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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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決着

「あれって、クロ!?」


「なんじゃ、どうなっておる」


「この下にお嬢様がいるやもしれん」


「皆さん、あそこを見て下さい」


メアリーさんが空を見ながら叫ぶ。

そこには、グリートがアリーを抱っこしながら空を飛んでいた・・・・・・


〜〜〜〜〜〜


30分前。


「ついて来い」


信者に呼ばれた私はグリートの元へと連れて行かれる。

その場には100人近い信者が集まっていた。


「グリート様、連れて来ました」


「ご苦労」


「私は生贄にでもされるのでしょうか?」


「そうなりたいか?」


「その前に貴女に命令して逃げ出します」


「さっきの言葉を忘れた訳じゃないだろうな?」


「その時になれば私も決心します」


「強がるな。お前には出来ん」


確かに私にとっては簡単な事では無いが、少しカチンとくる。


「グリート様、準備が整いました」


「あぁ、そうか。連れて来い」


「何をする気ですか?」


「お前の命令から逃れるには力を取り戻さないといけない。そして、信者達がその贄を持っているのだ」


その言葉にゴクンと唾を飲む。

そして扉が開くと、1体の骸がカタカタと音を立てながら歩いて来た。


衣服は土埃で茶色になり生前の姿は全く想像がつかないが、腰に1本の剣を携えておりそれは白く輝きどこか聖剣を彷彿とさせる。


「ハハ、ハハハハハハハ!やはり、やはりそうだったか!」


グリートは何やら興奮した様子になる。


「グリート様はお分かりになりますか?こちら、貴女様を封印した勇者の骸になります」


「あぁ、分かるとも。あの忌々しい勇者の気配だ」


「死してなお、大量の魔力を持っております」


ブン ブン グシャ


「ぎゃあ」


勇者の骸が剣を手に動き、近くにいた信者を殺す。


「魔法で制御をしておりますが、完璧に動きを抑える事は出来ませんでした」


「腐っても勇者か」


何人かが魔法で足止めをしているが、それでも勇者の動きは止まらない。

そして、勇者はチラッと私を確認すると、一瞬で目の前に詰め寄って来る。


「きゃっ!」


私はただ目を瞑る事しか出来ず、終わったと思う。

しかし、いつまで経っても斬られた感覚は無く、恐る恐る目を開けてみると、グリートが前に立ち剣を掴んでいた。


「勇者ともあろう者が、民に斬りかかるとは堕ちたものだ」


「あれ?守って下さるのですか」


「なんだ?死にたかったのか?」


「グリート様、何故その女を」


「私の目的は初めからソレだ」


勇者の骸を指差す。


「おい、私に捕まっていろ」


「すみません、さっきので力が抜けちゃって」


「全く、面倒な女だ」


グリートは左手で私を軽く持ち上げると、右手を上げてパチンと指を鳴らす。

その瞬間、大きな地響きと共に天井が崩壊し、合間を縫って空へと飛び上がる。

下を見ると、大きな黒い物体が私達の居た所から飛び出していた。


「アイツらは・・・・・・あぁ、居たな」


そう呟き降りた先にはワタルさん達が居たのだった。


〜〜〜〜〜〜


「アリー!大丈夫!?」


「私は大丈夫ですよ」


「アリシア様、私の不注意でこの様な事態に」


「リビアは悪くありません。私の油断が招いた事ですから」


「反省は後じゃ、それよりもまずはコヤツをどうするかじゃ」


ティーがグリートを見ながら言うが、


「グリートが完全に悪くないとは言いませんが、彼女は私を助けてくれたので信用に値します」


アリーがすぐに弁護する。


「そうだ。私は悪くない。第一に私のお陰で、お前達はこの女を発見出来たんだからな」


「もしかして、クロが大きくなった原因って」


「私が魔力を与えて大きくしてやった。分かりやすい目印だっただろう?」


「前にクロが少し大きくなったのも?」


「実験していたんだ」


「そういうのは本人の許可を取ってからやってよ」


「結果として助かったから良いだろう」


「そうだけど、後で謝っておくように」


そんな話をしていると、瓦礫の下からゴソゴソと聞こえ、1体のスケルトンが現れた。


「魔物?これもグリートの仕業?」


「いえ、これはグリートを封印した勇者の骸だそうです。信者がグリートの魔力を戻す為に持って来たそうなんですが、見境なく人を斬りつけていました」


「所詮は死人という訳じゃな」


ティー達が討伐しようと動き出すと、グリートが手を上げて制止する。


「私が決着をつける」


グリートが1歩前に出ると、勇者はジーッと見つめて剣を手に取る。


「死んで私の信者に利用されるとは哀れな奴だ。せめてもの報いに一瞬で終わらせてやろう」


グリートが手をかざすと、勇者の前に直径50cmの黒い玉が現れる。

すると、その玉に周りの瓦礫などが吸い込まれ始め、1番近くにいた勇者の骸は当然耐えられる訳もなく、少しずつバラバラになりながら吸い込まれ跡形も無くなるのだった。


「ふぅ・・・・・・」


「グリート、お疲れ様でした」


「別に疲れてないんだが?」


「これで終わりですか?信者達は何処でしょうか?」


リッヒさんが聞くと、グリートは下を指す。


「崩落に巻き込まれて死んださ」


「一応確認はしておきます」


リッヒさんは崩落した穴に身軽に飛び込む。

しばらくして戻ると、信者達が潰されて死んでいたと言った。


「奇跡的に街の人達に被害は無さそうです。ただ、道や建物には被害がありますが」


「私達のせいですから、ウッドフォード公爵家を通して寄付をしたいと父に申しておきます」


「それが良さそうだね」


「終わったのなら、お前が言っていたカフェとやらに行くぞ」


「流石にこの騒ぎがあったのでやってないかと・・・・・・」


「チッ、ならアンとリビアの作った物で我慢してやる」


「ついに2人の料理が邪神を落としましたよ」


「別に落ちては無い!」


「詳しい話は食べながら聞くとするかの」


皆んなが帰ろうと話を進めているので、俺は待ったを掛ける。


「あのクロはいつ元に戻るの?」


「まぁ、1週間くらいだろうな」


「いやいや、それまで放置してたら討伐されちゃうから」


「転移のゲートで移動は出来ないのでしょうか?」


「うーん?ヒルズ、出来そう?」


「この大きさですと私には難しいかと。精霊王なら出来るかもしれません」


そう言うので精霊王を呼んでお願いすると、大きなゲートを作り出して移動させてくれた。

その移動先というのがホープのダンジョンだった。


森の中では目立ち過ぎるので、そこしか無かったのだが、当然大きさ的に階層ぶち抜いてしまったので怒られた。


そして、1週間後にはクロは元の大きさに戻り、勝手に大きくしたグリートに軽い攻撃をしていた。


そんなこんなで、グリートを取り巻く事件は一件落着となるのだった。







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