嫉妬?
「イルートさん、風呂場の掃除はどうですか?」
「先程終わりました」
「流石の早さですね。今日は残りは私達でやるので大丈夫ですよ」
「かしこまりました」
家事の手伝いを終えたイルートは、イルシーナさんの部屋へと向かう。
アンさん、リビアさん、イルートの3名は初日に話し合い、家事を分担する事を決め上手くいってる様だ。
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翌日。
今日のイルートは子供達の勉強を見ている。
「ここ分かんない」
「こちらは、この様に式を当てはめる事で・・・・・・」
イルートによると、高性能な演算力と記憶力が備わっている様で、子供達に分かりやすく勉強を教えてくれている。
「これは学園でもトップレベルの教師になれますね」
休憩がてらにオヤツを持って来たアリーが言う。
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翌日。
今日は庭で、リッヒさんといつの間にか居たロスさんの2人に見つめられていた。
「どうですか、師匠?」
「確かにメチャクチャ向いてるね」
一体何の話をしているのかと聞いていると、
「私達よりも暗殺者に向いてるよ」
物騒な話をしていた。
「人間じゃないから呼吸とか鼓動も無いし、武器を持ち込まずとも自分の手を変形させれば良いんだから最強だよ」
「師匠を超えれるんじゃないですかね」
「私なんか簡単に超えれるよ。ちょっと暗殺者になってみない?」
そんなスカウトをかけていると、話が聞こえたのかイルシーナさんがやって来る。
「ちょっと、お二人さん?ウチの子に変な営業かけないでくれます?」
「絶対大成するって」
「オートマタでメイドで戦闘も出来るのに、暗殺者でもあるってこれ以上の属性はいらないよ」
「えーもったいない」
「もったいない」
「もったいなく無いです」
そんな中、狩りを終えたメアリーさんとグリートが森の中から帰って来た。
「おっ、メアリーちゃんおかえりー」
イルシーナさんがそう言うが、無言で通り過ぎようとする。
「あれ?もしかしてこれが反抗期ってやつ?」
「違います」
今度はすかさず返答する。
「もぉ〜、聞こえてるじゃん」
抱きつこうとするがヒョイと避ける。
「くっつかないで下さい」
割といつもの対応だなと思っていると、
「ふっ、嫉妬心だな」
グリートがそんな事を言う。
「なっ!違います!」
「いやいや、そうだろう。イルシーナがイルートに構いっぱなしで寂しいんだろう?」
「変な事言わないで下さい!」
メアリーさんは否定するが、真に受ける者が1名居る。
「そうなら言ってよー。私の娘はメアリーちゃんだけだよ」
「貴女の娘ではないのですが?」
「メアリー様、マスターの娘はお譲り致します」
「いや、譲られても困ります・・・・・・」
「ほらほら、イルートもこう言ってる事だし。家族水入らずで一緒にお風呂でも入ろうよ」
「遠慮して・・・・・・ぬ、抜けない」
ガッチリと腕を締め付けられ、逃げられないメアリーさんをズルズルと引きずって行く。
「グリート、後で覚えておいて下さいね」
「ハッハッハッ、何のことだ?」
悔しそうなメアリーさんに対し、勝ち誇ったグリートは楽しそうにして、今日も我が家は平和であった。




