初めての仲間
俺がこの世界に来てから2週間ほど時間が経過した。
その間、食糧を置いておく為の小さな倉庫や簡易的なトイレなどを建てたり、周辺の探索などを行なっていた。
探索の成果としては、この拠点の周りに開けた場所は無く全て木に覆われており、水場なども以前見つけた川のみだった。ただ、拠点は周辺の木を伐採して建てた事もあり太陽の光が入り最初の暗い雰囲気はなくなったので、割と快適に過ごす事ができていた。
そして、俺は今日も周辺の探索を行う為に剣を持ち暗い森の中を歩いていた。
探索を開始してから、時間が経ちお昼頃になった。
「そろそろお腹空いたな」
お腹も空いてきたので休憩をすることにした。昼食はこの世界に来て初めて食べた魔物のウサギの肉だ。あのウサギは拠点周辺にかなり生息している上に狩った後も常温で保存しても何故か肉の腐敗が進むのが遅い為こうして持ち歩くこともできるのだ。
昼食を取り、一服した後また探索を開始した。
しばらく歩いていると草むらからガサガサと音がした。
「またあのウサギか?」
俺が警戒して剣を構えているとそこから出てきたのは黒くて丸い生き物だった。
「なんだこいつ?初めて見るな?」
その生物はゼリーの様にプルプルしていた。
「もしかして、スライムか?」
目や口などは見た所確認することはできないが、体が少し透けてどこか元気がない様に思えた。
特に攻撃してくる様な意思は見られないので、余っていたウサギの肉をその生物の近くに置いてみた。
すると、その生物が肉の上に乗り自分の体に吸収し始めたのだ!
「食べてるのかな?」
生物が肉を吸収し終えると、先程見た時よりも体の色が少しだけ濃くなり元気になっている様に感じる。
その生物をまじまじと見つめて俺は、
「よかったら拠点についてくるか?」
と話しかけてみると、その生物は言葉に反応したのか2回ほどジャンプをしたのだ。
その行動をYESと解釈した俺は拠点まで付いてくる様に手招きをした。
後ろで楽しそうにピョンピョン跳ねているスライムの様な生物を引き連れて拠点まで戻ってきた。
拠点にはウサギの肉が大量に余ってっいた為その生物の側に置いてみると、嬉しそうに自分の体に取り込んでいった。肉を食べ終えるとその生物の体は最初に見た時よりもかなり黒くなっていた。
食べ終えたのを見計らい、俺はその生物に話しかけてみた。
「お前は言葉を理解できるのか?」
俺の言葉に反応して拠点まで付いてきたのだから、おそらく意思疎通はできるだろうと踏んで確認してみると、その生物はその場で2回ジャンプをした。
(恐らく、この行動がYESという事でいいんだろうな・・・)
「じゃあ次に、お前はスライムなのか?」
するとその生物はまたその場で2回ジャンプをした。
(やっぱりスライムだったのか)
「なんであそこにいたんだ?」
と問いかけると、スライムは困った様にプルプルしていた。
(こちらの言葉は理解できるが、口は無さそうだから返答は難しいのか)
「すまん、今の質問は無かったことにしてくれ」
そう言うと、スライムはプルプルするのをやめた。
そうこうしている内に辺りが暗くなり始めた為スライムに、
「そろそろ住処に帰った方がいいぞ」
と言ってみると、少し元気を無くしてプルプルとしていた。
「もしかして住む場所が無いのか?」
と確認してみると、スライムは2回ジャンプをしたのだった。
(まぁ、あんまり悪そうなやつでもないし一緒に住んでみてもいいかな?)
と考えた俺はスライムにこの拠点で暮らすか?と言ってみるとスライムは嬉しそうに2回ジャンプをした。
そうして、この日はスライムという初めての仲間が加わり俺は寝床についたのだった。
一話目、二話目読んで下さった方ありがとうございます!
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