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日頃の鬱憤

「この度は大変申し訳ございませんでした」


メアリーさんに土下座をするイルシーナさん。


「謝罪はそれだけですか?」


「しばらくは何でも言う事聞きます・・・・・・」


それでもまだ少し怒っているメアリーさん。

その原因は前日の夕方にまで遡る。


〜〜〜〜〜〜


「メアリーちゃーん!何も言わずにこれ飲んでー」


赤い錠剤を見せながら、ニコニコするイルシーナさん。


「バカですか?」


「ひどいなー。そんな口の悪い子に育てた覚えはありません」


「貴女に育てられた覚えはありません」


「まぁまぁ、ここはひとつグイッと」


「だから要りませんって」


「仕方ない、グリートやっちゃって」


パチンと指を鳴らすと、警戒したメアリーさんが立とうとしたが立ち上がる事が出来なかった。


「体が、動かない」


「おい、本当にスイーツ食べ放題が出来るんだろうな?」


「ほんとほんと、はいこれがその券ね。今日までしか使えないから」


「チッ、騙したな」


「いやいや、使えるんだから騙してないよ」


「おいコタケ、ゲートを開け」


「はいはい」


グリートは街へと向かう。


「卑怯な、そこまでして私に飲ませたいのですか?」


「そうだよ〜、だから大人しく飲んでね」


「嫌です!」


口を閉じて抵抗するメアリーさんだったが、脇をコチョコチョされ思わず開いてしまう。

その瞬間を逃す事は無く、怪しい薬を突っ込まれ飲み込んでしまう。


「不覚ッ」


「ふへへへへ、害は無いから安心してよ」


そんな全く信用の無い言葉と共に、メアリーさんの体が少しずつ小さくなっていく。

そして、一瞬にして小学校低学年程の背丈になってしまう。


「おぉー、成功」


「体を小さくする薬?」


「そうそう、体は小さくなっても記憶とか脳はそのままなんだよ」


「何処かで聞いた事あるな・・・・・・」


「私以外にも作った人いたっけ?まぁそんな事より、メアリーちゃん可愛い〜」


ギュッと抱きしめて頬ずりをする。

そんなイルシーナさんに嫌がる言葉が出るかと思いきや、


「あの、ここはどこですか?」


オドオドと不安そうにそう話すのだった。


「へっ?メアリーちゃん、私の事分かるかな?」


質問に対して首を横に振る。

その様子は演技をしているようには見えない。


「はぁ・・・・・・全員集合ー」


俺は家に残っている人達を呼び事情を説明した。


「なんともまぁ面倒な事をしてくれたのじゃ」


「うぅ、悪気は無いんです。ただ、メアリーちゃんの小さい時の姿を見たいという純粋な気持ちが」


「不純じゃろ」


怒られているイルシーナさんは正座中である。


「しかしどうしましょうか?このまま戻らないなんて事も・・・・・・」


メアリーさんは子供達とすぐに打ち解けて仲良く遊んでいる。


「このままでも」


「良い訳無いじゃろ」


「時間が経てば戻るはずなんだけど」


「どれくらいですか?」


「さぁ?」


「さぁって」


「そんなに長くはないと思う」


「ちゃんと戻るんだったら、それまでしっかり面倒見てあげて下さいね」


「それは任せて、きちんとママを遂行するから!」


「心配じゃな」


「メアリーちゃーん、お風呂入るよー!」


そう言われるとトコトコとイルシーナさんの元にやって来る。


「あの、1人でも入れます」


「でも場所とか分からないでしょ?」


「私達も一緒に入るから大丈夫ー」


「うぇ?」


子供達だけで向かいポツンと残される。


「小さくなってもメアリーさんって感じですね」


「諦めないから」


その後も、


「はい、メアリーちゃん、あーん」


「1人で食べれます」


「ぐぬぅ」


夕食時に隣に陣取ったり、


「メアリーちゃんもお勉強しよっか。分からない所は教えてあげるからね〜」


「出来ました」


「うわっ、全問正解」


夕食後に勉強を教えようとしたりしたが、全て失敗に終わった。


「子供達は寝る時間だよ」


「「はーい」」


「私は不甲斐ないママですぅ」


いじけるイルシーナさんの元に、メアリーさんがやって来る。


「あの、仕方ないので今日は寝てあげます」


「わぁー!やっとデレてくれたー!」


ギューっと抱きしめ、部屋へと向かって行った。


「本当に記憶が無いのか分からんくらい、イルシーナには辛辣じゃったの」


「条件反射的に体に染み付いちゃってるのかな?」


「明日は戻りますかね?」


「戻っても今日の記憶が残らなければ良いがの」


そう心配しつつ翌日、


「ギャアァァァァ」


イルシーナさんの悲鳴で目が覚める。

部屋に向かうと壁に張り付けられたイルシーナさんと、大人の姿に戻ったメアリーさんがいた。


「申し開きはありますか?」


「眠れずに抱き付いてきたメアリーちゃんは可愛かったよ?」


〜〜〜〜〜〜


元に戻ったメアリーさんは小さくなっていた時の記憶がハッキリと残っていたそうだ。


「何でも言う事を聞く、と?」


「いやでも、難しい事はちょっと・・・・・・」


「やはり貴女は1度痛い目に遭わないとダメな様ですね。ここで日々の鬱憤を晴らします。グリートやりなさい」


「えっ?あっ!体が動かない」


「グリート、貴女はこれにて不問にします」


「別に私は悪くないのだが・・・・・・」


「さて、覚悟は出来ていますね?」


「いやーあのー・・・・・・優しくお願いします」


「無理です」


そのまま外に連れ出されたイルシーナさんは、ボロボロで泣きながら帰って来て、何をされたのか聞こうとすると泣き出す程トラウマになっているのだった。





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