妖力
「よーし、お主ら離れておれー」
ティーの呼びかけで俺とエレオノーラさんは、レンダさんから距離を取る。
庭にて、強化して貰った籠手の力を試そうとしている。
「行くぞ」
「うむ」
レンダさんが突っ込んで行き、両腕をドラゴン形態に変化させたティーが攻撃を受け止めると・・・・・・
「ぬおぉぉぉーー!」
とんでもない勢いで、ティーが森の中に吹っ飛ばされて行った。
しばらくすると木の葉と枝を付けたティーが帰って来る。
「なかなかの威力なのじゃ」
「すまない、まさかここまでとは。なるべく力を抑えたつもりなんだが」
「あれでかの」
「これは意識的に抑えないと駄目そうだな」
「そこはちょっと使い難いのう」
「魔物相手なら大丈夫じゃないか」
2人に合流しながらエレオノーラさんが言う。
「そうじゃな、普通の人間に使えば粉々になるやもしれん」
「オンオフは出来るんですよね?」
「そこは問題無い」
「他にも使える能力があるんだよな?」
「念力を使えるそうだ」
「試してみるのじゃ」
4、5m離れた位置に3m程の石があったので、それに手を向けて持ち上げる仕草をすると、フワッと浮き上がり縦横無尽に軽々と動かす。
「おー、重く無いんかの?」
「重さは全く感じないな」
「持ち上げられる重さに制限はあるのだろうか?」
「自分が実際に持ち上げられる重さまでと聞いている」
「レンダなら結構な重さまでいけるじゃろうな。それで他には無いのか?」
「この力を使えば霊的な存在にも攻撃が通るらしい」
「試しにルインでも触ってみるかの?」
「いや、流石にやめておく・・・・・・」
さっきの威力を見たら、一瞬で除霊されてしまいそうだ。
「思ったんだが、白華拳と妖力を合わせて使う事は出来るのだろうか?」
エレオノーラさんがそんな疑問を口にする。
「確かにのう、合わせたらとんでもない威力になりそうじゃ」
「試してみよう」
「ティーフェン様、よろしくお願いします」
「また妾かの」
「受け止められるのティーくらいしかいないし」
「お主の盾の方が・・・・・・いや、威力が分からんか」
しぶしぶ離れた位置に向かい、俺達も距離を取る。
レンダさんが呼吸を整えティーに向かうと・・・・・・
「む?」
ティーはその場に止まり何も起こらなかった。
「今何かしたかの?」
無駄に強キャラ感を出すが、実際レンダさんの攻撃はしっかりヒットしている。
「両方の力を使ったんだがな」
「そうなると、お互いに打ち消しあってしまうのではないか?」
「一緒に使う事は出来ないのか」
「そうとも限らんのではないか?例えば左右の手で別々に使ったりとかの」
「なるほど・・・・・・それはまた少し難しそうだな」
「練習あるのみじゃな」
「そうしよう」
新しい力を試し、課題が見つかったレンダさんは使いこなせる様に鍛錬を始めるのだった。




