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ハネムーン

リッヒさんが来てから1週間程が経ち、俺はそろそろ新婚旅行に行かないかとアリーと話していた。


「何処か良さそうな場所とか思いついた?」


「なかなか思いつかないですね」


「何処かに行くんですか?」


リビングで2人で話しているとリッヒさんが気になってのか聞いてきた。


「結婚したお祝いに2人きりで旅行に行こうとしてるんだけど、良い場所が思いつかなくて」


「旅行ですか」


「リッヒさんは冒険者やってた時に、何処か印象に残った所ってあったりする?」


「あの頃の私は楽しいという感覚が無かったので、あまり参考にはならないかもしれないですけど、1番印象に残っているのは空中都市シャペルですかね」


「なにそれ?」


「かなり広い都市が丸ごと空に浮かんでるんですよ」


「へぇ〜、楽しそう・・・アリーも行ったことある?」


「いえ、私も行った事は無いですね」


「じゃあさ、そこに行ってみない?」


「はい、私も賛成です!」


「いつ行こうか?」


「明日にしましょう!」


「明日!?」


「一緒に旅行に行くのが楽しみで待ちきれないんです!」


「わかったよ、じゃあティーにも伝えておくね」


こうして、かねてより予定していた新婚旅行に翌日から行く事になったので大急ぎで準備をした。


翌朝、目的地がティーに連れて行って貰っても6時間はかかるらしく6時に出発する事になった。


「それじゃあ、行ってきまーす」


「気をつけて〜」


ドラゴン状態のティーに乗り、俺とアリーは家を出発した。

途中に朝食と休憩を挟みつつ順調に進んでいった。

そして出発から6時間後、ついに上空に浮かぶ空中都市が見えてきた。

まだ建物は見えないが、建物を支えている円形の大きな地盤が浮いているのが分かる。


「すごい・・・本当に浮いてる・・・」


「今から上昇するからしっかり掴まっておるのじゃ」


そう言うと、空中都市に向けて上がって行った。


「あそこ、遠くにも何か飛んでませんか?」


とアリーが何か見つけた様で、俺も目を凝らして見てみると何かドラゴンに似た生物が上にめがけて飛んでいた。


「あれはワイバーンじゃ」


「ワイバーン?大丈夫なの?」


「あの空中都市を昇り降りする為の移動手段で、この下に発着場があるんじゃよ」


「へぇ〜、でもなんか皆んな遠すぎない?周りに何もいないんだけど」


「それは当然じゃろ」


「なんで?」


「妾を誰だと思っておるんじゃ?」


「あーもしかして、そういうことか・・・」


「どういう事なんですか?」


「ティーは龍王だから、ワイバーン達は怯えて近づいて来ないんじゃないかなって」


「そういうことじゃよ。ワイバーン程度じゃ、妾に近づいて来たら気絶して上に乗っておる者を落っことしてしまうじゃろ」


「それはまた大変ですね・・・」


そうこう話している内に空中都市の端っこに到着した。

そこには丁度、ワイバーン達の発着場があったのでそこに降り立ったのだが、ワイバーン達はいきなりティーが現れた事で驚き空へと飛び立って行ってしまった。


「あの、お客様?こちらのドラゴンなんですが・・・」


係の人らしき人物が申し訳なさそうに話しかけてきた。


「すみません、ワイバーン達を驚かせちゃったみたいで」


「えぇ、それもそうなんですが、こちらのドラゴンがここにいるとワイバーンが寄り付かなくなってしまうので・・・」


「そういう事でしたら問題無いですよ」


俺がそう言うとティーが人の状態へと戻った。


「はぁ〜、長時間飛ぶのは疲れるわい」


「お疲れ様」


それを見た係の人は驚いた表情をしていた。


「これで問題ないですかね?」


「あっ、はい、大丈夫です・・・」


俺達は発着場を後にして都市の中へと入って行った。


「さて、こっから妾は別行動じゃ。夕方にここで待っておるから、是非とも夫婦水入らずで楽しんでくることじゃ」


ティーはそう言って人混みの中へと消えて行った。


「それじゃあ行こうか」


「はい!」


建物はレンガで出来ており、都市の中心の方には大きなお城が見える。

恐らく、その城を中心に都市が円形に広がっているのだろう。

