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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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魔法訓練

初めて魔法を使った日から1週間が経った。

何度も練習をしたおかげで、直径1mほどの火の玉を作り出せる様になった。

基礎的な事はかなり出来てきたらしく、


「次は火の玉ではなく、形を変えて火の槍などを作り出せる様になりましょう」


3日前にヒルズにそう言われたので絶賛練習中だった。

少し形を変えるだけでも、意外と難しく小さいものしか出来なかったり、形にブレがあったりするのだ。


「何事も練習あるのみじゃ」


とティーにお手本がてら見せて貰った火の槍は一目で槍だと分かるくらい形も綺麗で大きかった。

そしてティーは、それを一気に何本も出すことが出来るのだ。


「まぁまずは2本出す所まで頑張ってみるのじゃ」


そう言われて訓練していると、遂に昨日2本の槍を出すことに成功した。

だがまだまだ不安定なので、出したまま維持するのは厳しかった。


そして今日は、クロ達と一緒に森の中へと出かけていた。

少し慣れてきた魔法を実践でも使ってみたかったのだ。

他に戦闘ができる人にも付いてきて欲しかったのだが、ティーはアリーと一緒に街の方に結婚式の招待状を出しにいき、エレオノーラさんはティーの代わりに狩りに出掛けていて、オルフェさんはドレス作りに忙しいので付いて来れなかった。


ちなみにフィーアさんはというと4日前に、また旅に出ますという書き置きを残していつの間にか居なくなっていた。

それを見たティーが、


「はぁ、昔を思い出すわい」


と言っていたので、国からいなくなった時もこんな感じだったのだろう。

追伸で、結婚式には呼んでほしいと書いてあって、なんでもヒルズを通してランフィに念話の様なものを送れるみたいで、結婚式の日が近づいたら連絡すれば良いとの事だ。


「何か手頃な相手は居ないかな?」


1匹でいる魔物が居ないか探していると、緑スライムが何か見つけた様でそっちに付いて行った。

その先には、1匹のオオカミの魔物のハイウルフがいた。

練習にはちょうど良い相手を見つけたと思った俺は早速、火の槍を出してそれをハイウルフに向けて放った。


魔法は無事相手にヒットしたのだが、ハイウルフが倒れる気配もなくあまり効果が無さそうだった。

攻撃されて、怒ったハイウルフはこちらに向かってきた。

次の攻撃をどうしようと考えていると、緑スライムが風の刃を放ってハイウルフを真っ二つにした。


「ありがとう、助かったよ。でも、なんで俺の魔法が効かなかったんだろ?」


疑問に感じた俺はひとまずヒルズを呼んだ。


「ヒルズは魔物に関する知識とかも持ってる?」


「ある程度はありますよ」


「それじゃあ、ハイウルフっていう魔物と今戦って、火の槍で攻撃してみたんだけどあんまり効果が無さそうだったんだよね。なんでか分かる?」


「ハイウルフは火の属性の魔法に少しだけですが耐性を持っていますのでまだ練度の低いコタケ様の火の槍では効きにくいでしょう」


(耐性を持ってたのか・・・)


それを聞いた緑スライムは申し訳なさそうにしていた。


「無事だったから気にしなくても大丈夫だよ」


と声を掛けてあげると元気になった。


「それじゃあハイウルフには何が効くの?」


「1番良いのは氷の魔法です。こちらは水の属性の魔法になり、火の槍の様に氷の槍を作る事ができます。こちらはかなりの殺傷能力を有しているので、魔物に対してかなり有効となるでしょう。土の属性の魔法でも同じ様な事ができます」


