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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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アップルパイ

海を見に行った日から数日後。

日課の朝の畑の水やりをしに行こうと外に出たら、以前エムネスさんから貰った木に大量の果物が付いていたのだ。

リンゴや梨、レモンなどの様々な果物があった。

俺は早速それらを収穫して朝食の際に皆んなで食べる事にした。


「あれ?リンゴなんて買ってましたっけ?」


食後のデザートとして出てきたリンゴを見て、街への買い物にいつも付いて行っているアリーが疑問に感じそう言った。


「こちらはコタケ様が、今朝採ってきた物になります」


リビアさんが代わりにそう言った。


「あっ!もしかしてエムネス様から頂いた、あの木からですか?」


「うん、そうだよ。今朝起きて外に出てみたら実が付いてて、皆んなで食べてみようと思ったんだ」


「それでしたら是非頂きます」


そうして、リンゴを一口かじってみると、シャキシャキしておりとても甘かった。


「今まで食べたリンゴの中で一番美味しいかも」


「私もそう思います!」


「これ以外にも色んな物が出来てたから食べるのが楽しみだよ」


「これでアップルパイを作って欲しいな・・・」


とリンゴを食べたエレオノーラさんがそう言った。


「そういえばエレオノーラの好物の一つでしたね」


「はい、このリンゴを使って作るアップルパイはさぞかし美味しいでしょう」


「では今度、街に出かけた時に材料を買っておきましょう」


「あぁ、頼んだぞアン!」


「それはそうと、これだけの物を頂いたエムネス様に何かお礼をした方が良いのではないでしょうか?」


「うーん、アリーの言う通り何かお礼はしたいよなぁ」


「こちらの実った果物をお渡しするのはどうでしょうか?」


リッヒさんがそう提案した。


「それは良い案ですね!」


アリーも賛成し、俺もそれでいこうと思ったのだが、


「でも、精霊って何を食べてるの?」


とオルフェさんが言った。


「確かにそうですね、精霊に関しての詳しい事は誰も知りませんからね。ヒルズさんに確認してみてはどうでしょうか?」


アリーの提案でヒルズを呼び、精霊が普段何を食べているのかを聞いてみた。


「私達精霊は基本的に食事を必要としていません」


「そうなのか・・・」


「精霊は自然に漂っている魔力を吸収して存在していますので何も食べなくても大丈夫なのです。ただ、食べられないという訳でも無く、精霊の中には食事が好きな者も居たりします。ですので、果物をお渡しするという案は大丈夫だと思いますよ」


「そっか、それなら良かったよ!」


そういうわけで、エムネスさんに実った果物を渡しに行く事にした。

朝食後、ヒルズの案内でエムネスさんの元へと行った。


「おや?今日はどうかしたか?」


俺たちの気配を察したのか到着後、エムネスさんがすぐに姿を現した。


「前に頂いた種が成長しきって、果物が出来ていたのでお礼にと思って持ってきたんです」


「ふむ、では頂くとしよう」


エムネスさんはカゴの中に入れてきた果物に手を伸ばし、早速食べた。


「甘くて良い味だ。あの木は育てる者によって味が変化するのだが、ここまでの物は初めてだよ」


「そうなんですか?」


「そうだ、良き心を持つ者が作るとこういう風に出来上がるのだ。だから誇って良いぞ」


それを聞き少し照れ臭かった。


「また何か出来たら持ってきますね!」


「あぁ、期待しているぞ」


「あっ!そういえばこの間、ウンディーネのネアンさんに会ったんですが2人は知り合いなんですか?」


「ほぅ、アイツと会ったのかどうだ元気にしていたか?」


「国がクラーケンに襲われていて、かなり疲弊していました」


「はぁ、あれほど武力は多少なりとも揃えた方が良いと教えてやったのに・・・もしやお前達が助けてくれたのか?」


「まぁ成り行きで」


「それは助かった。私とアイツは精霊会議で初めて出会ってな、それ以来仲が良いのだ」


「精霊会議?」


「不定期で行われる精霊達の集まりだ。そこでは精霊王や各精霊達の長が集まり様々な事を話し合っているんだ」


「そういうのがあるんですね」


「アイツは優しすぎるからな、何度言っても武力を持つ事をしなかったんだ。今回の件で、何かしらの行動には出てくれるだろう」


「友達思いなんですね」


「別にそういうわけではない!」


エムネスさんは少し照れながら反論した。


「それよりもアイツからは、何かお礼は貰ったか?もし何も貰っていなければ代わりに私がやろう」


「大丈夫ですよ、お礼は頂きましたから」


「ほぅ、何を貰ったのだ?もしや貝殻とかじゃないだろうな?アイツならありうるんだが・・・」


「はは、違いますよ。お礼に貰ったのは魔法瓶です」


「あの無限に水が湧き出るという物か?」


「それです」


「それは良い物を貰ったな。あれはこの世界に1つしかない貴重な物だ。あの国の国宝みたいな物だな」


「えっ!そこまで凄い物だったんですか!?」


「なんだ?聞いていなかったのか?まぁ、そう言えばお前達は貰うのを躊躇っただろうしな」


確かにエムネスさんの言う通り、国宝なんて言われてたら貰っていなかっただろう。


「まぁせっかく貰ったので、しっかり活用していきます」


「あぁ、そうすると良い」


こうして、エムネスさんに果物を渡し終え家へと帰ったのだった。



それから数日後、街に買い物に出掛ける日がやって来た。

アンさん達は約束通りアップルパイの材料を購入して帰ってきた。


「それでは早速作りますね」


そう言ってアンさんとリビアさんがキッチンに入っていった。

30分くらい経つとだんだん良い匂いがしてきた。

1番待ち望んでいるであろうエレオノーラさんは静かに目を瞑っていた。

それから更に30分経ったところで、アンさん達が完成したアップルパイを3つ運んできた。

円形のアップルパイで、甘くて良い匂いが部屋中に広がっていた。


「それじゃあ温かいうちに食べよっか」


とアップルパイを切り分けて皆食べ始めた。

口に入れるとサクッとしたパイの生地にシャキシャキ感を少し残した甘いリンゴがマッチしていて、とても美味しかった。


「美味しい!」


みんな口々にそう言った。


俺は一切れ食べ終え、エレオノーラさんの方を見てみた。


「はぁ〜、うまい・・・これならいくらでも食べられる」


と言いつつ、今までに見たことがない程の幸せそうな顔をしていた。


「エレオノーラさん、もっといっぱい食べても良いですよ」


「うっ、しかし・・・」


「ほらほら、エレオノーラったら遠慮してたらすぐに無くなっちゃいますよー」


「では、遠慮なく・・・」


とエレオノーラさんは次々とアップルパイを頬張っていった。


「そんなに好きなんですね」


「まぁ、そうだな」


「エレオノーラのお母様の得意料理ですもんね〜」


「私の母が昔からアップルパイを作ってくれていたから、どんどん好きになっていったんだ」


「エレオノーラさんの意外な一面が知れて良かったですよ」


「そ、そうか・・・」


と話している内にも、どんどんアップルパイを食べていっていた。


3つあったアップルパイはすぐに無くなり、エレオノーラさんも残念がっていたが、アンさん達が今後も定期的に作ってくれる様で、大喜びしていたのだった。







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