神:覗き見
「ふむ、暇じゃ・・・・・・」
真っ白な空間で上を見上げる。
「今日の死者はこれで全部か。そうじゃ、久々にあやつがどうなっとるか覗いてみるかの」
1枚の姿見を出現させ現世を映す。
〜〜〜〜〜〜
「ダメダメダメダメ!」
ガシャーン!
「あーーあ」
「硬いクッションだな」
「何で上から落ちてくるの・・・・・・」
「失敗しただけだ」
「直して貰うからね?」
「この私に、グリート様にやれと?」
「そうだよ。お陰で畑用の倉庫がグチャグチャだよ」
「はは、させられるものならさせてみろ!」
「分かった」
「おい待て、聖剣を出すのは反則だろ」
「分かってるよね?」
「クソッ、この鬼畜が」
「口より手を動かそうね」
〜〜〜〜〜〜
「またクセの強いのが増えておるの。そもそも何者なんじゃ?なんだか妙に禍々しいというか、ちょいと巻き戻して・・・・・・」
鏡についている録画機能を活用する。
「なんと、まさかの邪神とは。あやつの所には変なのばかり集まるのう」
間違えて本人の意向とは違う場所に送ってしまった事を申し訳なく思っていたが、現状を見るにむしろ良かったかもしれない。
「とは言え、どんな運命力をしておるのやら・・・・・むっ?今度は何じゃ」
〜〜〜〜〜〜
「待て待てー!」
「リンちゃん、そっちに行った!」
「違うよ、こっちにいる!」
「こっちにもいるよー!」
「分身してる!」
「うわー、森からいっぱい出て来たー!」
「囲まれちゃった」
「「今日はわたしのかち」」
〜〜〜〜〜〜
「あやつの子供達か元気が良いこと・・・・・・ってなんか多すぎんか!?200人くらい出て来ておったんじゃが!これも確認せんと」
過去に遡ると世界樹だと判明する。
「なんでそんな物が家の側にあるんじゃ?前は無かったじゃろ」
しばらく見ない間に色々と変わりすぎている。
「見ていて飽きん奴じゃのう。どれどれ、他には」
「あの〜、神様?」
「最強決定戦?楽しそうな事しておるの」
「神様ー?もしもーし?」
「おっと、夫婦の時間か。ここは見るのは申し訳無いから飛ばすかの」
「神様!!」
「うわっ!なんじゃ、びっくりしたのう。そんな大声出すでない」
部下の天使がいつの間にか背後に来ていた。
「何度も呼び掛けましたよ・・・・・・って、また現世を見てるんですか?覗きなんて悪趣味かと」
「変な所に送ってしまった償いで見守っとるだけじゃ」
「そんな事言いつつ面白いから見てるだけですよね?」
「むぅ」
何千年と付き添っている部下なだけあって見透かされている。
「なんなら其方も見るか?」
「共犯者にしないで下さい」
「わし犯罪者扱いなんかの?」
「現世では立派な犯罪で捕まりますよ」
「そこまで言われると控えるか、いやでもこの先どうなるか気になるしのう」
「はぁ。それよりも神様、仕事です」
「今日の死者は全て終わったので無いのか?」
「追加で数名増えました」
「残業か」
「現世のサラリーマンの様な疲れた顔をしないで下さい」
「神もたまには息抜きが必要なんじゃ」
「さっきしていたので大丈夫ですね」
「ブラックじゃのう」
こうして、今日も今日とて神としての仕事をこなすのであった。




