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結論

「侵入者だっ!」


謎の島で目の見えない少女とはぐれてしまい、今度は弓を持った者達に囲まれてしまう。

少女と同じ様な服装をしているので、住人なのは間違いない。


「どうする?」


「流石に倒す訳にはいかんじゃろ」


「穏便に私が話で解決してあげますよ!」


自信満々に言うシェリーだったが、


ヒュン


彼女の顔の横を矢が通り抜け、すぐにティーの後ろに隠れてしまった。


「動くな!次に勝手に動いたら顔に当てるぞ」


「あの方達・・・・・・先程の少女と同じ様に目を瞑ってますね。もしや全員、目が見えないのでは?」


「それなのにあの正確な射撃とは厄介じゃの。やっぱり無力化するほか」


そう考えていると、シャリン シャリンと走る鈴の音が聞こえ、草むらから先程の少女が現れ俺達を背に前に出る。


「ライ、何をしている!そこを退くんだ」


男の1人が少女にそう言うが首を横に振る。


「あの、俺達は敵じゃありません!」


「我らの子を人質に取っておいて何を言うか」


この少女を惑わして味方に付けていると思われたのだろう。


「敵の言葉は聞いてくれんの。こっちも人質としてシェリーを差し出すかの?」


「えぇーー!何言ってるんですかぁー!」


「それは最終手段として、お互いに怪我をせずに無力化する方法を探りましょう」


「コタケさーん、2人がひどいですー」


「そこまで!!」


どうにかしようと作戦を考えていると、白髪で腰の曲がった老齢の男性が現れる。


「族長、奴らがライを人質に」


「よく見るのだ、彼らは武器を構えておらん」


「しかし!」


「武器を納めよ!彼らは話が通ずる者達だ」


その言葉で全員が弓を下ろしてくれる。


「なんとか助かったようじゃな」


「間一髪でしたね〜」


「そこの者ら話がしたい。こちらに付いて来てくれるかの?」


「行くしかないよね?」


「そうじゃな。この娘も来いと言っておるし」


少女はティーの腕を引っ張っており、それなりに懐いてくれた様だ。


「俺達の安全を約束してくれるなら」


「もちろん約束しよう」


その言葉をひとまず信じて、彼らの後を付いて行く事にした。

族長と呼ばれた老人が手で合図を送ると、弓を持っていた人達が一斉に姿を消し、少女は老人の元へと寄りこちらを手招きする。


「行くかの」


再び何処かに向かって歩き出す。

族長も目が見えないのか目を瞑っており、少女同様に鈴の付いた手を片手に森を歩く。


そして、10分程歩いたところで小さな村が見えて来た。


「変ですね?上空からは何も見えなかったのに」


村の建物は木組で作られ、人口30人くらいでその半分はさっきまで弓を持って囲んで来た人達だった。


「ひとまず、私の家で話をしましょう」


周りより少し大きい家の中に入る。

部屋は1つだけで真ん中には囲炉裏があり、寝床代わりと思われる"ござ"が置いてある。


「どうぞ、座って下さい」


囲炉裏を囲んで座り話が始まる。


「まずは先程の村の者の無礼のお詫びと、この子が世話になった礼を申し上げます。私は族長のカペラと申します」


「コタケと言います。さっきは止めに入って頂き助かりました。それにその子には、案内もして貰いましたので」


「この子はライと言います。話す事が出来無いので、少々失礼な事があったかもしれません」


「いや、良い子だったのじゃ」


「そうですか、ありがとうございます」


ライはえっへんと胸を張る。


「さて早速ですが、貴方達の目的を聞いてもよろしいですかな?」


俺達はこの島に来た目的と敵意が無い事を伝える。


「なるほど、その様な事情が・・・・・・ライは人一倍悪意に敏感な子なので、嘘は言ってなさそうですね」


「こっちも聞いていいかの?この島は何なのじゃ?」


「ここは我らが暮らす浮島です。海上をあちこちと移動しており、島全体に周りからは見えない魔法が掛かっているのですが、霧の濃い日には少しだけ周りに見えてしまう弱点があります」


