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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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大勇者

ダンジョンを攻略し終え家と帰って来たら、リビングに知らない女性が居たのだった。


「はじめまして〜、君がコタケさんかな?」


「え〜と、そうですが、あなたは・・・」


「あっ!ごめんね、私はフィーアって言うの、よろしくね?」


「よろしくお願いします?」


フィーアと名乗った女性は、エレオノーラさんが身に付けている様なきっちりとした鎧ではなく、胸元など急所となりうる部分だけを守った軽めの鎧を身に付けていた。

そして何より身長が高かった。

俺の身長は170cmだが、フィーアさんは180cmはありそうだった。


「ところで、フィーアさんは何故我が家に?」


「昨日、この森の近くを通ったら知り合いの気配がしてね、中に入ったらこの家を見つけたんだ」


(俺達とは入れ違いで来たのか)


「それでアリシアさんが知り合いが帰って来るまで居ていいよって言ってくれたから、一晩泊まらせていただきました!」


「そういえば、アリー達は何処に?」


「みんなでウエディングドレスを考えるって言って上の部屋に行ったよ?」


(そうか、アンさん達も手伝ってくれているんだ)


「もう少しで結婚式挙げるんだってね?おめでとう!」


「あはは、ありがとうございます。ところで、その知り合いとは誰の事なんですか?」


「それはねぇ・・・」


と言いかけたところで、お風呂から上がって来たエレオノーラさんとティーが家に入ってきた。


「コタケ殿、次入ってもいいぞ・・・ってそちらの女性はどなただ?」


と言って立ち止まった。


「あうっ!」


後ろを歩いていたティーがエレオノーラさんの背中にぶつかった。


「エレオノーラよ、急に止まるんじゃない」


「すみません、見知らぬ女性が居たもので」


「見知らぬ女性?こんな所に何の用があってくるのじゃ?」


とティーがエレオノーラさんの後ろから顔を出した。

すると、


「なっ!?お主は・・・」


ととても驚いた表情をしていた。


「ヤッホー、ティー、久しぶりー」


「フィーア!」


知り合いとはティーの事だったらしい。


(それにしてもティーと呼ぶと言う事はかなり親しい間柄なのだろうか?)


「お主、今まで何処に行っておったんじゃ?」


「いや〜、いろんな所に旅をしてたんだよね」


と2人は楽しそうに会話を始めた。

エレオノーラさんが、俺の側まで来て、


「あの女性は何者なんだ?」


と耳打ちしてきた。


「フィーアさんって名前の人みたいで、知り合いの気配を感じてこの家を見つけたらしいです」


「龍王様のお知り合いか・・・」


とここで、階段の方から足音が聞こえてきた。


「声がすると思ったら皆さん、お帰りだったんですね」


アリー達、4人が2階から降りてきた。


「ただいま」


「はい、お帰りなさい」


「ところでアリー、こちらのフィーアさんって女性は?」


「えぇ、昨日ワタルさん達と入れ違いでこの家にやって来て、龍王様のお知り合いとの事だったので、勝手ながら一晩泊まって頂きました」


「アリーが問題無いと思ったんだったら大丈夫だよ。それにしてもどういう関係か知ってる?」


「私も龍王様のお知り合いとしか聞いてないものでして、ただティーとお呼びになってる事から親しい方なのかなと思いました」


「やっぱりそう思うよね。ここは本人達に聞いてみよう」


とティーに聞くことにした。


「ねぇ?ティー?」


「おぉ?なんじゃ?」


「そちらのフィーアさんってどういう方なの」


「あぁ、こやつはなラーブルク龍王国の初代国王じゃ」


「え?」


「ほれ、お主も妾が暴れとった頃に1対1で戦って、国を作ったって書いた本を読んだじゃろ?」


「たしかに読んだけど・・・」


「それがこやつじゃ」


「えーーー!?」


それを聞いてみんなビックリした。


「でもそれって、1000年も前の話だよね?」


「そうじゃな、ほぼ1000年ぶりの再会じゃ。ん?そういえばなんでお主は生きておるんじゃ?」


(ティーも知らないのか・・・)


「実はね、国を任せた後に旅に出ていろんな所を巡ってたら、精霊の国に招待されちゃったんだ」


「精霊の国じゃと!?」


俺以外の人達は俺を聞いてさらにビックリしていた。


「精霊の国って?」


「精霊の国とは、その名の通り精霊達が住まう国です。この世界の何処かに入口があるとされているのですが、今までその国を見つけた者はいないとされ、おとぎ話として私は聞かされていました」


