生やす?生やさない?
「はぁ・・・・・・はぁ」
ある日、何かを悩みながら何度もため息を吐くメアさんの姿があった。
「どうかしたんですか?」
「あぁ、コタケさん。あの、殿方にこんな事を聞くのはアレなんですけど・・・・・・」
少し考えながら話を続ける。
「子供ってどうやって作れば良いのでしょうか?」
「・・・・・・はい?」
予想外の言葉に聞き直してしまった。
「子供の作り方です」
「えーっと、コウノトリが云々かんぬん的な話じゃなくて」
「私も大人ですから何をしたら子供が出来るかは分かってますよ。ただ、私とエレオノーラさんは女同士ですので、どう頑張っても作れないじゃないですか」
「子供が欲しいんですか?」
「コタケさんとアリシアさんを見ていたら、エレオノーラさんとの子供が欲しいなとは」
「手っ取り早いのは養子をとるとか」
「それも考えたのですが、私の立場的に少し難しいのですよ」
継承権は持たないものの、王族の養子になる訳で簡単にはいかないそうだ。
「それじゃあどうしようも・・・・・・」
「それで1つ考えたのですが、男性器を生やす魔法とか無いですかね?」
「えーっと・・・・・・そこまでするんですか?」
かなり難しい事を言われる。
「いえ、あるんだったらどうしようかなと思いまして」
「それならあるぞ」
「本当ですか!?」
あると言ったのはグリートである。
正直信用は無い。
「嘘は言ってないでしょうね?」
「勿論だ。神に誓って良い」
「貴女がその神じゃないですか」
「つまりは本当だと言う事だ」
「そうですか・・・・・・ちなみに副作用とかは無いのですよね?」
「あぁ、そんな物は無いぞ」
それを聞いたメアさんは、かなり真剣な表情で考えている。
「しかし、生やすとなると私かエレオノーラさんか・・・・・・」
ブツブツと呟いていると、本人がやって来る。
「真剣な表情で何を悩んでいるんだ?」
「あっ、エレオノーラさん。その生やすならどちらの方が良いかと思いまして」
「はやす?どう言う事だ?」
「男性器を生やすなら、私かエレオノーラさんのどちらが良いかという話です」
「・・・・・・はっ!?」
エレオノーラさんの顔が赤くなる。
「な、な、な、何を言ってるんだ!」
「真面目にどう思いますか?」
「これが真面目な話なのか?」
エレオノーラさんは俺の方を向いて事の経緯を求める。
「なるほど、そう言う事だったのか・・・・・・」
「すみません、1人で考えてしまって」
「まぁ、驚きはしたが真面目に考えてくれていたのだろう」
「そうなんです。それで・・・・・・エレオノーラさんはどっちの方が良いですか?」
「まて、まて、まて、生やすのを確定させるんじゃない。そもそも、そんな怪しい魔法を使う訳にもいかないし、もっと他の方法が無いかじっくり考えような」
「そうですよね、焦っても仕方ないですよね。それじゃあグリート、さっきの話は無しでお願いします」
「そうか、まぁ生やした所で子供は作れんかったがな」
「それは嘘をついていたという事ですか?」
「いいや違う。私が言ったのはアレを生やす魔法だ。その中身、要するに子供の種になる物は作れん訳だ」
DNAが含まれる為か、何でも出来る魔法であってもそれは再現出来ないのだろう。
「それじゃあ、その魔法は何の為にあるんですか」
「ただの快楽目的だ。そう言う需要もあるんだろうな」
「はぁ、貴女の話を間に受けたのが間違いでした」
「ふっ、生やしたくなったらいつでも言うと良い」
「これだから邪神は・・・・・・」
メアさんは呆れてリビングから出て行く。
「お前は使わないか?」
「私も遠慮しておこう」
エレオノーラさんも断った。
「私の信者の中でも需要はあったんだがな。お前も使ってみるか?」
俺の方を向いて言ってくる。
「そもそも男だからあるよ」
「手とか他の部位にも生やせるぞ?」
「そんな怖い魔法使いたくない」
「つまらんな」
結局メアさんの悩みは解決出来ず皆んなで考えていく事にし、グリートの謎の生やす魔法はアリーによって使用禁止命令を出されるのだった。