業務提携
コンコンコン
午後2時の事、玄関のドアをノックする音が聞こえる。
今日は誰かの訪問予定は無かった筈だと思いながらドアを開けると、ウンディーネのネアンさんと後ろには赤・青・緑・紫・オレンジの髪色の5人の女性が立っていた。
「コタケさん、こんにちは」
「こんにちは、今日はどうされたんですか?」
「オルフェさんに依頼がありまして、急で申し訳ないのですがいらっしゃいますか?」
「居ますよ。どうぞ上がって下さい」
リビングに通し、オルフェさんを呼ぶと2階から降りて来る。
「なに〜?」
「ネアンさんがオルフェさんに用があるんだって」
「私に?あっ、なるほど!この偉大なる魔王の力を借りたいって訳だね」
「そう言えばオルフェさんは魔王でしたね」
「あれ?忘れられてるんですけど」
「残念ながら今回は魔王としての力ではなく、服屋としての力を借りたくて、彼女らの衣装を作って欲しいのです」
一緒に連れて来ていた5人を見ながら言う。
「ふむふむ、なーんか何処かで見た事あるような?」
「皆さんは1度海でお会いしてますよ」
「カラフルな5人組・・・・・・・サイレーン5だっけ?」
「「セイレーン5です!!」」
5人は声を揃えて訂正する。
「ごめんごめん、そうだったね」
「そこの男の人も忘れてましたよね」
赤色のリーダー・アメリアに言われ素直に頷く。
「やっぱり私達の活動が足りてないのよ」
「もっとライブ増やすべきね」
と言うよりかは、人魚から人の姿に変わっているのでイメージが変わっている。
「はいはい、その話は後にして頂戴。今はオルフェさんの協力を仰ぎなさい」
「この子達の衣装って言っても、どんなの作れば良い訳?」
「メンバーカラーに合わせた衣装を作って欲しいのです」
「デザインは指定とかある?そういう衣装は作った事無いんだけど」
「一応私達で考えてみたんです」
メンバーの1人が三面図を渡す。
「へぇ〜なるほどね。可愛いじゃん」
「引き受けて頂けるでしょうか?お金はもちろんのこと、各地を回る際に衣装を作った所の紹介もします」
「至れり尽くせりだね。でも、なんで急に私に依頼しに来たの?」
「今着ている衣装は彼女達が自作した物なのですが、凝った物を作る技術も無く、オルフェさんの事を思い出し依頼しに参りました」
「そう言うことね。良いよ面白そうだし、やってあげるよ」
「「本当ですか!ありがとうございます!」」
5人は声を揃えて言う。
「じゃあ早速、採寸するから・・・・・・コタケ君外して貰える?」
「どうぞご自由に」
ダイニングに向かい採寸が終わるのを待った。
「いや〜上半身しか測らなくていいから楽だね」
「そういう利点もあるんだ」
「1週間くらいで出来ると思うから、また取りに来て」
「分かりました。ありがとうございます」
「感謝を伝える為に歌います!」
「やめなさい」
歌おうとする5人をネアンさんが止める。
「もし良ければ私達の次の公演に来てください。その時にオルフェさんの衣装も披露しますので」
「私達結構有名になったんですよ!」
「曲も増えました♪」
「どうぞ、チケットです!」
「特等席ですよ〜」
「折角作るんだからね、皆んなが着て歌ってる所見ないと」
チケットを受け取る。
「ではまた1週間後に参ります」
ネアンさん達は帰って行き、
「よ〜し、気合い入れて作るかー!」
オルフェさんはやる気満々で作業を始める。
1週間後、衣装を見た彼女達は満足気に受け取り、今後もお願いしたいと言うのであった。
本日から1週間お休みを頂きます。
次回投稿は10月18日土曜日です。




