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魔王と勇者

アリー達の知り合いであるアイラさんに、オルフェさんを紹介した所、突如切り掛かり彼女の事を魔王と呼んだのだった。


「アイラ、魔王とはあの6人いるとされる者達の事ですか?」


アリーがアイラさんに質問した。


「そうです、その者は魔王オルフェ!国は持っていませんが、危険な人物として魔王と認定された者です!」


アイラさんはそう言ったものの、1週間オルフェさんと暮らしていたが、ただのお酒好きで危険な人には見えなかった。


「アイラさん、ただの人間違いじゃないですか?」


と俺は聞いてみたのだが、


「いいえ、間違っていません!名前も容姿も聞いていた通りです!」


とのことだった。

これでは埒が明かないので、直接本人に聞くことにした。


「オルフェさん、アイラさんが言ってる事は本当ですか?」


「ん〜そうだね、私は魔王って呼ばれてるよ」


と軽く返事をした。


「やはり魔王か!」


アイラさんはまた切り掛かろうとしそうな雰囲気だった。


「オルフェさんが魔王なのは分かった。だからこれだけは聞いておきたいんだけど、人を殺してたりするの?」


俺は真剣な表情で聞いた。

家には龍王であるティーがいるので、オルフェさんが魔王だとしても何も構う事は無いが、もし人や他の種族を無闇やたらに殺しているのだとしたら、これまで通り一緒に住む事はできないだろう。


「いやいや、そんな事してないよ。そもそも私は人間が好きだからね」


オルフェさんはそう否定した。


「そうか・・・なら全く問題ないな!」


俺がそう答えると、


「魔王の言葉を信じるのですか!?」


アイラさんがそう言ってきた。


「アリー達は君の事をどんな人か知ってるんだろうけど、俺は知らないし、それだったら少しの期間ではあるけど一緒に過ごしたオルフェさんの言葉を信じるよ」


「なんか照れるなぁ〜」


後ろでオルフェさんが呟いた。


「それに悪い事はしてないんだよね?」


と言いオルフェさんの方を見たのだが、目を泳がせて視線を逸らされた。


「え?何?もしかして、本当は悪いことやってたの?」


「え〜今、信じてくれるって言ったじゃ〜ん」


「じゃあなんで目逸らすの?」


「いや〜その〜、昔ちょっとだけ無銭飲食したみたいな?」


「えぇ〜」


それを聞いて皆んな呆れた表情をした。


「だってね、その時お金が全然無くて、お腹も空いてたから仕方なく・・・それにその後、お店のお手伝いして許して貰ったから!」


「許して貰ってるなら良いけど、そもそもなんで魔王なんて言われてるの?」


「私も理由は知らないんだよね。自分から名乗った事なんて無いし」


当の本人が知らないそうなので、アイラさんに説明を求めた。


「オルフェという魔族が自分で魔法を生み出したと国のトップの耳に入り、危険人物として魔王と認定されました」


「確かに、国からすれば世に広まっていない魔法などで攻撃されるという危険な可能性がありますからね。まぁ実際は違った様ですが・・・」


とアリーが言った。


「そうそうアリシアちゃんの言う通り、私は裁縫の魔法しか作れなかったから全然危険じゃないよ」


「そこまで言うなら私と戦って証明してください!」


(またか!この子戦闘狂か何かなの?)


何故この子がここまでして戦おうとするのか小声でアリーに聞いてみた。


「ねぇ、アイラさんって戦うの好きなの?」


「いえ、そういうわけではないんですけど、彼女は小さい頃から剣を叩き込まれているので戦うと何か分かるのでしょうね」


「それでも、俺の時よりもオルフェさんの時の方が当たり強くない?」


「アイラはマゼル王国の勇者ですので、魔王と知った以上は手加減しないのでしょう」


「えっ!アイラさんって勇者なの!?」


「えぇ13歳の時にその才を認められ、勇者に任命されました。彼女は貴族では無く、一般市民だったので拠り所もなく、たまたま私と王宮内で出会いそれから仲良くなったのです」


「そういった経緯があったんだね」


確かに勇者が魔王を倒そうとするのは分かる。

だが、何もしていないオルフェさんを倒す理由は無いはずだ。

こうして、アリーと話している内にもアイラさんは威嚇を続けていた。


「さぁ魔王!外に出て私と戦いなさい!」


「うーん、じゃあ戦おっかー」


とオルフェさんが言い、段々とヒートアップしていた。


「魔王!覚悟しなさい!」


「どんとこ〜い」


2人が一触即発となってきた所で、アリーが2人にデコピンをした。


「いたっ」


「いてっ」


「2人とも、めっ!ですよ」


(あっ、かわいい)


ちょっと怒ったアリーが可愛かった。


「アイラは勇者ですので、魔王と敵対するのは分かりますが、私もオルフェさんと少しの間一緒に暮らして彼女が悪い人物だとは思いませんでした。その事をアイラにも分かって欲しいのです」


「はい・・・」


「それと、オルフェさんもアイラの挑発に乗らないで下さい。戦う気はないのでしょう?」


「あはは、ごめんね」


「アイラがオルフェさんの事を危険な人物で無いと分かってもらう為に1つ提案したいのですが・・・」


と言い俺の方を向いて、


「アイラを少しの間こちらに滞在させても宜しいでしょうか?」


と提案してきたのだ。


「アイラも勇者ですので、長い間留まる事は出来ませんが1週間程ですと大丈夫でしょう」


「まぁ、アリーがそう言うなら大丈夫だけど」


「アイラもそれで良いですね?」


「アリシア様がそうおっしゃるのであれば・・・」


「では、今日から1週間よろしくお願いしますね。オルフェさんとも仲良くね」


「はい、皆さんよろしくお願い致します」


こうして、しばらくの間アイラさんが滞在する事となった。


ちなみにこの後、ティーが龍王だと紹介すると、また戦って欲しいと言い出してアリーに怒られていた。






















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