好転
アイラさんが滞在して3日目となった。
まだまだ、オルフェさんに対しての当たりは少し厳しい気はするが、初めてあった時よりかはマシになっている様な気がする。
昨日は、ティーの狩りについて行ってどちらが多く獲れるか勝負となったみたいで、オルフェさんは面倒くさがって手を抜いたら怒られたと、帰ってきてアリーに泣きついていた。
「人には向き不向きがありますから、余り無理強いはいけませんよ」
とアイラさんは諭されていた。
なんだかアリーが、姉妹の喧嘩をなだめるお母さんに見えてきた。
そして、その日の夕食を食べ終えた後に俺達はアイラさんにある事を聞いた。
それは、アリーが国でどのような扱いになっていて戻る事は出来るのかという事だ。
俺達の予想では失踪していて、本来アリーが嫁ぐはずだった貴族が探していて戻るのは危険だと考えていたのだが、
「アリシア様なら普通に戻られても問題ありませんよ」
と意外な答えが返ってきた。
「どうしてですか?」
「実はアリシア様が王子より婚約破棄をされた後、国王様と王妃様の指示の下事実関係を調べられたのです」
それを聞いたアリーは驚いた顔していた。
「普通そんな事はしないんですか?」
とアイラさんに聞いてみた。
「本来であれば、この様な調査は行われないでしょうがアリシア様はお二人からの信頼も厚く、王子の証言が本当かを確かめたかったのでしょう。すると実際には、ウッドフォード公爵家と敵対していたフェサード公爵家の嘘であった事が分かったのです。結果、王の怒りを買ったフェサード公爵家は取り潰しとなり、国家反逆罪として処刑されました」
(国王様結構容赦ないな・・・それだけアリーの事を信頼してくれてたんだろうな)
「その後、この件に関わった同じ派閥の貴族達も階級を下げられるなどの処罰を受けております」
「なるほど・・・ちなみに王子はどうなったんですか?」
「王子は廃嫡となり城から追い出されました」
「そこまでするんですね・・・」
「王子ともあろう者が騙されていたんですからね、そんな人に国を任せる事なんて出来ませんよ。それでも国王にとっては実の子ですから、ある程度は生きていけるお金を渡されたと聞きました」
ここまでを聞いて、アリーの方を見てみると涙を流していた。
「だ、大丈夫!?」
「はい、大丈夫です。まさか国王陛下がここまでして下さってるとは思わなくて、私の事を信じて下さっていた方が家族以外にも居て嬉しくて・・・」
「俺も何があってもアリーの事を信頼してから安心して」
「ありがとうございます」
一旦アリーが泣き止むのを待った。
「すみません、お見苦しい所をお見せしました。では、話を戻しまして、本来私が嫁ぐ予定だったあの貴族はどうなったのでしょう?」
「その貴族も今回の調査で今までの黒い噂が明るみに出て、処刑されております」
「そうでしたか、そうすると私が領地に戻っても追ってくる者も居ないと言うことですね」
「あっ!そういえば国王陛下の名の下、アリシア様の捜索隊が編成されたんでした」
「そ、そうなんですか!それでしたら早く無事をお伝えしないといけませんね」
「私が国に戻り次第国王陛下にお伝えしましょうか?」
「そうですねアイラにお願いします」
「分かりました!」
「となると落ち着き次第アリーの実家の方にも戻る事にしようか」
「そうですね、これで安全に両親に会う事が出来ます」
「ウッドフォード公爵にも私から無事をお伝えしておきましょう」
「ただ、結婚の事はまだ内緒のままにしておいて下さい、私から直接伝えたいので」
「それは内緒にしておきます」
「ありがとうアイラ」
「ところでいきなり公爵家を一つ潰して国としては問題ないの?」
「そういえばそうでしたね、代わりに領地を治める者が居ないといけませんが、国の直轄となったのですか?」
「そちらは現在、国王陛下が任命した辺境伯が次の公爵家が決まるまで代わりを務めてます」
「もしかして、ベラコリック辺境伯ですか?」
「その通りです」
「どんな人なの?」
「彼は国王陛下の昔からの友人でとても信頼の厚い方です。元々爵位には全然興味もなく辺境伯という忙しい立場でもあるので、そう簡単に引き受けてくれたとは思いませんが・・・」
「最初は断っていたそうですが、何度もお願いされて根負けして引き受けたそうです。ただ、公爵家の領地と辺境伯家の領地を行き来するのは時間がかかるので、辺境伯家の領地は現在ご子息が代わりに治めているみたいです」
「彼のご子息もかなり優秀な方とお聞きしてますので、安心出来そうですね」
「じゃあ、アイラさんにはアリーの無事を伝えて貰うとして、いつ出発しようか?」
「アイラがここでの滞在を終えた1週間後はどうですか?」
「そうだね、なるべく早い方が良いよね。俺からも他の人達にそれでも大丈夫か確認しておくよ」
「はい、お願いします」
他の人達にも確認した所、1週間後で問題無いとの事だった。
「ところでアリーの両親ってどんな人なの?」
「父はとにかく明るくて元気な人ですね。それに対しては母は落ち着いていてクールな感じでしょうか」
「テンメルスさんとヴァルナさんみたいな感じ?」
「そうですね、確かにあのお二人に少し似ていますね」
「なるほど、会うの楽しみになってきたなぁ」
「ただ・・・父にワタルさんの事を紹介をしたらどういう反応をするのか分からなくて・・・元々私の婚約には反対していたので」
「結構過保護だね・・・」
「はい、ですので穏便に事が済めば良いのですが・・・」
(お前に娘はやらん的な事を言われてしまうのだろうか・・・)
「まぁ、ともかく戻るの楽しみだね」
「はい久々に両親に会えるので、今から楽しみです!」
こうして、近々アリーの両親に会いに行くこととなった。
アイラ編は多分次回で終わります。
年末で忙しくて、小説書く纏まった時間が取れない・・・
でも今年も残り5日間なので頑張りましょー!