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宣伝

「誰かお手伝いお願い!」


そう話しながら頭を下げるのはオルフェさんだった。

めでたくオープンした2号店の売れ行きが伸びず、我が家のメンバーにモデルをして欲しいと頼んでいた。


「アリシアちゃんとかどう?絶対人目につく可愛さだからさ」


「ん〜、私はちょっと遠慮しておこうかと」


「じゃあ、リッヒちゃんとかメアリーちゃんは?」


「私も恥ずかしいので・・・」


「私も遠慮しておきます」


「ぐぬぬ・・・シェリーちゃんとイルシーナちゃんはなんか違うし、シエルちゃんは無表情でやりそうだし」


悩み抜くオルフェさんに、1人助ける者が現れる。


「私が手伝おうか?」


そう言うのはレンダさんだった。


「オーガである私なら、色々な種類のいる魔族の中でも違和感は無いだろう?」



「そうだけど、良いの?こういう事は苦手だと思ったんだけど」


「構わない。オルフェも本当に困っていそうだからな」


「うぅ、レンダちゃんありがとー!」


オルフェさんは泣きながら、レンダさんに抱きつくのだった。


〜〜〜〜〜〜


お手伝い当日、レンダさんを連れてお店へと向かう。


「本当に人がいないね」


お店自体は大通りに面した所にあるのだが、客が入って来る気配は無い。

ちなみに1号店はというと、常に10人くらいの客はいる。


「人がいないのは今日まで!起死回生の一手レンダちゃんの登場!」


更衣室から出て来たレンダさんは、白のワンピースを着ていた。


「な、なぁ本当にこれで外に出ないといけないのか」


普段は動き易さを重視してショートパンツなどを履いており、可愛い系や清楚系の服には慣れていなかった。


「いいよ、いいよ!似合ってる」


「私は身長も高いし、ガタイも大きいから似合わないと思うのだが」


「大丈夫、似合ってるから!ねっ、コタケ君?」


「新鮮で良いと思うよ」


「道行く人は普段の私を知らないから駄目ではないか?」


確かにそうなのだが、確実に目を引くので宣伝としては十分だろう。


「まっ、とりあえず店の外に立ってみようよ」


まだ自信の無いレンダさん連れて外に出てみたが、予想通り行き交う人々の視線を集める。


「くっ、やっぱり恥ずかしい」


「私達も一緒にいるから大丈夫だって!ブティック オルフェ2号店よろしくお願いしまーす!」


「よ、よろしくお願いします・・・」


2人は呼び込みを開始した。


それから1時間が経過したが、客は入って来ていない。


「もぉ〜、なんでー」


オルフェさんの作る服に問題があるかと思ったが、街の人々と店の服に差異は無いので、単に新しい店だから増えないのだろうか。


「折角、レンダちゃんも手伝ってくれてるのに」


「やはり私では駄目なのだろうか。もっと可愛らしい人物に・・・」


レンダさんが諦めかけていたその時、


「きゃーー!ひったくりよ!」


近くから女性の助ける声が聞こえて、バッグを片手に逃げる様に向かって来る1人の男の魔族がいた。


「おい、止まれ!」


街の警備が制止しようとしたが、相手は魔法を使い突破する。


「ララちゃんの国で、おいたは見逃せないよ」


オルフェさんが止めにかかろうと前に出た瞬間、レンダさんが飛び出してアッパーを繰り出した。

盗人の魔族は反応出来ずモロにくらい、2mほど吹き飛んで気絶した。


「「おぉーー!」」


「すげぇな嬢ちゃん!」


「見事なアッパーだったぞ!」


周りにいた人々が集まって来て、レンダさんを称賛する。


「ご協力感謝致します!」


警備は気絶した魔族を背負って連れて行き、バッグの持ち主は何度もお礼を述べる。


「本当に本当にありがとうございます!私に出来る事があれば何でも・・・」


「別に見返りを求めてやったわけでは無いのだが」


「いえ、それでは私の気が済みません。せめて、いくらかお礼を」


「それなら・・・この店で何か服を買ってくれないか?」


「服ですか?まぁ、とても素敵な服が沢山ありますね」


「私の友の店だ」


「では、お礼に何着か買わせていただきます」


その女性は服を3着買って帰って行った。


「レンダちゃん、お手柄だね!」


「恩を着せる様な形で買わせて申し訳ないな」


「あの人も良いよって言ってたから気にしない」


「だが、1人の客が買うだけではまだ足りないよな」


「うーん、呼び込みを続けるしかないかな」


「すみませーん!魔王国新聞です!こちらに、窃盗犯を止めたオーガがいると・・・」


話を聞きつけたか近くで見ていたのか、記者が入って来てレンダさんは質問攻めにされ、結局その日の手伝いは切り上げるしか無かったのだった。


〜〜〜〜〜〜


2日後。


「ちょっ、レンダちゃん来て!」


慌てるオルフェさんに連れらて、再び2号店へと向かうと、開店前の店の外に20人程の列が出来ていた。


「凄いじゃん。レンダさんの宣伝効果バッチリだね」


「本当に私の効果なのか?」


「紛う事なきレンダちゃんの効果だよ、ほら!」


そう言って新聞を取り出すと、そこには先日の窃盗犯を止めた事の記事が載っていた。


「外の人に聞いたら、あの時見てたとか新聞見て気になったんだって。なので、このチャンスは逃しません!」


この世界のオーガは戦闘が苦手と広まっている事もあり、物珍しさで見に来た人もいるのだろう。


「とは言え、何をするんだ?」


「ふっふっふっ、握手会だよ!服を買ったらレンダちゃんと握手出来る。良いと思わない?」


まるでアイドルのイベントの様な事を言い出す。


「そんな事で良いのか?」


「そうそう、レンダちゃんは座ってるだけで良いからさ」


「まぁ、それがオルフェの助けになるのなら」


「よーし、なら早速開店といこー!」


レンダさんは、オルフェさん作のフリフリのスカートの付いた服を着せられ、服を購入した人達の握手に応じる。

この効果は1週間程続き、その間ずっとレンダさんはお店で宣伝の手伝いをしたのだった。





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