空中都市は、観光客らしき人達で賑わいを見せている。


「まずはどこに向かおうか?」


「もう、お昼時ですし腹ごしらえに行きませんか?」


「それもそうだね。ここにはどんな料理があるんだろ?」


「この空中都市に住んでいる人達は様々な国から集まって来ていて各地の色んな料理があるみたいです」


「へぇ〜そうなんだ。なんかやけに詳しいね?」


「はい!先程、発着場で貰ったパンフレットに載ってました!」


「いつの間にそんな物を・・・」


「色々とオススメの料理とか書いてありますが、聞いたことのない食材も沢山ありますね。このコメと言うのは全然聞いたことはないですね?」


「米!?」


俺はアリーの言葉に驚き、アリーは俺の反応に驚いた。


「ワタルさんは知ってるんですか?」


「俺の故郷の主食と同じ名前なんだ」


「そうなんですね!それでしたら、それを食べに行きましょう!」


早速、米を取り扱っているという店を目指した。

たどり着いた先には木造で出来た家が建っていた。

周りはレンガの家なので、ここだけ異様な雰囲気を出している。


(前世の定食屋を思い出すなぁ)


少し入りづらい雰囲気ではあったが、意を決しお店の中へと入って行った。

室内は囲炉裏や畳などの和の様式が広がっていた。


「わぁ〜、見たことのない景色です」


「やっぱりアリーにとってはそうだよね。俺からしたら見慣れた景色だよ」


「ワタルさんの故郷では、何処もこの様な感じなんですか?」


「何処もってわけじゃ無いんだけど、昔からある建物の中はだいたいこんな感じだったね」


とりあえず席へと座り、メニューを確認したのだが"米定食"

とだけしか書かれて無かったのだ。


「メニュー1つしかありませんね・・・」


「これ頼むしか無さそうだね」


メニューは1つなので2人ともそれを頼んだ。

しばらくして出て来たのは、お盆の上に白い米と汁物、魚、野菜といった物が乗ったイメージ通りの和の定食だった。


「それじゃあ、いただきます」


とりあえず食べ始めようとしたら、


「あの、この棒はどうやって使うんですか?」


とアリーが箸を持ちながら聞いてきた。

この世界での食事はスプーンやフォークを使うのが一般的で、アリーは箸の使い方に慣れていないのだ。


「こう片手で2本とも持って、中指を間に挟んで動かす」


とお手本を見せながら説明してみたが、


「難しいですね・・・」


アリーは上手く箸を動かせなかった。


「まぁ、慣れてないから仕方ないよ、今日はスプーンで食べた方が良いかもね」


アリーは箸を使うのは諦めてスプーンを貰い食べる事にした。

それから、ご飯を口へと運んだ。


「甘くてモチモチしてて美味しいです!」


俺もご飯を一口食べてみた。


「うん、本当だ!俺の故郷の物と同じ味だよ」


「こちらのお汁も独特な味をしてますね」


見た目的には味噌汁なのだが、とりあえず飲んでみた。


(これは・・・完全に味噌汁だな。まさか、米だけじゃなくて味噌汁にも出会えるとは)


久々の和食に嬉しそうな顔をしていたのか、


「出来ることなら、この米というのを買って帰りたいですね!」


とアリーが言った。


「うん、後で店主さんに売ってる所が無いか確認してみるよ」


それから、ゆっくりご飯を食べてお店を後にした。


「それにしても残念でしたね」


「うん、まさか一般向けに販売してる店がないとは・・・」


あの後、店主の人に米と味噌汁を売っているお店が無いか確認してみたのだが流通量も少なく、一般の人に販売している所はないとの事だった。


落ち込んでいる俺の姿を見て、


「もしかしたら、コリンさんなら持ってきてくれるかもしれませんよ!」


とアリーが元気づけてくれた。


「そうだね!次来た時に聞いてみるよ」


旅商人のコリンさんなら米も知ってる可能性も高いので、今度お願いする事にした。


「それじゃあ次は何処を見て回ろっか?」


こうして、食事を終え次の場所へと向かうのだった。














空中都市でのお話は前編・後編に分かれます。

時間なくて一纏めに出来ませんでした・・・

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