リハビリ
"鈍っている"
「はぁ?」
ある日の事、フラワーステッキが唐突に筆談を始める。
"最近訓練以外していないだろう"
「そうだけど」
ヴネルさんも言われた事を認める。
"ダンジョンに行くぞ。リハビリだ"
「急に言われても、人を集めないといけないし」
"人ならここに沢山居るだろう。今回は3人パーティーで挑む事だ"
「分かったわよ」
ヴネルさんは皆んなに確認しに行く。
結果、空いていたのはレンダさんだけであった。
「あと1人、コタケさんはどうですか?」
「ごめん、俺も用事があるんだ」
"当日にギルドで1人募集すれば良いだろう"
「それ危なくない?知らない人といきなり息を合わせるのって難しいと思うんだけど」
「ヴネル、私の代わりと言ってはなんだが1人声を掛けておくぞ」
エレオノーラさんが言う。
「エレオノーラさんの人選なら大丈夫ですね。よろしくお願いします!」
3日後、2人はダンジョンに向けて出発した。
〜〜〜〜〜〜
「今日はよろしくお願いします。クリスタさん!」
「はぁまったく。リーダーに直接手紙を送るなんて」
会って早速、エレオノーラさんに対する不満を口々にする。
「えっと、本当に良いんですか?」
「来たからにはきちんとフォローします」
「ありがとうございます」
「それで今日は何処のダンジョンに行くの?」
「えっと・・・・・・」
「街の外れにある所だ」
「そうそこです」
「はぁ」
クリスタさんは心底嫌そうな顔をして溜め息を吐く。
「そこがどんなダンジョンか分かってる?」
「はい。しっかりと調べてきました」
「そう・・・・・・あんまり乗り気じゃないけど仕方無いわね」
同意も得た事で目的のダンジョンの前までやって来る。
そのダンジョンは街の外れにあるとは言え、他の冒険者の姿は全く無い。
ランクとしてはCランクと高くは無いが、ギルドにより1部屋だけ厳重に管理されているのだ。
今回はその部屋だけを目的としてやって来ている。
「噂の場所は5階層だったか?」
「そこで合ってるわ」
「出来るだけ接敵を避けて最短距離で進みましょう」
最小限の接敵で30分程で目的の場所の前に到着する。
そこには石造りの壁があり一見すると行き止まりに見えるのだが、ギルドの名が入った立て看板に注意書きが書かれている。
"この先 危険。覚悟のある者のみ押す事"
「ここを押せば良いんですよね?」
「あぁ」
壁の一部が赤い塗料で塗られている。
元々色は付いてなかったそうだが、ギルドが分かりやすい様にしたらしい。
「準備は大丈夫ですか?」
「もちろんだ」
「えぇ良いわよ」
赤い壁の一部を押し込むと、ゴゴゴと音を立てながら壁が半分に分かれて真っ暗な部屋が現れる。
一息入れて足を踏み入れると周りの松明に火が灯り、2本の剣を持ちボロボロの黒い外套を纏った骸骨のリッチが現れた。
「あれが噂の」
「危ない!」
悠長に喋っている暇も無く、リッチがすぐに詰め寄り剣を振るっていた。
レンダさんがそれを受け止め、クリスタさんが放った矢を避ける事で再び距離が出来るが、またすぐに詰め寄って来る。
「ヴネル、頼む」
「はい」
火の魔法、氷の魔法を同時に展開して攻撃をする。
しかし、リッチが剣を一振りすると魔法が斬られてしまう。
「私が注意を引きつけるから、死角から攻撃してくれ」
レンダさんは前衛で敵の攻撃を受け流し、その傷付いた体をクリスタさんが回復魔法で癒し、私は隙を突いて魔法で攻撃をするという連撃で相手を圧倒して行く。
「そろそろ来るぞ」
ここまでは順調に事が進んでいるが、この場所が危険とされている理由はこれである。
リッチが急に距離を取ると2本の剣を投げ捨て、急に浮遊し背中から2本の腕を生やしたのだ。
「魔法形態に移行したわね。ここからが本番よ」
「やる事は変わらない。私が前衛を受け持つから攻撃とサポートを頼む」
「分かりました」
こうして、リッチとの第二ラウンドが始まる。
次回に続きます。




