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ビンゴ

イルシーナさんの言う目玉イベントのの為、キャンプファイヤーの元へと向かう。


「お集まりの魔女の皆さん、準備はよろしいですかー!」


「「イェーイ!!」」


司会の魔女の掛け声に陽気な反応する魔女達。


「ただいまより、ビンゴ大会を開催しまーす!」


「「・・・」」


「ずいぶん俗っぽいですね」


メアリーさんがそう言う。


「豪華賞品が当たるからそうも言ってられないんだよ」


「今回の1等は〜・・・魔王の心臓でーす!」


魔女達から歓声が上がる。


「こわっ!私ここに居て大丈夫!?」


「大丈夫、大丈夫。昔に討伐された魔王の心臓だから」


慌てるオルフェさんを落ち着かせるが、どういう経緯で入手したのかは気になる所だ。


司会者の魔法で、5×5のビンゴカードがフワフワと配られる。


「それじゃあ、スタート!最初の数字は〜・・・7!」


司会者が箱の中からクジを引く。

数字は75まであるそうで、カードに目線を落とすが7は無かった。


「あったー!」


「ありました!」


我が家では数名が当たっていた。


「魔法が使えると不正出来そうですけど、そこら辺は大丈夫なんですか?」


「あの箱もカードも魔法が効かない特別製だから大丈夫。司会の子も前回のビンゴで1等を当てた子だから、今回は参加しないで司会をやってるんだよ」


「結構しっかりしてるんですね。前回の景品も魔王の心臓並みにレアな物だったんですか?」


「えっとね、確か・・・」


「世界樹の葉だ」


「そうそう!何処かに生えてるって言うデッカい木だよね」


「その説明だと凄く聞こえないんですけど」


「本当に凄い物なんだよ」


「5個目の数字は43」


話している最中にも抽選は続いているが、まだビンゴは出ていない。


「そんなに凄い物が沢山あるのは何でですか?」


「昔の魔女達が集めた遺産だよ。この村に宝物庫があって色々と入ってるんだ。人数的にも均等に分ける事も出来ないし、それならビンゴで当たった人がゲットするので恨みっこ無しって感じになったんだ」


「8個目の数字はー、20」


「ビンゴー!」


ちょうど8個目の数字で、魔女の1人がビンゴと言い前に出る。

司会者がカードを受け取り確認すると、


「ビンゴで間違いないです。1等おめでとう!」


ビンゴを当てた魔女は喜び、他の魔女は落胆する。

司会者から50cm大の箱を渡されている。


「あの箱の中に景品があるんですか?」


「あの箱は空だよ。景品は後から宝物庫で直接渡すの」


「じゃあ、箱の意味は・・・」


「それは後からのお楽しみ」


その後もビンゴは続き、5等まで景品は用意されていたものの、我が家からビンゴを出す人はいなかった。


「では続くお待ちかねイベント。争奪戦の始まりだー!」


司会者が何やら物騒なイベントを口にする。


「どんなイベントなんですか?」


「ビンゴを当てた人が30分間逃げ切るゲーム。もし、30分後に他の人が景品を奪ってたらその人の物になるの」


「今までのビンゴは何だったんですか・・・」


「やっぱり皆んな欲しいからビンゴだけじゃ批判が出ちゃったんだよね。だから、このルールが作られたって訳」


箱はそれを分かりやすくする為かと納得する。

司会者の開始の合図で魔女達が箒に乗って一斉に飛び立ち、俺達だけが場に取り残される。


「魔法は使ったら駄目ってルールだから安全だよ」


「イルシーナさんは行かなくて良いんですか?」


「私って基本的に植物を使った研究してるし、魔王の心臓とか持て余しちゃうから他の人に譲るよ。それよりも、ゾーラちゃんは行かなくて良いの?」


「魔王の心臓も捨てがたいが、約束の件は今が丁度いいだろ?」


「あー確かに。コタケ君、精霊王呼んで貰っても良い?」


不思議に思いつつ、子供達は寝てしまっているので代わりに呼び掛ける。


「こんな時間に珍しいな、コタケよ」


「何やら用件がある人がいるみたいで」


そう話している隙に、ゾーラさんが精霊王の近くに寄りペタペタと全身を触り出した。


「ほぉ〜!これが精霊王か!」


「なんだコイツは?」


「なるほど、なるほど。確かにこの魔力の質は他とは違う」


「おい、コタケよ。知り合いか?」


「知り合いです」


「だが、いきなりとは不敬であろう。我の雷でも喰らわせてやろうか?」


「是非そうしてくれ!」


ゾーラさんは意気揚々と言う。


「頭おかしいのかって、ん?貴様何処かで・・・思い出した!我と契約を結ぼうと必死になっていた魔女ではないか!」


「うぐっ」


「面識あったんですか?」


「会ったのは初めてだ。精霊と契約を結ぶ時は本来なら魔法陣を描いて、そこに自身の魔力を糧に呼び寄せるのだ。コイツはそれに大量の魔力を注ぎ込んでいたから覚えている」


「そうだ。私の全力を注いでやってるのに全く反応もしない。その上、毎回やって来る精霊は下級の者ばかり」


「我が送り込んでいるからな」


2人は因縁がある様だ。


「だが、それも今日まで!こうして現れたんだ。私と契約をして貰うよ」


「ふっ、残念だった。各精霊の契約者は1人までと決まっている」


「なんだと?」


我が子2人と契約しているのに、嘘ではと思っていると精霊王が睨んで来る。


「貴様は契約を切れるのを待つしか無いのだ。まぁ、我はコタケの末代まで契約を結ぶからいつになるか分からんがな!はっはっはっ!」


「チッ!まぁ、いいさ。どうせ不老不死の私には時間がたっぷりあるからな。その時にはじっくりと研究してやるさ」


「面白い、やってみせろ」


2人の間でバチバチと火花が散っている。

ただ、ゾーラさんが契約を結ぶには精霊王の気分次第な気がする。


「では我は帰るぞ」


そう言って精霊王は帰っていく。


「ゾーラちゃん、満足した?」


「はは、大満足だ」


そう言って1本の緑色の髪を見せてくる。


「それって精霊王の・・・」


「もしかして引っこ抜いたの?」


「そこまでする訳無いだろ。服に付いていたのを取ったんだ」


「それでも、ヤバい奴にしか見えないよ」


「私の呼び掛けに応えないのが悪い。これで色々と研究が出来そうだ。今日は来て良かったぞ」


「まぁ、ゾーラちゃんが満足したなら良かったよ」


その後30分が経過して、魔女達が戻って来た。

どうやら、1等の人はさっき貰った箱を守り切った様で掲げている。

だが、4等の人は守り切れなかった様で悔しがっていた。


「これが魔女の夜宴だよ。どうだった?」


目玉イベント後も夜宴は続いている。


「想像してた物よりも楽しいイベントでしたね」


「これは毎年やっておるのか?」


「気が向いた時にやる感じだね。前回は10年くらい前だったかな?」


「次もまた来たいね」


「ママは景品にされそうだから怖いよ」


「私も素材としては抜群ですね」


「妾もじゃ」


ベルの言葉に、オルフェさん、シェリー、ティーの3名がそんな反応をしつつも、他の皆んなは次こそはビンゴを当てると意気込むのだった。





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