増えてる・・・・・・
「遊んでくるー」
「気を付けてね」
ある日の午後、ユウキとリンが外に出て遊びに行く。
2人とも世界樹の事を気にして、毎日遊びに誘っている様だが何をしているのかは知らない。
「ちょっと様子見てこようかな」
しばらくしてから、庭に出て2人を探してみるが姿は無い。
森の方で遊んでいるのか、ひとまず世界樹の方に向かってみる。
「この周辺もいなさそうだな」
ルー達も居ないので、一緒になって遊んでいるのだろうが一応森に入って確認してみようとした時、世界樹が光り幹の中から女の子が現れる。
「あれ?一緒じゃなかっったのかな?こんにちは」
世界樹に話しかけてみるが反応は返って来ない。
多少の意思疎通は出来るはずなのだが、そんな世界樹は急に走り出し森の中に入って行った。
何だったのだろうかと考えている内に世界樹が再び光り出すと、また幹の中から分身体が現れる。
こちらには興味を示さず、森の中に走って行く。
「どうなってるんだ?」
困惑していると、森の中から2人の分身体に両腕を掴まれたリンが帰って来た。
「おかえり?」
「捕まっちゃった」
「何してたの?」
「鬼ごっこ!」
「鬼ごっこか。その両脇の2人は何なの?」
「なんかね、分身いっぱい作れるって聞いて時間が経ったら鬼が増えてくの」
「そういう事ね。この子達は喋れたりしないの?」
「1個の命令しか聞けないんだって」
2人を捕まえるという命令のみで、喋る機能は付いて無いそうだ。
「この子達凄いんだよ。木の上を飛び回ったりして逃げるの大変」
「すぐ捕まえられそう」
「うん。だから隠れて逃げたり、助っ人に頼るの」
「助っ人」
「ルーだよ。多分今回はユウキが乗ってるんだと思う」
ルーが森の中でランダムな場所に留まり、見つけた人がその上に乗り逃げれると言う。
時間制限は1時間で、精霊王や先代の世界樹の分身もたまに参加するそうだ。
「あっ、パパ。ユウキが帰って来たよ」
指差す方を見ると、
「うおっ!」
ルーの上に乗るユウキの後ろに、50人ほどの分身がぞろぞろ付いて来ていたのだ。
「こんなに増やせるんだ」
「今日も捕まっちゃった〜」
「わたしのかち」
集団の先頭にいる分身が喋る。
敗因は逃げた先に分身の壁があり行き止まりになり、その一瞬で囲まれて捕まったそうだ。
「明日は私達が鬼ね」
「まけない」
どうやら2人が鬼のパターンもあるそうで、その時は50人の分身を2時間以内で捕まえるというハードな物らしい。
「魔物は滅多に近付いて来ないけど、森の中は危ないし必ず1人は大人を呼んで気を付けて遊ぶんだよ」
「「はーい」」
こうして、2人の遊びによって世界樹の新たな能力を知る事が出来たのだった。




