かった壁に10cm程の扉が現れてキィと開いたのだった。


「ちょっ!なんで勝手に開いてるの!」


中から声が聞こえてくるが出てくる気配はなさそうだった。


「あの〜、ちょっと話が聞きたいんだけど?」


俺はそう呼び掛けてみたが、


「誰が人間の前に出るもんですか!」


と拒否されてしまった。

どうしようかと悩み、ルインが言った通り小さくて羽を生やした人物ならば精霊の可能性がある事を考えてヒルズを呼んだ。


「ごめん、ヒルズ。この中に精霊かもしれない子が居て、ちょっと話を聞きたいんだけど呼び掛ける事って出来る?」


と聞いてみたが、


「精霊ですか?ここからはその様な気配は全くしませんが?」


そう言われたのだった。

それなら中にいるのは、いったい何なんだろうかと考えていると中から、


「ん?この気配は精霊!?」


壁の中から、そう叫ぶ声が聞こえると、羽を生やしピンクの髪をした小さな生き物がいきなり飛び出して来た。


「ちょっとー!私の家になんで精霊がいるのよ!」


ルインの言う通り身長は7cmくらいだろうか、小さな生き物は出て来た瞬間そう叫んだ。


「はぁ・・・まさか妖精がいるとは・・・」


ヒルズはそう言いながら溜息をついた。


「なんで勝手に呆れてるのよ!」


と怒りながらそう言った。


「ヒルズ、この子は何なの?」


「精霊でも何でも無い、ただの妖精になります」


「妖精?」


俺から見れば小さくて羽を生やしていて、どちらもそっくりなので違いがよく分からなかった。


「コタケ様は、何が違うんだろうとお考えですよね?」


ヒルズは察したのか、そう聞いて来た。


「精霊というのは基本的に何かを司りそれを管理しています。例えば、エムネス様はドリアードですので植物を司り、ネアン様はウンディーネですので水を司っています。ですが、妖精というのは見た目こそ似ているもののそう言った役割を持っておらず、人間などの他の生物にイタズラをかけて遊んでいるだけの生き物です」


「ちょっと!その言い方は酷いでしょ!確かに事実だけど・・・」


(事実なのか)


「私達だってね、精霊のせいで迷惑かけられてるんだから!」


「どういう事?」


「精霊は人間の前には滅多に姿を現しませんが、もし見つかってしまうとその希少性から捕まえられてオークションに高額で売られたりされてしまいます。ただ、人間からすると精霊と妖精の区別は簡単につかないので、よく人間の前に姿を現す妖精が間違えて捕まえられてしまうという事でしょう」


「そういうことよ!」


「まぁ、そんな事になるなら人前に姿を現すなという話なのですが」


「そんな事したらイタズラする楽しみが減るじゃない!」


「とまぁ、この様にどうしようもないのが妖精なのです」


「なるほど、大体分かったよ・・・それで君はここで何をしてたの?」


ヒルズの説明を聞き終え、その妖精に何故このダンジョンの様な場所に住んでいるのかを聞いてみた。


「何って、そんなの決まってるじゃない。私の為の最強の家を作ってるのよ!」


皆揃って首を傾げた。


「それはどういう事?」


「それは勿論、人間にイタズラを仕掛ける為よ!精霊がいると思って入って来た人間にギャフンと言わせるのよ!」


それを聞いて全員が「はぁ」と溜息をついて呆れた。

クロ達までもが呆れている。


「何よ全員して溜息をついて!そもそもアンタらが来るまでは順調に事が進んでたのに!アンタらこそこんな所で何してたのよ!」


「俺達は、近くに住んでて偶然ここを見つけたから調査としてやって来たんだよ」


「そもそも制作途中に来るのは反則でしょ!完成してから来なさいよ!」


と謎のケチをつけらた。


「それじゃあ君は俺達に危害は加えないんだね?」


「アンタらが何もして来ないんだったら、私だって何もしないわよ」


「うん、なら安心したよ。俺達が攻撃する事は無いから」


「ふ〜ん、それなら良いわ!今回の事は不問にしてあげる!」


とりあえずは、このダンジョンの問題も解決したのだった。



「それにしても、ここはどうやって作ったのだ?」


エレオノーラさんがそう口にした。


「それは私の錬金術のおかげよ!土を石の壁に変えたりしてるの!ただ凄く魔力を使うからちょっとずつしか進められないのが難点ね」


妖精そう答え、それを聞いた俺は思わず、


「錬金術!」


と反応してしまった。


「な、なによ急に目の色変えてきたわね」


ティーから屋敷の改築に錬金術が便利と聞いたので思わず反応してしまったのだ。


「ごめん、錬金術を使った作業をしたいなってこの前話してたんだけど、使い手がいなくて」


「ふ〜ん、なら私が手伝ってあげよっか?」


「えっ!いいの!?」


「もちろん良いわよ。でも、その代わりアンタらも私に協力しなさい!ギブアンドテイクっていうやつよ」


「何をすれば良いの?」


「え〜っとね、それは・・・後で考えるわ!」


「無茶なお願いだと出来ないかもだけど」


「そんなに難しい事は言わないわよ。とりあえず私が必要になったらまたここに来なさい!」


「分かったよ。そういえば名前はなんて言うの?」


「私はホープよ!そっちはなんて言うの?」


「俺はコタケ ワタルだよ。それでこっちが・・・」


とここにいるメンバーの事を紹介していった。


「分かったわ、これからよろしく頼んだわよ!」


「こちらこそ」


そうして妖精の住処だったダンジョンを後にして家へと帰ったのだった。

アリー達にも、その事を伝えたら1度会ってみたいと言われたので次は全員で行く事になりそうだった。





月曜日にお伝えした通り、更新を1週間お休みさせて頂きますので次回の更新は3/11(土)となります。

少しの間、待って頂けると幸いです!

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