「何故このような島に住んでいるのでしょうか?」


「それは我々の目が見えない事に関係するのです。900年前、先祖はこの島ではなく何処かの大陸に住んでいたそうです」


「その時は目が見えておったのか?」


「はい、目が見えなくなった原因は呪いです。ある日、グリートと名乗る邪神が現れ我らに呪いを掛けたと伝えられてます」


「えっ、それってウチに」


シェリーがそう言い掛け、リッヒさんがすかさず手で口を塞ぐ。


「もごもご」


「どうかされました?」


「いえ、続けてください」


「その呪いが視力を奪い、その子供達にも継承されてしまう事になったのです。ですが、目が見えなくなった事で他の部位が強化され、音の反射や匂いで周囲の把握をする術を身に付けました」


鈴の付いた棒は音を反射させる為だと言う。


「そして700年前、先祖はこの島を偶然発見し、大陸から移住したそうです」


「なるほど・・・・・・」


「我々はここで静かに暮らしたい。なので、公にはしないで欲しい」


「この島から出ようとは思わんのか?それこそ、今近くを通っている国は、お主らを悪いようにはしないのじゃ」


「我々は人混みを苦手としております。先程申した通り、強化された耳は雑音の多い生活に耐えられないのです」


「そうか・・・・・・」


「我々の世代で、この様に島に辿り着いた人は貴方達が初めてでした。話の通ずる方達で良かった」


「いえ、こちらこそ色々と話して頂きありがとうございました」


「クッキーいるかの?」


ライに聞くと首を大きく縦に振るので、ティーはありったけのクッキーを手渡す。

その後、族長とライに到着した砂浜に案内して貰いラーブルクへと帰還する。

その際にドラゴンのティーに驚きはしたものの、神の使いだと言われ違うと否定はした。


ラーブルクに到着すると、テンメルスさんにはグリートの事を避けつつ、ありのままを伝えて干渉しない様にお願いし了承を貰い家へと帰る。


〜〜〜〜〜〜


「おい、どうして私はここに座らされている」


アリーの命令で、床に正座するグリートはそう言う。


「ふむ、心当たりは無いかの?」


「私は何もしてないぞ」


今日の出来事を本人に伝える。


「はぁ?なんだそれ、私の仕業では無い」


「お主以外にグリートと言う邪神がおると言う訳か?」


「そんな訳無いだろ。私は唯一無二の存在だ」


「そんな胸を張って言う事では無いじゃろ」


「900年前なぞ、私はあのランプの中に閉じ込められていた」


「アリー以外に封印を解いた人は?」


「いない。そもそも、あんなランプを買う奴が居ると思うか?」


そう言われ、ちょっと傷付いた。


「私は断固としてやっていない」


「なら誰がやったのですか?」


「私の名を騙る不届者だろう」


「そんな人が居ますかね?」


「あの1つ思ったのですが、彼女の信者はまだ生きているのでしょうか?」


リッヒさんがそう言う。

初めて封印を解いた際に、元が天使の為に信者がいなくても消える事は無いと本人も否定しなかったので勝手に思い込んでいた。


「私の信者がそんな事・・・・・・まぁ、するわね」


「邪神の信者なんてそんなイメージしかないです」


「やっぱり元凶消した方が良いんじゃない?」


「私がやった事じゃないでしょ」


「でも、子の責任は親の責任でもある訳だし」


「そんなのと一緒にしないでよ。邪神の信者よ、言う事聞く訳ないでしょ」


自分の信者なのに酷い言いようだ。


「信者を倒せば呪いが解ける可能性はありそうじゃが、今は様子を見る他ないかの」


「もしかすると、グリートの復活を知って襲ってくる可能性もあるから、皆んな注意しとかないとね」


俺達は一旦そう結論付けて、信者が残っており襲って来た時の為に対策を考えるのだった。



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