諦めました
「シェリーって最近は大人しいよね」
俺は暇そうに床に転がっていたシェリーに、そう話しかけた。
「私はいつも大人しいですよ?」
「いや、何というか男男って言わなくなったような気がして」
「私が男に飢えてるヤバい奴みたいな言い方やめて下さいよー」
「誰に聞いてもそう言うと思うけど」
「私だって節度を守って相手を探してましたからね」
「そうかなぁ・・・・・・?」
必死な形相で相手を探していた今までの姿を思い出す。
「実は良い相手見つけたとか?」
「だと良かったんですけどねぇ」
「じゃあどうして大人しくなったの?」
「それは・・・・・・諦めたんです」
「うーん、信じ難いなぁ」
「えぇ、今までの私の姿を見ていたらそう思う事でしょう。ですが、本当に諦めたんです」
「ちなみに理由は?」
「なんかもういいかなって、冷めちゃったんですよね」
「そんなものなのかな」
「まぁ長年探してましたからね。そういう期間なのかもしれません」
「じゃあさ、もしシェリーの事が好きって言うイケメンが現れたらどうする?」
「もちろん逃しませんよ!手っ取り早く既成事実作ってやります」
「絶対諦めてないでしょ」
「いやいや本当ですよ〜。それに最近ふと思ったんです・・・・・・私この家の皆さんと結婚したようなものだと!」
「また変な事言い出した」
「だってこれだけ一緒に住んでるんですよ。これはもう結婚したと言っても過言ではないですよ」
「過言だよ。だいたいとんでもない重婚じゃん」
「でも認められてるからセーフです!」
「まぁそうなんだけど、その場合シェリーは夫なの?妻なの?」
「人によって変わりますよ。コタケさんの場合は私が妻です。アリシアさんだったら私は夫ですね」
「じゃあグリートは?」
グリートが丁度横を通りかかったので聞いてみる。
「うーん、私は妻ですね。だらしない夫を支える献身的な妻です」
「おい、なにか分からんが貶された気がする」
「あはは、気のせいですよー」
とぼけるシェリー。
次にエレオノーラさんとメアさんが通りかかる。
「あの2人は?」
「エレオノーラさんの時は妻で、メアさんの時は夫です」
「何の話をしているんだ?」
シェリーが皆んなと結婚したと話す。
「また変な事を考えて」
「皆さんも私と結婚できて嬉しいですよね?ね?」
「あっ、私エレオノーラさん一筋なのでごめんなさい」
「振られました!」
「残念だね」
「コタケさんは嬉しいですよね!」
「ごめんね」
「また振られましたぁ!もう良いです。アリシアさぁーん、慰めてくださぁい」
シェリーはキッチンの方に向かって行った。
「何だったんだ?」
「ふふ、楽しそうですね」
「これでしばらくは落ち着いてくれるかな」
相変わらず騒がしい1日になるのだった。