「なるほど、確かに尖ってる氷とかなら相手に刺さるから有効なのか。それだと、火の槍はどういう時に使うのが良いのかな?」


「狭い場所で、沢山の敵がいる時に使うのが良いでしょう。火の槍にする事で隙間に通す事ができ、火の魔法は着弾地点で燃え広がるので広範囲に効果的です」


「それなら、森で使うのは辞めた方が良かったかな」


「そうですね、標的から外れて草木に当たってしまうと燃え広がってしまうので、極力避けた方が良いかもしれません」


「となると、次は別の属性の練習をした方が良いかもしれないね」


「私がオススメするのは、土の属性ですね。地面の土や岩を利用して攻撃や防御にも転じれるので使い勝手は良いと思います」


「じゃあ、明日からは土の魔法を練習しよう」


と話している所に、クロと他のスライムが何か見つけたみたいで、そちらに付いて行った。

しばらく歩いて行くと少し開けた場所に出て来た。

そこにはこの森のあるどの木のよりも大きい木が1本だけ生えていた。


「なんだろう?あの木?20mくらいはありそうだな」


不思議に思い近づいてみると、


「立ち去りなさい」


と何処からともなく警告する女性の声が聞こえてきた。


「誰!?」


「ここから立ち去りなさい人間。もし立ち去らないと言うなら」


その言葉と共に1本だけ生えていた木からとてつもない突風が吹き荒れた。


茶スライムが魔法で咄嗟に土の壁を作り出し吹き飛ばされるのをなんとか防いだ。


「抵抗すると言うのであればいいでしょう。本気でいきます!」


すると今度は、その大きな木から緑色の髪で緑色の服を着た1人の女性が現れた。


「人間よ覚悟は良いですか?」


そう言って戦闘態勢に入ったその女性は先程から聞こえてきた声の持ち主だった。


「ちょ!ちょっと待ってください!」


俺は一度静止するよう求めた。


「ここが立ち入ってはいけない場所だったのならすぐに帰りますので攻撃しないで下さい!」


「人間の言う事など信じられますか!」


今にも襲いかかってきそうなところで、


「止まってください!」


ヒルズが前に出てきて、その女性を静止させた。


「ん?精霊だと?」


「こちらの方は悪い人ではありません」


「何故精霊が人間と一緒にいるのだ?」


「私は精霊王よりこの方の専属精霊に任命されたのです」


「ほう、あの精霊王からか・・・まぁ、良い今回は見逃してやろう」


そう言うとその女性は消えていったので、俺達はそのままその場を後にし家へと帰ることにした。

帰り道の途中にヒルズに先程の女性は何者かを尋ねた。


「先程の女性は恐らく、ドリアードでしょう」


「ドリアード?」


「はい、木の精霊とも言われております。そしてあそこにあった木が本体ですね」


「精霊っていう事は、ヒルズ達の知り合い?」


「たしかに同じ精霊ではあるのですが、あまり関わり合いは無いのです。精霊と言っても様々な種類がいて、その全ての頂点に立つのが精霊王になります。そして、精霊王の下にはいくつかのグループに分けられた精霊達をまとめる長の役割を果たす精霊達がいるのです」


「人間の国でいうと貴族みたいなものか」


「そうですね、同じようなものと捉えてもらって良いでしょう」


そしてその日は、他の人達が帰ってくるまで土の属性の魔法の練習に励んでいた。



翌日、目を覚まし1階のダイニングの方へと降りていくといつもながら、アンさんとリビアさんとエレオノーラさんの3人がいたのだが、そこに更に緑色の髪の女性が一緒にいたのだ。


「コタケ殿起きてきたか。お客様が来ているぞ」


「朝早くにすまないな」


それは昨日会ったドリアードだった。


「えっと、昨日会ったドリアードの・・・」


「そうだ、私はドリアードのエムネスだ」


ひとまずリビングの方へと移動した。


「それで今日はどんな用件で?」


「昨日の事を謝りに来たのだ」


「謝りにですか?」


「あぁ、あの後に精霊王に会いに行ってな、お主の事を聞いてきたのだ。なかなか気に入られているみたいでは無いか?」


「そうみたいですね」


「それで、悪い人間では無い事が分かったからな、昨日いきなり攻撃をした非礼を詫びに来たのだ」


「そういう事でしたか。それなら気にして無いので大丈夫ですよ」


「そうか。お詫びの印と言ってはなんだがこれをやろう」


そう言いエムネスさんは、植物の種らしきものを1つ取り出した。


「これは?」


「私の加護を受けた果物の木だ。成長しきれば色々な果物を身につける。一度採っても、何度でも再生するから永久に採り続ける事が可能だ」


「そんな凄い物貰っても良いんですか?」


「お詫びの印でもあるが、お主は木を大事に扱っている様だしなこれくらいの物は問題ない」


「木を大事にですか、ドリアードだったら何か分かるんですか?」


「そうだ。お主の家に使われている木材は丁寧に加工されている様だからな。中々の腕を持っているな」


「実は俺の技術じゃなくて、魔道具のお陰なんですよね」


「なるほど、そうなのか。それでも、それもお主の力だ。問題はない」


「ありがとうございます」


「木を大事にすれば先程渡した種の加護も切れる事はない」


「さっきも言ってた、その加護とは何ですか?」


「私はドリアードの長をしている。私の加護があれば、その種は著しく成長し木が枯れる事もない」


(昨日聞いた、精霊王の次に偉い人だったのか)


「それにしても何でこの森のあんな場所に居たんですか?強い魔物もいて危なくないですか?」


「あの場所にいる魔物程度ならどうって事は無い。むしろ魔物は木に興味を示さないからマシだ。だが人間は違うだろう?木は生活に欠かせないはずだ」


「そうですね、俺も建材だったりと色々と使ってます。過去に人間と何かあったんですか?」


「そうだ。私も何百年か前は人の国の側で暮らしていた。その国の王と私に危害を与えない事と木を大切にするという内容で条約を結び、近くの森に住む代わりに木々に多少の加護を与えた。それによって、その国は林業が盛んになり国も栄えた。その王が死んで以降も何代かの王はその条約を守り続けていた。だが、ある時その条約を反故にした王がいた。欲に目が眩み必要以上の木々を切り倒し、あろう事か私の本体である木も切り倒そうとした。それに怒った私は、本体から必要なものを切り離し人のいないこの地へとやってきたのだ」


「そうでしたか・・・それでその国はどうなったんですか?」


「私が去り際に取れる木材の質が悪くなる様に呪いを掛けてやった。聞いた話では、財政も厳しくなりその国は滅んだと聞いた。だからお主も木を大切にする様にな」


(この人には逆らわない様にしよう・・・)


「少し話過ぎたな。私はこれでお暇する」


そう言って、エムネスさんは、何処かに消えて行った。

そして、その日の午後に貰った種を早速家の庭に植えた。

すると、何もしていないのに翌日には10cmくらいまで成長した木が生えていた。

ヒルズに聞くと、これが加護の影響との事らしい。

今後とも、森の木を大事に使っていこうと心に決めた。



総合評価が100pt超えました!

また新たに評価をして下さった方、ありがとうございます。

つけて頂いた評価を参考にして、より沢山の方に面白いと思って貰えるような作品を作っていけるように頑張りますのでよろしくお願いします!

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