ユリシア:子供達の大冒険②
「次はダンジョンかぁ〜」
「ユリお姉ちゃん、向こうから魔物が来てる」
リンが指差した先から、鎧を身に纏ったスケルトンが2,30体は押し寄せていた。
「2人の魔力は温存しておきたいし、ベルお姉ちゃんはこの狭さじゃ動けないから・・・・・・」
私が何とか食い止めるしかないと考えていると、
「ユリちゃん、お姉ちゃんを侮っちゃいけないよ」
ベルお姉ちゃんはその言葉と共に、通路にハマらないサイズのベヒーモスに変身する。
そのまま目の前の集団に突っ込んで行き、カランカランと音を立てながらスケルトン達はバラバラに崩れ落ちるのだった。
「ベルお姉ちゃんも大概反則だよね」
あれだけのスケルトンを薙ぎ倒したにも関わらず、平然とした顔で手招きをしている。
「さっ、行こう」
その後も出て来たのはスケルトンの軍団だが、全てベルお姉ちゃんが蹴散らすのであった。
「次は海かぁー」
スケルトンを倒し終えると現れた扉を潜ると、再び外に戻り真っ青な海が広がる砂浜に降り立つ。
バシャ バシャ
2m前後の魚の魔物が飛び跳ねて、鋭利な牙と尾ビレをチラつかせている。
「2人とも雷魔法撃って貰っていい?敵は狙わなくて良いから」
「うん?分かった」
ベルお姉ちゃんの指示の元、2人が海に向かって雷魔法を放つと、バチバチと音を立てながら魔物達が感電し黒焦げになって浮かび上がって来た。
「こんな倒した方もあるんだ」
「強力な雷魔法だから出来るんだよ」
「残ってる敵はいるかな?」
探していると後ろに扉が現れる。
「倒しきったみたいだね」
「次こそ帰れるのかな」
「また進むしか無いね」
扉を潜ると茶色い岩肌が剥き出しになった山間部に出る。
「今度はなんだろうね?」
皆んなで話しているとゴロゴロと何かが転がって来る音がする。
その音が後ろから聞こえると分かり振り向くと、大きな岩が転がって来ていたのだった。
「に、逃げろぉー!」
反対方向に向かって全力ダッシュをするが、ジワジワと距離が縮まっていく。
「ベルお姉ちゃんいける?」
「移動しながらの変身は難しいかも」
「じゃあ私がやるね」
後ろを向いて立ち止まり聖剣を軽く振る。
それだけで、岩がまるで豆腐の様にスパスパ斬れて粉々になる。
「お姉ちゃん、後ろからもきたよ!」
逃げようとした先からも岩が転がって来て同じく粉々に砕く。
「次は上から!」
あちこちから岩が転がり落ちてきて、それらを粉砕する。
「はぁはぁ・・・・・・」
「ベルちゃん、お疲れ様」
「何個斬ったのかな?」
「20個以上は斬ったと思うよ」
力任せに振れば岩以外も斬って大惨事になってしまうので、その加減が難しかったりする。
「あっ、また扉だ」
「どこまで続くんだろう」
ユウキとリンは疲れも少し溜まり、不安を募らせている。
ここはお姉ちゃんとして頑張らないと、そう気合いを入れ直す。
「パパ達の元に絶対戻れるから心配しないで!」
出来る限り2人を勇気づけて、扉を潜るのであった。
時間が取れず短くなりました。
次回でこの話はラストです。




