ティー先生
「今日1日、妾の事は先生と呼ぶんじゃ!」
「はい、ティーフェン先生!」
「まずは、お主の力を今一度確認するのじゃ」
「姿の変化と雪を降らせる魔法と、隕石を降らせる魔法です!」
庭先で訓練を始めたティーとスノウを側で見守っている。
「隕石を降らせるのはまだ保留じゃ。お主は体の一部を変化させる事は出来るのか?」
「出来ません!」
「ならまずはそこからじゃの。人の姿のままでも近接戦は可能じゃが、手や足だけをドラゴン化させて戦えた方が威力も違うのじゃ」
「どうやって一部を変化させるんですか?」
「こうグッと手に力を込めて、ドラゴンの状態時の自分の手を思い浮かべるんじゃ」
感覚派な説明で大丈夫なのかと見ていると、
「出来ました!」
スノウの手が真っ白なドラゴンの物になっていた。
「うむ、筋が良いのじゃ」
スノウは人とドラゴンの手に繰り返し変化させる。
どうやら彼女もティーと同じく感覚派だった様だ。
「では行くのじゃ」
それだけ告げて、ティーは近付いて攻撃をする。
「うぐっ」
間一髪で防御が間に合ったが、衝撃で吹き飛ばされてしまう。
「ほれ、休んどる暇は無いのじゃ」
「くっ、負けません!」
ティーの連撃に防戦一方になるかと思いきや、スノウは翼を生やした空へと逃げる。
そのまま滑空し勢いをつけてティーに攻撃をするが、簡単に避けられてしまう。
「空に逃げるのは良い判断じゃが、攻撃の速度が足りておらんのじゃ」
「はい!」
「攻撃が軽い、1発1発を重くするのじゃ」
「はい!」
それから1時間みっちりと、ティーによる訓練は続いた。
「はぁ、はぁ・・・・・・ありがとうございました」
スノウは息を切らし寝そべっている。
対するティーも少し息は上がっているが、それほど疲れた様子は見せていない。
「人の姿での戦い方は、ある程度掴めたかの?」
「なんとなくは」
「野外の様な広い場所ならドラゴンの姿で戦えば良いが、屋内だとそうもいかんからの」
「でも、もう少し手数が欲しいですよね」
「そうじゃな。お主の雪を降らせる魔法を限定的に使える様に考えんとな」
「吹雪にしたりと変えられたりはするんですけど、すぐに止めるとかそういった事がまだ出来なくて」
「魔法の事ならイルシーナも詳しいじゃろうし、近接戦もエレオノーラとレンダにも参加して貰う予定じゃ」
「皆さんの様に強くなれるよう頑張ります!」
「うむ、その意気じゃ」
訓練を終えて家に戻ると、
「あーー!破れてるー!」
スノウの背中を見てそう言った。
「あー、忘れてました」
翼を出した事で服の一部が破れてしまったのだ。
「もう、直すからこっち来て」
「ついでに翼が生えても大丈夫な様にして欲しいです」
「えー難しい。けど、仕方ないか」
文句は言いつつも、オーダー通りに仕上げるオルフェさんにスノウは感謝するのだった。