とアリーが答えてくれた。


「妾も、その存在自体は知っておったが行ったことなど無かったから、驚きなのじゃ」


「精霊の国で、お主中々面白い運命をしておるなっ!って感じで精霊王に気に入られちゃって、それで不老不死の薬を貰ったんだ」


「なるほどの、それでその薬を飲んで今まで生きておったのか・・・そういう事はきちんと妾にも伝えんかい!」


「あっはは、ごめんね、旅が思いのほか楽しくて夢中になっちゃってたんだ」


「妾はてっきりどっかで野垂れ死んだかと思っておったわい」


「それにしてもティーは国にいなくても大丈夫なの?」


「まぁな、立ち話もなんじゃし座って話すかの」


「じゃあ、私達は夕食作りに取り掛かりますね」


ティーとフィーアさんはソファに座り話し始め、アリーとアンさん、リビアさんはキッチンの方へと行った。


「コタケ君、アリシアちゃんのウエディングドレスのデザインは大方決まったし、次は君のタキシードを決めるから時間空いたら教えてねー?」


とオルフェさんは言い、ウエディングドレスを製作する為に部屋へと上がって行き、エレオノーラさんもドレスを見たいと言って付いて行った。


(とりあえずお風呂に入るか)


と思い家の外に出ようとした時に、アリーに包丁を渡す事を思い出し、キッチンへ向かった。


「アリー」


「はい?なんでしょうか?」


「これ、ダンジョンでゲットしたんだけど良かったら使ってくれないかな?」


「包丁ですか?」


「ただの包丁じゃなくて、切れ味が上がって刃こぼれもしにくい効果が付いた包丁なんだって」


「そうなんですね!是非使わせて頂きますね!」


そう言って早速その包丁を使ってくれた。


「凄いです!力を全然入れなくても簡単に切ることが出来ます!」


アリーがそう言い、アンさんとリビアさんも試しにと使ってみた。


「たしかにコレは良いですね。コタケ様、是非ともあと2本確保してきて貰いたいです!」


「あはは、アイテムはランダムなので運が良ければまた手に入れてきますね」


「期待してます!」


謎の期待をされ、俺はキッチンを後にしお風呂へ向かった。

そして、風呂から上がり家に戻るとフィーアさんの大きな笑い声が聞こえた。


「あはははは!仕事が嫌だから家出したって!なにそれ笑わせないでよ!」


とティーがここに来た経緯を聞いて大爆笑だった。


「元はと言えばお主が国を放り出して旅に行ったのが悪いんじゃろうが!むしろ今まで面倒見てきて妾に感謝するのじゃ!」


「ごめんってー、私もどうなってるか気にはしてたんだよ?」


「そもそも、お主を一つの国に留めておく方が無理じゃったな」


「そうそう分かってるじゃん。それで、今は国に戻らなくても良いの?」


「妾がおらんでも、ある程度は大丈夫な様にしてきたから、ここに住んでおるのじゃ。たまにあっちに戻る約束はしたがの」


「そっか、何はともあれ元気そうで良かったよ。ここに住んでる人達も優しそうだしね」


とここで、


「ご飯できましたので皆さんどうぞ」


アリーが皆んなを呼びに来たので、フィーアさんも含めて夕食を食べることにした。


「私まで頂いちゃっても良いの?」


「はい、たくさん食べてくださいね」


フィーアさんは最初は遠慮していたものの一口食べると、


「美味しい!」


と言って、食べ進めた。

すると、突然フィーアさんの左肩から淡い光が現れたかと思ったら、その光の中から背中に羽を生やした手のひらサイズの小さな女の子が現れた。


「あら?人前に姿を現すなんて珍しい」


「あのフィーアさん、その子は一体?」


「この子はね、私の旅仲間で精霊のランフィだよ」


その精霊はペコリと頭を下げた。


「礼儀正しくて可愛い子ですね」


「そうだよ、すっごく良い子なんだけど人見知りであんまり顔を出す事は無いんだけど、どうしたの?」


とフィーアさんがランフィに聞いた。

こちらに声は聞こえないが、フィーアさんがうんうんと言って相槌を打っているので何か喋っているのだろう。


「なんかみんなの雰囲気が温かくて出てきたんだって」


「嬉しい事を言ってくれるのじゃ」


それを聞いてみんな笑顔になった。


「それと、コタケさんに用があるみたい」


「俺に?」


「なんでも精霊王に会って欲しいんだって」


「えぇー!?いきなりどうして?」


「ランフィは他人の運命を少しだけ見る事が出来る力を持ってるんだけど、君の運命は全く見えなかったみたい。こんなの初めてだから是非とも精霊王に会って欲しいだって」


(なんか、運命が見えないってこの先の未来が無いみたいで嫌だな・・・)


「どうする?やめとく?」


「まぁ、せっかくの機会ですし行ってみたいです」


「よし、それじゃあ早速!」


とフィーアさんが立ち上がると、部屋に先が見えない謎の空間が現れた。


「今から行くんですか!?」


「そうだよ!」


「流石にこんな遅い時間だと迷惑じゃ?」


「大丈夫大丈夫、精霊の国はこっちの世界とは違って時間の流れが違うから、こっちが夜でも今あっちは昼くらいだよ。それに、精霊の国で長い時間を過ごしてもこっち側では全然時間も進んでないんだよ」


「なるほど、ちなみに他の人達って」


「ごめんね、精霊に選ばれた人しか行けないんだ」


「そうでしたか・・・」


「行ってみたい気持ちもありますが、私達には気にせず行ってきてください」


とアリーが言った。


「ありがとう、それじゃあちょっと出かけてくるよ」


「お気をつけて!」


そうして、俺は精霊の国へ行くために謎の空間へと足を踏み入れたのだった。




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