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呼び出し

「ママ、フラン先生からお手紙貰った」


「あら?何でしょうか?」


学校から帰ってきたユリがアリーに手紙を渡す。


「何て書いてあったの?」


「ワタルさんとオルフェさんを連れて、1度学校に来て欲しいとだけ・・・」


「何かあったのかな?」


「用件はその時に話すと、2人の様子はいつもと変わりませんし、オルフェさんも明日は休みですし来れるか確認してみましょう」


その日の夜、オルフェさんも来れると確認出来たので返事を書いて、翌日にユリに渡して学校に向かわせた。


放課後の時間になり、そろそろかなと思っているとルーから連絡が入り学校に向かう。

白を基調とした3階建ての学校は綺麗で高級感があるが、貴族以外も通える様になっているので、様々な格好の子供達が居る。


「フランは・・・いましたね」


校門を過ぎて玄関に向かうとフランさんが立っており、こちらに気付いて近づいて来る。


「お三方、お待ちしておりました。早速ですが、こちらへどうぞ」


仕事モードのフランさんに付いて行き、教員用の準備室に入るとユリとベルの2人が待っていた。


「パパ、ママ!学校にいるって変な感じ」


「ママは懐かしい感じがしますよ。ねっ、フラン?」


「そうですわね。あの頃の事を思い出しますわ」


誰にも見られなくなった事で、フランさんは普段の態度に戻る。


「それで、私達が呼ばれた理由をお聞きしても?」


「では単刀直入に言いますわ。2人を進級させるつもりはありませんか?」


「「進級?」」


俺とオルフェさんは予想していた無かった言葉に首を傾げる。


「正直言いますと、2人のレベルは今のクラスには合っていないのです。どちらも、あと2クラスは上のレベルでも問題無いと思いますわ」


「この学校って飛び級しても良いんですか?」


「優秀な者に限りですが許可されておりますわ。進級の際のテストも必要にはなりますが、2人なら問題無いですわ」


「やはり、その様な内容でしたか」


アリーは呼び出した理由を分かっていたらしい。


「最終的に判断するのは2人に任せますが、私は学校は勉学をする為だけの場所では無いと思いますよ」


アリーの考えはこうだった。


「そうですわね。それを踏まえて2人はどうしたいですか?」


フランさんは、ユリとベルに問いかける。


「今のクラスに居られなくなるんだよね?」


「えぇ、そうですわね」


「なら、私はそのままが良い」


ユリはそう言う。


「私は逆に進級したいかな。今のクラスが嫌な訳じゃ無いけど」


ベルは反対の事を言った。


「なるほど、分かりましたわ。では、ユリちゃんはそのままで、ベルちゃんは進級という方向でいきましょう」


「流石、私の娘だね!やっぱり私に似たのかなー」


(それは無いと・・・)


「今、それは無いって思ったよね?」


オルフェさんの言葉にギクッとする。


「正直、レベルが高くて困りましたわ。一体どんな勉強をしていたのですか?」


「私は昔習った事を教えたまでです。あとは2人の努力の成果ですよ」


「はぁ、教師の自信が無くなりますわ」


その後少し談笑し、フランさんとそこで別れて校門に向かう。


「学校って初めて来たよ」


「俺は懐かしいなぁ」


「以前、忍び込んだ時以来ですね」


色々と見ながら帰っていると、


「ユリシアさん!」


聞き慣れない声がして振り向くと、ユリと同じくらいの背丈の眼鏡を掛けた男の子が呼び止めていた。


「?」


「あ、あの、その・・・ぼ、ぼ、僕とお付き合いしてください!」


「わ〜お」


思いもよらないイベントの発生にオルフェさんが声を漏らす。


「えっと、ごめんなさい」


ユリは即答する。


「な、なんで・・・」


「ティーおばあちゃんより強い人が良いので」


そんな理由に思わず吹きそうになった。


「おばあちゃん・・・」


訳の分からないの事を言われた少年は立ち尽くすのみで、俺達はその場を離れたのだった。


「ユリって、もしかしてモテる?」


「これで、3回目じゃなかったけ?」


俺の疑問にベルがそう言った。


「うーん、多分3回目かな?」


「いつもあんな風に断ってたの?」


「理由あった方が良いかなって」


「ティーフェン様も、まさか告白の断りの理由に使われているとは思ってないでしょうね」


アリーが笑いながらに言う。


「ベルお姉ちゃんも告白されてたよね」


「えっ、そうだったの!?」


オルフェさんが焦り出す。


「うん、私は2回だよ」


「ちゃんと断ったよね?」


「魔王になったら考えてあげるって断った」


「ふふ、それはまた」


俺とアリーは笑う。


「ママくらい格好良い人じゃないとね」


「もぉ〜、ベルったら〜!」


学校である事を忘れて、オルフェさんは抱き付くのだった。

2人にとって、今は告白はどうでも良い事の様で今まで話してなかったそうだが、入学間も無くで既に2、3回告白されるとは流石の一言だった。


その日の夜に一連の出来事を皆んなに話すと、


「なるほど、いつでも相手してやるのじゃ」


「いえ、ティーフェン様の前に私が」


「では、私も」


各々、ユリとベルが認めた人を連れて来た時に相手をすると言い出し、まだ見ぬ婿の苦労が確定するのだった。




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