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アイドル

「「セイレーン5で〜す!」」


「「・・・・・・」」


「あれ?反応無いね?」


「ビックリしちゃったのかな」


「私達の可愛さに言葉も出ないのかも!」


「「それだ〜」」


突如として現れた巨大な貝から出て来た5名の人魚はキャッキャッとはしゃぐ。


「新手の魔物かな?」


「こんなトンチキな魔物はおらんじゃろ」


「あの全く状況が飲み込めないんですが」


我が家の誰一人として分かる者はいない。

とりあえず何者なのかを聞こうとした時、


「それじゃあ1曲目行くよ〜!」


「「潮のバラード」」


何処からともなく音楽が流れ始めると、人魚達は歌い始めるのだった。


「海の愛を君に捧ぐ〜♪」


「なんだこれは?」


「何か始まったね〜」


「歌ですかね。とても心地の良い声をしてます」


貝はステージの代わりの様で、そこで感傷的な曲調の歌を綺麗な声で披露する。

歌は4分程続いて終わりを迎える。


パチパチ


思わず聞き入ってしまい手を叩く。


「わぁ〜!ありがとうございます!」


「皆さんどうでしたか〜!」


「歌詞はよく分からんが、なんか良かったのじゃ」


「それじゃあ、次の曲は〜」


「ちょっと待ってくれ!君達は一体何者なんだ?」


すぐに次の曲を歌おうとし、エレオノーラさんが止めに入る。


「ごめんなさい、申し遅れました!絶対的センター、アメリアと」


「いつでも冷静沈着な、レイラと」


「皆んなの愛されキャラ、ジュリアと」


「大人の魅力で皆んなをメロメロ、ゾーイと」


「元気いっぱい天真爛漫、ソフィーの〜」


「「5人合わせて、セイレーン5です!」」


赤色の尾のアメリアから順に、青、緑、紫、オレンジと自己紹介をしていく。


「ますます分からん」


グリートが呟いて皆んなも同じ反応するが、俺だけは前世のアイドルを思い出して妙に懐かしい感じがした。


「私達、歌で皆んなに幸せを届けに来ました」


「なんと今回が初ライブなんです!」


初めてにしては堂々としていて上手だ。


「それじゃあ自己紹介も済んだので、次の曲いってみよー!」


「「海のロック」」


今度は前の曲と打って変わって、ロック調のアップテンポな曲で雰囲気がガラリと変わった。

皆んなもノリに乗っている。


「イェーイ!ありがとー!」


2曲目が終わる。


「さっ、ドンドンいっちゃおー!」


3曲目に入ろうとした時、


「貴女達、何やってるんですか!」


聞き覚えのある女性の声がする。


「やばっ!」


「マネージャー来ちゃった!」


その声を聞いた5人は慌てだし、海へと戻ろうと貝を動かそうとする。


「逃しません!」


その声と共に大きな波が発生し、貝の動きを止める。


「ギャー!捕まったー!」


5人はアイドルらしからぬ絶望の表情を浮かべている。

そして、海の中から現れたのはウンディーネのネアンさんであった。


「全く、貴女達は・・・・・・勝手にステージも持ち出して」


「でも好評でしたよ!」


「そうです、そうです」


「後ろの人達にも聞いてくださいよ!」


ネアンさんは振り向くと、ハァと溜め息を漏らす。


「この度はご迷惑をお掛け致しました」


「なかなか大変そうですね」


「えぇ、まぁ」


苦笑いをする。


「あれ?知り合い?」


「うそっ!じゃあ駄目じゃん!」


俺達が知り合いだと知らなかった5人は騒ぎ始める。


「ところで、あの5人組はなんなのじゃ?」


「実は、海底国もそろそろ地上の方達と友好関係を結ぼうと思いまして、その足掛かりとして彼女達の歌で人々の心を掴もうと画策しました」


「なるほど、確かになかなか良い歌声だった」


「うんうん、曲も良かったよねー」


「ほ、本当ですか?」


気を遣われているのではとネアンさんは疑うが、実際かなりのレベルに仕上がっている。


「そうだよ、マネージャー!私達、もう外に出ても問題ないよ」


「「そーだ!そーだ!」」


「それでも勝手に動いた事は許しませんよ?」


「「ゔぇあ」」


「まぁ、コタケさん達のお墨付きであれば、そろそろお披露目にしたいのですが、まずはどの国から行くのかも決めないといけないんですよね」


「ラーブルクはどうですか?海底国からも近いですし」


「何なら、事前に人を集めておいてやるのじゃ」


「ゲリラ的に行う予定でしたが、それは助かりますね」


人が沢山集まっていようが、彼女達なら問題無いだろうと何となく思う。


「マネージャー!やりましょう!」


「「やりましょう!やりましょう!」」


「はぁ・・・・・・分かりました。ですが、失敗は許されませんよ?今から帰ってミッチリ練習です!」


「「はい!」」


「ではティーフェン様。日程などは後日伺います」


「うむ、こちらも話を通しておくのじゃ」


「みんな〜!今日はありがと〜!」


「また次のライブにも来てくださいね!」


「「以上、セイレーン5でした〜!」」


こうして、彼女達は海へと戻って行く。


そして1週間後、ラーブルクにて行われたライブには5000人が集まり大成功を収め、その名を世界に轟かせる第一歩になるのだった。




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