【番外編】バレンタイン
1日早いですが、今回はバレンタインの短いお話です。
「ワタルさん、今日は何の日か知ってますか?」
ある日アリーがそう聞いてきたのだ。
(今日って何か特別な日だったっけ?これが2人の記念日とか忘れてたらまずいな・・・)
俺は何とか思い出そうと必死に頑張った。
「あっ!私達の記念日とかでは無いので安心して答えてくださいね!」
その言葉に俺は安堵した。
もう一度落ち着いて考えてみたのだが、特に何も思い浮かばなかった。
「ごめん、全然思いつかなかった」
「では、正解発表にいきますね。正解は〜バレンタインの日でしたー!」
「バレンタイン・・・あっ、そうか今日は2月14日か」
正直今までは、全く関わり合いのないイベントだったので思い出せなかった。
「あれ?でもこの世界にそんなイベント事ってあったっけ?」
「なかったですよ」
じゃあ何故アリーが知っているのだろうと思ったのだが、
「ワタルさんが教えてくれたじゃないですか」
俺が教えていたみたいだった。
記憶を掘り返し思い出してみると、確かにアリー達に前世の事を聞かれた際にそういったイベント事等も教えていた。
「そういえばそうだったね」
「はい!ですので、こちらを受け取って貰えますか・・・?」
そう言うとアリーは綺麗にラッピングされた小さい箱を取り出した。
「その、お菓子作りは初めてだったのでアン達にも手伝って貰いはしたのですが少々不格好になってしまいまして・・・」
「今開けてみても良い?」
「ど、どうぞ・・・」
俺は箱のラッピングを解き蓋を開けた。
アリーに限ってダークマター的な物が入っている事は無いとは思ったが少しドキドキしつつも中を見ると、そこには形は崩れているものの丸っぽい形をしたチョコレートが5つ入っていた。
「その、一応チョコレートを作ってみたのですが、結構難しくて味は大丈夫だと思うのですが・・・」
俺はチョコを一粒食べてみた。
甘さ控えめなチョコレートだった。
「大人なチョコレートって感じだね」
「本当はもう少し甘くなる予定だったんですがお口に合いませんでしたでしょうか?」
「ううん、すごい美味しいよ」
「本当ですか!」
「うん、俺はこれくらいが丁度良いかな」
「喜んで貰えて何よりです!」
俺はそのまま残りの4つも食べていった。
「ありがとう、美味しかったよ」
「はい、来年も期待していて下さいね!もっと凄いのを作れるように頑張ります!」
(俺もお返しを頑張らないとな)
と思ったのだった。
私も誰かからチョコが欲しいです・・・
小学生の頃に仲の良い女子から完全なる義理チョコを貰って以降は1回も無いです・・・




