ユリシア:子供達の大冒険①
謎の森を歩く事10分。
「あっ!ベルお姉ちゃん!」
ベルお姉ちゃんを見つける。
「ユリちゃん、大丈夫?」
「うん、私は大丈夫。ベルお姉ちゃんは?」
「私も大丈夫だよ」
「それでここは何処だと思う?」
「家のある森とは違うよね」
「やっぱりそうだよね。他にも誰かいないか探しに行く?」
「それしか無さそうだけど、ユリちゃんが持ってるの聖剣?」
「うん。ルーとは話せなかったけど、これは呼べたよ」
「じゃあ守られちゃっても良いかな?」
「それじゃあ、ベルお嬢様お手を」
声を低くしてそう言う。
「今のエレオノーラお姉ちゃんのマネ?」
「えへへ、そうだよ」
「そっくりだったよ〜」
「じゃあ今度皆んなの前でやってみよー」
2人だけで不安もあるが、それを忘れる為に2人でモノマネをしながら森を歩いていると、ユウキとリンティアを見つける。
「2人とも大丈夫!?」
「うん、僕もリンも大丈夫」
「良かった〜」
ホッとしたのも束の間、ガサゴソと音を立てながら木の形をした魔物のトレントが現れた。
それも1体ではなく、10体20体はいて囲まれてしまった。
「2人とも戦える?」
「うん、大丈夫」
「ベルお姉ちゃんはそこで見ててね」
「私も戦わなくていいの?」
「3人もいれば大丈夫」
私は聖剣を両手で握り直し敵陣に突っ込んで行く。
ユウキとリンは、ベルお姉ちゃんを守りつつ雷魔法で相手を黒焦げにして行った。
「ふぅ、終わり」
魔物自体そこまでの強さは無く、10分程度で片付ける事が出来た。
「意外と楽勝だったね」
「ダメだよ、そんな事言ったら想定外の事が起きちゃうって・・・・・・」
ユウキとリンがそう言った瞬間、魔物の死体が1ヶ所に集まり20m程のトレントに進化してしまった。
「いつもなら倒した魔物は残らないから不思議だと思ったんだよね」
「ベルお姉ちゃん、そう言うのは先に言ってよ〜。2人ともまだいけそう?」
「いけるけど、魔力がごっそり減っちゃいそう」
「じゃあ私が何とかするね」
聖剣の斬撃を放ちトレントは上下に真っ二つになるが、枝が伸びて一瞬で元通りになってしまう。
「これは予想外。やっぱり燃やすのが一番なのかな?」
「ここはベルお姉ちゃんに任せて!」
前に出て、出来るだけ離れてと言われ何となく予想がついた。
かなりの距離を取り合図を送ると、50mはあるベヒーモスの姿に変身する。
そして前足を振り上げてトレント目掛けて振り下ろす。
ドシン ドシンと大きな音と地響きが5回ほど繰り返されると、ベルお姉ちゃんは人間の姿に戻る。
「「うわぁ〜」」
押し潰されたトレントはペチャンコで元の形が分からない。
「これってまだ生きてるのかな?」
「消えてないね」
さっきの様に復活する気配は無い。
どうしようかと悩んでいると、突如目の前に謎の石の扉が現れる。
「いかにも入って下さいって感じだけど」
「怪しいけど進むしかないのかな?」
「普通の世界じゃ無さそうだし、行ってみるしかないよね」
意を決して4人一緒に扉を潜る。
今度は離れ離れにはならなかったが、到着したその先の景色はガラリと変わり、ダンジョンと思われる石造りの通路になっているのだった。




