消えた世界樹
「パパ、起きて起きて!」
いつもの起きる時間よりも早くに、子供達が起こしにやって来る。
「ん〜、どうしたの?」
「外来て」
寝巻きのまま外に連れ出されて庭に連れて来られる。
「ほら見て」
「んー?」
頭をフル回転させて辺りを見渡すと、世界樹が無い事に気がつく。
「世界樹がどっか行っちゃったの」
「確か大きくなったら目立たない様に結界の中に場所を移すって言ってたような」
「その通りです」
何処かから声がすると、世界樹のあった所に亀裂が出来て緑色の髪の大人の女性が現れる。
その姿は先代の世界樹そっくりであった。
「世界樹ちゃん?」
昨日まで子供の姿だった世界樹の分身にユリが問い掛ける。
「そうですよ。この様な姿になりましたが、間違いなく昨日までの私です」
「もしかして先代の世界樹は」
「えぇ、寿命を迎えました」
それで大人の姿になった様だ。
「あの樹は何処に行っちゃったの?」
「この中にありますよ。入りますか?」
「入る!」
亀裂を越えて中に入ると、先代と同じ様な宇宙空間の様になっており、そこに本体である樹が立っていた。
しかし、大きさは50m程とまだ先代の半分程度であった。
「何にも無いね〜」
「先代の物をそのまま引き継いだので」
「じゃあ変えられるの?」
「出来ますよ。何が良いですか?」
「うーん、おっきな草原とかは」
「分かりました。ちょっと待って下さい」
世界樹が目を瞑ると、遠くの方から景色が変わっていき明るい草原になったのだ。
「すごーい。本物みたい」
太陽の光や土、草の感触は本物そっくりである。
「ねぇねぇ、あそこに湖作れる?」
「作れますよ」
ユウキのリクエストに応えると、少し離れた場所に野球場くらいの湖を作る。
「あれ入れるの?」
「入れますよ」
「じゃあさ、次は海が見たい!」
リンティアのリクエストに応え、砂浜と海が目の前に広がった。
波や潮の匂いが再現されており本物の海である。
「次は雪山に出来る?」
「良いですよ」
「あはは、さむ〜い」
世界樹は色んな場所の再現をして子供達の相手をしてあげ、一通り遊び終えるとまた元の宇宙空間の様な物に戻す。
「凄かったね」
「世界樹の根は世界中に広がっているので、どの風景でも再現が可能なんです」
つまり今見た場所達は、この世界の何処かにあるという訳だ。
「楽しかったね」
「次は海で泳ごうよ」
「雪山で滑るのも楽しそう」
「またいつでも言って下さいね」
これからこの場所は子供達の遊び場になりそうであった。
少しお休みいただきます。
次回投稿は2月9日なります。




